地域
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地域(ちいき)とは、地形が似通っている、同じ性質をもっているなどの理由からひとまとめにされる土地のこと。マルチスケールの概念である。
目次

1 地理学における定義

1.1 地域論

1.1.1 ドイツの地域論

1.1.2 アメリカ・イギリスの地域論

1.1.3 日本における地域論

1.1.3.1 水津一朗の説

1.1.3.2 木内信蔵の説



1.2 地域の類型

1.2.1 等質地域と機能地域

1.2.2 個別地域と類型地域

1.2.3 実質地域と形式地域

1.2.4 全域と基域



2 政治学・経済学における定義

2.1 政治学における定義

2.2 経済学における定義


3 地域と分類できる地域区画の種類

4 地域の具体例

5 類義の言葉

6 脚注

7 参考文献

8 関連項目

9 外部リンク

地理学における定義

地理学、特に場所ごとの差異を解明しようとする人文地理学地誌学において、「地域」とは大変重要な概念である。

日本の地理学界で権威があるとされる二宮書店刊行の『地理学辞典』(1973年発行)には以下のような説明がある。

「一般には地表の広狭さまざまな部分を地域と称している.例えば,アジア大陸日本関東地方武蔵野台地九十九里平野などを,それぞれ地域と呼ぶようにである.しかし,現在の地理学の用語としては,この言葉が地理学の本質上極めて重要な意味を有しているために,ある程度,厳密な内容を持つものとして使われている.地表上,自然が類似する地域を自然地域と呼ぶように,地域を単なる任意の区域の広がりとせず,個性的な内容を有する広がりとして理解する必要がある.」

(後略)

しかし、この説明がすべての地理学者に受け入れられているわけではなく、1950年代から1960年代にかけては、アメリカイギリスを中心として、「地域」を中核に据える「伝統地理学」(Traditional Geography)に対する批判が起こった[1]。これを受けて、朝倉書店刊行の『オックスフォード地理学辞典』(2003年発行)では、

「周囲の地区とは異なるものとして判別できる,自然的あるいは人工的な特徴をもった地表の任意の区域.」

と、地理学における地域の重要性には言及していない。
地域論

「地域とは何か」という課題については、国によって認識が異なる。以下に、主要な議論を記す。
ドイツの地域論

ドイツでは、地理学者のカロル(H. Carol)の地域(Landschaft)論が知られている。カロルによると地域とは「さまざまな要素からなる複合体」であるという[2]。この「要素」とは地表圏(Geosphare)を構成する気圏生物圏人類圏水圏岩圏を指し、「地域」は地表圏の一部分である。

言い換えるならば、「具体的な、現実の、事物によって満たされた地表の一部分」[3]が地域である。これには自然現象・人文現象共に含まれる。当時のドイツでは、ヴァルター・クリスタラー中心地理論の理解が進み、人間や社会と空間との関係を機能を通して研究しようとする動きが盛んであり、これがLandschaft論に取り入れられたと指摘されている[4]
アメリカ・イギリスの地域論

アメリカの地理学者ダウエント・ホイットルセーの説が有名である。ホイットルセーによると地域とは「何らかの意味での一体性をもつ地表の広がり(範囲)」であるという[2]

具体的には、複数の共通点を持ち、周辺とは区別されうる地表の一部分が地域である。ホイットルセーは更に地域を以下の3つに分類した。
単一指標地域(single feature region)…ある1つの共通性を持つ区域。例えば、行政地域言語地域などが挙げられる[5]

複合指標地域(multiple feature region)…2つ以上の共通性を持つ区域。例えば、気候区などである[5]

全体地域(total (feature) region、compage)…自然的指標と社会的指標を高度に組み合わせて複合的に分析した結果、共通性を認められる区域。

なお、地域を1本の直線で分けることは難しく、一般的には漸移帯(transitional zone)が存在する[6]。しかし、ホイットルセーは以上のような定義は、地域を区画する以上、何らかの基準があるため、 地域を任意に切り取られた地表の1区画が含まれることを免れないとしている[5]。このため、「地域は虚構(フィクション)である」とする主張もなされる[5]
日本における地域論

日本においては、上記のドイツのLandschaft論と英米のRegion論の双方が受容され、学者によって見解が異なるが、同じ「地域」という語を用いている。以下に主要な主張を示す。
水津一朗の説

Landschaft論に近い学者として、京都大学文学部教授奈良大学学長などを務めた水津一朗がいる。水津は著書『地域の構造?行動空間の表層と深層?』においてドイツのヴィンクラー(E. Winkler)の地理学的方法論に関する15の命題を以下の3つに整理した上で、数学的に説明した[7]
個々の現象(e)…分布相互作用・人間と自然との関係など[8]

地表の部分(Rm)…空間・場所・海洋景観環境など[8]。これが「地域」に相当する。

地表(E)…地表全体を指し、地表の部分(Rm)の総和である。カロルが「地球の被覆」(Erdhulle)と名付けたものに相当する。[8]

水津はこれらの3つの関係を「Eの部分集合がRmであり、Rmの(要素)がeである」とした。つまり、数学的に記述するとE⊃Rm,Rm∋e

となる。
木内信蔵の説

一方region論に近い学者として、東京大学教養学部教授の木内信蔵が挙げられる。木内は『地域概論?その理論と応用?』において、region(リジォン[9])の説明とともに、地域の属性[10](形式的な性格[9])を次のように示している[11]
地表面の一部分である。

固有な場所的関係をもつ。

空間的な拡がり(spatial extent)をもつ。

隣接の空間から区別される。

より大なる地域の部分である。

この中で重要なのは2番目と4番目であり、言い換えれば「何らかの意味で一体性をもつ(まとまりがある)」[12]ということになる。これは、一般用語の地域と区別して「地理的地域」とも表現する[12]

木内は『地域概論』の中でLandschaftにも触れているが、そこではLandschaftを「景観」と訳している[13]
地域の類型

地域の概念には、いくつかの分類方法が知られている。先に挙げたホイットルセーの地域分類もその一つである。以下に具体例を示す。
等質地域と機能地域

地域概念の中で最も重要な類型である[14]
等質地域(英語:uniform region又はformal region)
ある空間が周囲とは異なる性格によって切り取られる場合、その空間を等質地域と言う。例えば、とある畑作地においてジャガイモの生産が卓越する区画とニンジンの生産が卓越する区画があったとする。この時、前者をジャガイモの等質地域、後者をニンジンの等質地域と考えることができる。


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