多項式
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多項式(たこうしき、polynomial)は定数および不定元の和と積のみからなり、代数学の重要な対象となる数学的概念である。歴史的にも現代代数学の成立に大きな役割を果たした。 多項式とは3x3 ? 7x2 + 2x - 23

のような形をした式である。加法や減法を全て加法として次の式のように考えた場合、3x3 + (?7x2 )+ 2x + ( -23 )

加法の記号で区切られた式の "3x3", "?7x2", "2x", "-23" のことを項( こう、term)と呼び、複数の項を足し合わせることでできる式であることから多項式と呼ばれる。

一つの項だけからできている式を単項式(たんこうしき、monomial)と呼び、複数の項からできているものだけを多項式と呼んで、単項式と多項式を併せて整式と呼ぶ流儀もある。
目次

1 一変数多項式

2 多項式環

3 代入

4 多項式関数

5 多変数多項式

6 多項式の次数

7 斉次多項式

8 非可換多項式環

9 関連項目

10 脚注


一変数多項式

x を不定元(変数)、n を非負の整数として、a0, a1, ..., an を n+1 個の実数または複素数などの定数とする。このような x と {ai}0 ? i ? n によって次のように表されるものが多項式である。

f(x) = anxn + an?1xn?1 + … + a1x + a0 とおく。このとき、am ≠ 0 となる最大の m のことをこの多項式の次数(じすう、degree)と呼び、deg f とあらわす。

各 aixi をこの多項式の項(こう、term)あるいは単項式項と呼び、i をその項の次数と呼ぶ。あるいは、この多項式の i 次の項は aixi である、という風に言い表す。

各定数 ai のことをこの多項式の係数(けいすう、coefficient)と呼ぶ。特に、am (m = deg f) をこの多項式の最高次係数あるいは頭項係数 (leading coefficient) と呼ぶ。

0 次の項 a0 のことを定数項(ていすうこう、constant term, constant)と呼ぶ。ただの定数を、定数項しかない多項式と見なすことができる。次数の定義から、0 でない定数項のみからなる多項式の次数は 0 である。しかし、定数 0 を多項式と見なすとき、その次数は便宜的に ?∞ と定義される。

多項式は総和を表す記号 を使って

とも記される。このとき、x0 とは多項式としての 1 のことである。

係数の属する集合が K であるような x を変数とする多項式の全体を K[x] で表す。たとえば実数係数の多項式の全体は R[x]、複素数係数の多項式の全体は C[x] などと表す。係数の集合 K は四則演算の定義されるような代数系であるのが通常で、多くはとくにと呼ばれる四則演算が自由に行えるものを想定することになる。もうすこし一般の(必ずしも可換でない、単位元を持つとは限らない) R についても、それを係数にもつ多項式が定義される。

環 R に対し、不定元 x と任意の非負整数 n に対し、新たな不定元 xn を用意する。ただし、x1 は自然に x と同一視する。集合 Rn = Rxn = {axn。a ∈ R} の元を n 次の単項式とよぶ。 このとき、適当な n ∈ N をとってできる、単項式の形式的な和

(ai ∈ R for all i) を x を変数とする R 上の(あるいは、係数 を R にもつ)多項式と呼ぶ。x を変数とする R 上の多項式全体の成す集合 R[x] とあらわし、R を R[x] の係数環とよぶ。一般には R ≠ Rx0 であって、R と R[x] の間には何の包含関係も存在しない。しかし、もし R が単位元 1R を持つ環(単位的環)ならば、通常は 1R x0 を 1R と同一視して、R ⊂ R[x] と見なされる。
多項式環

単位的可換環 R 上の多項式の全体 R[x] において

(m ? l) に対し、
加法

定数倍(スカラー倍)

乗法

などの演算が定義される。特に積は、不定元 x と環 R の任意の元 a に対して、ax = xa が成り立つと仮定して、分配法則が成り立つように定義されているので、R[x] は R 上の環(多元環)になる。これを x を変数とする R 係数の(一変数)多項式環と呼ぶ。また簡単に、環 R 上の多項式環ともいう。R が単位的環であるなら、多項式環 R[x] も単位的環であり、R が可換なら多項式環 R[x] も可換環である。

体 K 上の多項式環 K[x] はユークリッド環であり、余りのある除法を定義することができる。
代入

単位的可換環 K 上の多項式

α ∈ K に対して、変数 x を α に置き換えて得られる式

を f(α) と記して f(x) に x = α を代入(だいにゅう、substitute)した値という。特に f(α) = 0 を満たす値 α ∈ K を多項式 f(x) の根(こん、root)あるいは零点 (zero) という。

f(x) ∈ K[x] と α ∈ K に対して、x に α を代入することにより定まる写像

は K[x] から K への環の準同型となる。

一般に単位的可換環 R, S とその間の準同型 h: R → S が与えられているとき、S の元 α に対して準同型

で、ψh,α(X) = α かつ、 r ∈ R ならば常に ψh,α(r) = h(r) となるようなものはただ一つ存在する。このとき、R 係数多項式

に対して

を f(α) と書いて、X に α を代入した値という。
多項式関数

多項式 f(X) = anXn + an?1Xn?1 + … + a1X + a0 ∈ K[X] に対し、変数 X への値の代入により関数

が定まる。このような関数 y = f(x) を総称して( K 上で定義された)多項式関数とよぶ。特に、多項式 f の次数 deg f が n であるとき、f の定める多項式関数は n 次関数と呼ばれる。

y = ax + b (a, b ∈ K) の形の関数は一次関数と呼ばれる。

y = ax2 + bx + c (a, b, c ∈ K) の形の関数は二次関数と呼ばれる。

係数の集合 K が実数体 R や複素数体 Cであれば、異なる多項式は異なる関数を定める。K が一般のであるときはこの限りではない。

多項式の微分積分は以下の式が基本的である:(は積分定数)

これは解析学的に x を実数や複素数に値をとる変数と見る場合は、関数に対する微分積分の定義から導かれる事実である。一方、代数学的にはこの式を定義として扱うことがある。

たとえば、多項式 x2 ? 3x + 1 の微分(導多項式)は 2x ? 3 となる。

複素変数の多項式関数はガウス平面の全域で正則な解析関数である。

多項式が重根を持つことと、その多項式が自身の導多項式との間に共通の因数を持つこととが同値である。

多変数多項式

m 個の変数 x1, x2, ..., xm と m 個の定数 n1, n2, ..., nm および、少なくとも一つの 0 でないものを含む (n1 + 1)(n2 + 1)…(nm + 1) 個の定数 ae1e2…em (0 ? ei ? ni, for i = 1, 2, ..., m) に対し、

と表される式を m 変数の多項式と呼ぶ。これはたとえば x1 に注目すると、m?1 個の変数 x2, ..., xm に関する多項式を係数としてもつ x1 の一変数多項式と見ることができる。このことは多変数の多項式を一変数の多項式から帰納的(再帰的)に構成するという視点を与えてくれる。

あるいはもっと一般に、係数全体の成す集合を C とし、変数の集合を X = {x1, x2, ..., xn} とするとき、変数 x = (x1, x2, ..., xn) に関する C 係数多項式の全体を C[X] と書くことにする。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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