抗不整脈薬
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IV群

カルシウム拮抗薬(Ca拮抗薬)である。発作性上室性頻拍(PSVT)に用いられることが多い。頻脈性不整脈に使用されるのは非DHP系カルシウム拮抗薬のベラパミル(ワソランR)、ジルチアゼム(ヘルベッサーR)、ベプリジル(ベプリコールR)である。一方、DHP系カルシウム拮抗薬ニフェジピン(アダラートR)などは抗不整脈作用を持たず、あくまで降圧薬や狭心症の発作予防としてのみ用いる。これらの薬剤による個性は洞結節や房室結節のCaチャネルと血管のCaチャネルとの親和性の違いで説明されている。
ベラパミル
心房細動や心房粗動のレートコントロールやPSVTの停止と予防に使用される。特発性心室頻拍のうち右脚ブロックと左軸偏位型のものはベラパミル感受性であることが知られており、リドカインではなくベラパミル投与で停止させることができる。欧米では降圧薬として使用されているが、本邦では適応を取得していない。
ジルチアゼム
古典的なCa拮抗薬のうちベラパミルとジルチアゼムが抗不整脈作用のあるCa拮抗薬として知られており海外では汎用されている。アムロジピンが登場する以前はCa拮抗薬と言えばニフェジピンジルチアゼムベラパミルの3つが主流であった。ジルチアゼムはニフェジピンとベラパミルの中間的な性格を持っている。即ち降圧効果、冠スパズム防止効果(狭心症治療)と徐脈効果をもっている。降圧効果はアムロジピンに劣るが、徐脈効果はアムロジピンよりも強いため心拍数の高い高血圧患者の治療を1剤で行いたいとき、あるいは心筋酸素消費量を抑制し冠スパズム予防効果に優れることから狭心症(特に冠スパズム)の第一選択薬に用いられる。国内ではベラパミルに比べて頻拍性不整脈には汎用されていないが、心抑制作用が少なく、心抑制をきたしたくない場合などのPSVT治療に用いる。心房細動に対しリズムコントロールと比較検討したAFFIRM試験では、レートコントロール群の3割以上の症例に使用されていた。
ベプリジル
アミオダロンと同様にマルチチャネル遮断薬のため、他のCa拮抗薬とは扱い方が大きく異なる。多剤併用でコントロール不能である心房細動などに用いられることが多い。あくまでも他剤で無効であったら用いる薬物であり、200mg/dayを超えて投与されることはあまりない。
ヴォーン・ウイリアムズ分類に含まれない抗不整脈薬(V群)
ATP

ATP(アデホスR)は脱リン酸化を経てアデノシンとして作用する。房室伝導を強力に抑制するため、房室結節を回路に含む頻拍はすべて停止させることができる。とくに発作性上室性頻拍(PSVT)ではよく用いられる。半減期が10秒であるために急速に静注する必要がある。気管支攣縮や冠動脈攣縮を起こす可能性があるため、気管支喘息の患者や虚血性心疾患の患者には用いない。ジピリダモール(ペルサンチンR)が投与されていると効果が遷延するので注意が必要である。約20%の患者に胸部の不快感が出現することがある。ATP5mgを生理食塩水で希釈し5mLとし、1秒間で投与する。ATP5mgでは効かないことがほとんどであるので、3分後にATP10mgを生理食塩水で希釈し5mlとし、1秒間で投与する。無効ならば20mgまで行う。大抵は10mgでPSVTは停止する。カルシウム拮抗薬と異なり陰性変力作用は認めないため血圧低下時には非常に使いやすい。但しPSVTの停止はできてもその後の再発予防効果は期待できない。βブロッカーよりはベラパミルの方が陰性変力作用が弱いため、再発予防にはベラパミルを用いることがある。
シシリアン・ギャンビット分類

1990年、イタリアのシシリー島で開かれたSicilian Gambit会議で提唱された分類がシシリアン・ギャンビット分類(Sicilian Gambit分類)である。これは抗不整脈薬を活動電位ではなくイオンチャネル、ポンプ、受容体に対する作用で分類しようという概念である。この分類を用いることで不整脈のマネジメントは不整脈を心電図や身体診察で診断し、診断された不整脈の機序に基づいて標的となる蛋白質を同定し、それに対する薬物療法を用いるという論理的なアプローチが可能となることを目標としている。考え方としては非常によいのだが、出来上がった分類は抗不整脈薬の性質のデータベースのようなものであり非専門医には扱いにくいものとなってしまった。

Sicilian Gambit 分類(2009年版ガイドライン)薬剤VW
分類イオンチャネル受容体ポンプ臨床効果心電図所見
NaCaKIfαβM2A1Na-K
ATPase左室
機能洞
調律心外
性PRQRSJT
FastMedSlow
リドカインIbL→→M↓
メキシレチンIbL→→M↓
プロカインアミドIaHAM↓→H↑↑↑
ジソピラミドIaHAML↓→M↑↓↑↑
キニジンIaHAMLL→↑M↑↓↑↑
プロパフェノンIcHAM↓↓L↑↑
アプリンジンIbHILLL→→M↑↑→
シベンゾリンIaHALML↓→L↑↑→
ピルメノールIaHAML↓↑L↑↑↑→
フレカイニドIcHAL↓→L↑↑
ピルシカイニドIcHA↓→L↑↑
ベプリジルIVLHM→↓L↑
ベラパミルIVLHM↓↓L↑
ジルチアゼムIVM↓↓L↑
ソタロールIIIHH↓↓L↑↑
アミオダロンIIILLHMM→↓H↑↑
ニフェカラントIIIH→→L↑
ナドロールIIH↓↓L↑
プロプラノロールIILH↓↓L↑
アトロピンVH→↑M↓
ATPVG?↓L↑
ジゴキシンVGH↑↓H↑↓
遮断作用の相対的な強さ: L:低 M:中 H:高 | G:アゴニスト
添字 A=活性化チャネルブロッカー I=不活性化チャネルブロッカー
抗不整脈薬の副作用

特徴的な副作用には陰性変力作用といった心機能に対する副作用と催不整脈作用があげられる。
腎機能障害時の抗不整脈薬投与について

腎機能障害時は抗不整脈薬の投与量を減量する必要がある。
抗不整脈薬の使い方
期外収縮

基本的には症状がない、あるいは症状が我慢できるのなら器質性心疾患の有無に限らず上室性期外収縮(PAC)、心室性期外収縮(PVC)の数を減少を目的とした治療は行わない。これは決して期外収縮がすべて良性所見ということを示しているわけではなく、心筋梗塞後のPVCの数は予後不良因子となるのだがPVCを減少させることが予後改善に結びつかず、むしろ悪化するというCAST studyの結果があるためである。期外収縮の薬物療法は器質的心疾患がなく、自覚症状が強く、QOLが阻害されている場合である。器質性心疾患の除外は心臓超音波検査で行い、期外収縮が症状の原因かを確かめるにはホルター心電図を行う。PACやPVCの正確な数は数えることが困難であることも多く、厳密な評価は必要ない。
上室性期外収縮(PAC)

健常心では非リエントリー性の機序によるものが多い。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Oak-8