婚外子
[Wikipedia|▼Menu]

この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

嫡出(ちゃくしゅつ[1])とは、婚姻関係にある男女(夫婦)から生まれること。対義語は「庶出」である[2]

実子の嫡出子には、出生と同時に嫡出の身分を取得する「生来嫡出子」のほか、準正によって嫡出子となる「準正嫡出子」がある(準正嫡出子を参照)。なお、法定親子関係である養子は法律上の血縁関係が擬制され縁組の日から嫡出子の身分を取得する(民法第809条。養親子関係については養子を参照)。

「嫡出」という語は「正統」という意味を持ち、「庶出」という語は「異端」という意味を持っている。子は生まれの正統や異端を選べないのに、子を「庶出」「異端」呼ばわりして蔑むのは誤った行為だという批判もあり[3]、近年では「嫡出子」を「婚内子」、「非嫡出子」を「婚外子」と称する場合もある。

日本の法制においては婚姻の有無とは関係なく血族関係は発生するが、ただし、後に述べられるように非嫡出子において父子関係が発生するためには認知を要する(779条、784条)[4]
目次

1 嫡出の法理

2 日本の私法(民法)における嫡出

2.1 概説

2.1.1 嫡出子と非嫡出子の差異

2.1.2 戸籍での記載


2.2 嫡出と親子関係

2.2.1 母子関係

2.2.2 父子関係

2.2.3 立法上の課題


2.3 推定される嫡出子

2.3.1 父性の推定と嫡出性の推定

2.3.2 懐胎時期の推定と離婚後300日問題

2.3.3 嫡出否認の訴え


2.4 推定されない嫡出子?嫡出子の範囲の拡張

2.5 推定の及ばない子?嫡出子の範囲の制限

2.6 二重推定の問題

2.7 準正嫡出子

2.7.1 婚姻による準正

2.7.2 認知による準正



3 各国における状況

3.1 法律面の状況

3.2 非嫡出子の割合


4 脚注

5 関連書籍

6 関連項目

7 外部リンク

嫡出の法理

歴史的には、子が社会的にその存在を公認されるためには、婚姻関係にある男女から生まれることが重要な意味を持つとされた(嫡出の法理)。嫡出子とは婚姻関係にある男女間に生まれた子をいい[5]、非嫡出子とは婚姻関係にない男女間に生まれた子をいう[6]

1942年以前の日本の民法(明治民法)は、養子でない子を『嫡出子』、『庶子』(婚姻外で生まれ父が認知した子)、『私生子』(婚姻外で生まれ父の認知を受けない子)の三つに分け、私生子より庶子を優遇し、庶子より嫡出子を優遇していた[7]。この年2月12日の改正で私生子と庶子を併せて「嫡出ニ非サル子」という表現に改めた[8][6]。現行の条文で嫡出子の語は残るが非嫡出子はなく、「嫡出でない子」と表現される。

これらの区別は法律婚を重んじる趣旨とされるが、親も選べず、生まれの流派も選べない子供の立場を擁護する観点からは厭わしいと見て問題点も指摘されている[9]。歴史的に見ると、西洋では、非嫡出子は"nobody's child"(何人の子にもあらざる子)や"illegitimate child"(違法な子供、異端の子供)として軽蔑され差別されて来たが、近年では子供を尊敬する立場から"illegitimate"という語は廃れ、"extramarital"(結婚外)という語が使用されている。

日本では、家制度との関係においては比較的優遇されてきたとされる[6]。しかし、日本でも婚外子は「私生児」として軽蔑され差別されて来た。そして、「私生児」という語が廃れた現在でも、全出生児に対する婚姻外出生児の割合は低い[10]

現代の欧米諸国では、非嫡出子も嫡出子とほとんど同じ法律上の地位が認められるに至っている。しかし日本においては、現行の日本民法の民法第900条第4号の法定相続分の規定などに差別があるとして議論されてきた[6]。民法900条第4号については、2013年9月4日に最高裁判所がこの規定が違憲であるとの判断を下した[11]。そして、この最高裁決定を受けて、平成25年12月11日法律第94号により民法900条4号は改正されている。
日本の私法(民法)における嫡出

以下、
民法については、条名のみ記す。

概説

嫡出の子を「嫡出子」、嫡出でない子を「非嫡出子」(法文上は「嫡出でない子」と表現される)という。先述のように、実子の嫡出子には出生と同時に嫡出の身分を取得する「生来嫡出子」と準正によって嫡出子となる「準正嫡出子」があり、また、法定親子関係である養子は法律上の血縁関係が擬制され、縁組の日から嫡出子の身分を取得する(809条。養親子関係については養子を参照)。

本来、「嫡出子」は婚姻関係にある男女から生まれた子(婚姻中に懐胎した子)を意味するが、後に述べる772条の嫡出の推定及び懐胎時期の推定の法解釈との関係から、従来の「嫡出子」の範囲は実質的に修正を受けており[12]、講学上において子は、推定される嫡出子、推定されない嫡出子、推定の及ばない子に区分されている[9]
嫡出子と非嫡出子の差異

非嫡出子は嫡出子と比較して、法律上において一定の差異がある[10]
父子関係の成立嫡出子は母の夫が父であると推定されるが(772条)、非嫡出子の父子関係は父の認知によって成立する(779条)。なお、母子関係については後述の通り、通常、懐胎・分娩という事実から当然に発生する(判例として最判昭37・4・27民集16巻7号1247頁)。

親権嫡出子の親権は父母が共同で行うが(818条)、非嫡出子の親権は母が単独で行う。ただし父が認知し、父母の協議によって父を親権者と定めることができる(819条4項)。

氏嫡出子は父母の氏を称するが(790条1項)、非嫡出子は母の氏を称する(同条2項)。父の氏への変更は家庭裁判所の許可により可能で(791条1項)、このとき子は父の戸籍に入る。

なお、2013年12月の民法一部改正(平成25年12月11日法律第94号)までは非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1とする規定(旧・900条4号)が設けられていた。しかし、この規定については2013年9月4日に最高裁大法廷によって違憲判断が下された[13][14]。この規定に関しては従来より、憲法第14条1項に反するとの下級審の裁判例があった(東京高裁H5.6.23判時1465-55ほか。大阪高裁でも、非嫡出子についての民法の相続差別が違憲である旨の決定をしている[15]。)。これに対し最高裁は、立法裁量権の範囲内であり違憲とまではいえないと判断してきた。2003年3月31日にも、婚外子(非嫡出子)の相続分について嫡出子と同じでないことについて憲法違反であるとの訴えに対して、「非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1と定めた民法900条4号ただし書前段の規定が憲法14条1項に違反するものでないことは、当裁判所の判例とするところである(最高裁平成3年(ク)第143号同7年7月5日大法廷決定・民集49巻7号1789頁)。憲法14条1項違反をいう論旨は、採用することができない。」として棄却していた[16]。ただし、本判決においては深澤武久泉コ治の両裁判官による反対意見があるほか、多数意見(棄却)に与した島田仁郎裁判長も補足意見で「現時点においては、本件規定は、明らかに違憲であるとまではいえないが、極めて違憲の疑いが濃いものであると考える。」と述べていた。2013年2月27日、最高裁第1小法廷は、この問題について起こされていた2件の家事審判について大法廷に回付し、2013年9月4日に最高裁大法廷は遅くとも2001年7月の時点において同号の規定について合理的根拠は失われていたとして違憲判断を下した[17][18]。最高裁はこの決定で法的安定性を考慮し先例をもとに審判や分割協議などで決着した事案には影響を及ぼさないものとした[19]。この最高裁決定を受けて平成25年12月11日法律第94号により民法900条4号は改正されるとともに、同附則では「この法律による改正後の第九百条の規定は、平成二十五年九月五日以後に開始した相続について適用する。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:59 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:FIRTREE