国内総生産
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「GDP」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「GDP (曖昧さ回避)」をご覧ください。
国別GDP(2005年) 上段がMERベース、下段がPPPベース。名目ベースでは先進国の値が高く、PPPベースではインドや中華人民共和国などの新興国やアフリカなどの発展途上国の値が高く表示されやすいことが読み取れる。

国内総生産(こくないそうせいさん、英:Gross Domestic Product、GDP)は、一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額のことである。


目次

1 概要

2 経済モデル、国内総生産の定義、および性質

2.1 経済モデルと国内総生産の定義

2.2 三面等価の原理

2.2.1 生産額による定義

2.2.2 分配による定義


2.3 国内総生産デフレーター

2.4 国民総生産と国内総生産の違い

2.5 国内純生産

2.6 グリーンGDP

2.7 国民純福祉

2.8 域内総生産


3 日本

4 各国の名目国内総生産順リスト

5 国内総生産の問題点

6 脚注

7 関連項目

8 外部リンク


概要

国内総生産は「ストック」に対する「フロー」をあらわす指標であり、経済を総合的に把握する統計である国民経済計算の中の一指標で、GDPの伸び率が経済成長率に値する(経済学用語のフロー、ストックはフローとストックを参照)。

原則として国内総生産には市場で取引された財やサービスの生産のみが計上される。市場で取引されない活動は、GDPには含まれない[1]。このため、家事労働やボランティア活動などは国内総生産には計上されない。この点は、国民総生産でも同じである。こうした取り扱いの例外として、持ち家の家賃など帰属計算が行われるものがある(国民経済計算の帰属家賃の説明を参照)。また、今期新たに生産されたのでない財(例:古美術品)の取引、最終財の原材料となる中間財の取引は算入されない。地下経済なども計上されないことが一般的であったが、2014年以降、EU圏内では麻薬取引や売春サービスも計上し始めている[2]

国連統計委員会が勧告を出し、統計設計、財の概念の設定などは勧告に沿って行われる。直近の勧告としては、68SNA93SNA2008SNAがある。

日本の国内総生産は、内閣府(2001年の省庁再編以前は経済企画庁)が推計し、速報値や改定値として発表しているが、その詳細な計算方法については他国同様公開されていない。
経済モデル、国内総生産の定義、および性質
経済モデルと国内総生産の定義

国内総生産を定義するために、実際の経済を単純化したモデルを与える[3] 。なお、ここで説明するGDPは名目GDPと呼ばれるもので、後述の実質GDPとは異なる。

国内には家計、企業、政府の三種類の経済部門があり、それとは別に外国という経済部門がある。

また財・サービスの市場、要素市場、金融市場の三種類の市場がある。

企業が自身の(中間ないし最終)財・サービスを作るために別の企業から買い取る財・サービスを中間財・サービスといい、それ以外の財・サービスを最終財・サービスという。

財・サービスの市場は企業および外国が自身の最終財・サービスを売るための市場で、各経済部門はこの市場から財・サービスを買い取る。

一定期間に家計、企業、政府、および外国が財・サービス市場から最終財・サービスを買い取ったときに支払った金額をそれぞれ消費支出、投資支出、政府支出、輸入という。

また、一定期間に企業が財・サービスの市場で自身の最終財・サービスを売り、その対価として得た金の総額を国内総生産(GDP)と呼び、外国が財・サービスの市場で自身の最終財・サービスを売り、その対価として金を得ることを輸出と呼ぶ。

以上の定義でわかるように、国内総生産には企業が中間財・サービスを売ることで得た金は含まれない。中間財・サービスは、別の(中間ないし最終)財・サービスを作るための要素として使われるので、「二重カウント」を避けるため、中間財・サービスを含まない。

要素市場および金融市場は国内総生産を定義する際直接的には使用しないが、モデルの全体像を捕らえ易くするため、説明する。要素市場は企業が労働、土地、資本(=機械や建物)、および人的資本といった生産要素を家計から購入するための市場で、生産要素に対する対価として賃金、利潤、利子、賃貸料などの形で企業から家計に金が流れ込む。

最後に金融市場は銀行取引、株式市場、および債券市場などの総称で、金融市場には家計から民間貯蓄が流れ込み、外国からは外国貸付や株式購入により金が流れ込む。

企業は企業による借入や株式発行により、金融市場から資金を調達し、政府は政府借入により金融市場から資金を調達する。 そして外国は外国借入や株式売却により金融市場から資金を調達する。
三面等価の原理詳細は「三面等価の原則」を参照

上では、企業が財・サービスの市場で自身の最終財・サービスを売り、その対価として得た金の総額として国内総生産を定義した。この定義を支出による定義と呼ぶ。

GDPにはこの他に生産額による定義、分配による定義があり、これら3つの定義は全て同値となる(三面等価の原理)。
生産額による定義

国内で一定期間(たとえば一年間)に生産された全ての最終財・サービスの総額として国内総生産を定義する。

企業によって生産された最終財・サービスは、誰かが自身のお金を支出して買い取るか、あるいは生産した企業が在庫として抱え込む。在庫は「将来売るための商品」であるから、企業の将来への投資支出の一種とみなせる。従って生産された最終財・サービスは最終的に誰かの支出となる。よって生産額による定義は支出による定義と一致する。

財・サービスXに対し、Xの売上額からXを作るのに使った中間財・サービスの値段を引いたものをXの付加価値という。国内総生産の定義より明らかに、国内総生産は(中間または最終)財・サービスの付加価値の合計に等しい。
分配による定義

企業は財・サービスを売ることで、その付加価値分だけの儲けを得る。企業の得た儲けの一部は、賃金、利子、賃貸料、および税金として家計や政府の利潤となり、残りは企業の利潤となる(そして利潤の一部は株主への配当となる)。従って国内総生産は家計、政府、および企業へと分配された利潤の総和としても定義出来る。

先進国の傾向としては、国内総生産の3分の2が労働者の取り分となり、3分の1が地主・株主などの資本家の取り分となる[4]経済学者飯田泰之は「付加価値に占める賃金の割合は、3分の2くらいが妥当である」と指摘している[5]
国内総生産デフレーター「GDPデフレーター」も参照

名目GDPを実質GDPで割ったものをGDPデフレーターと呼ぶ。 名目GDPと実質GDPはそれぞれインフレの調整を行っていないGDPと行ったGDPであるから、その比にあたるGDPデフレーターは、インフレの程度を表す物価指数であるのだと解釈できる。 従ってGDPデフレーターの増加率がプラスであればインフレーション、マイナスであればデフレーションとみなせる。1995年からの日本のGDPデフレーター前年同四半期増加率(%)。内閣府の四半期別GDP速報より作成。

GDPデフレーターが消費者物価指数企業物価指数など他の物価指数と著しく異なる点は、GDPデフレーターは輸入物価の上昇による影響を控除した「国内」の物価水準を表しているという点である。このため、原油価格の上昇など輸入物価が上昇して国内のガソリン価格が上昇するというような場合には、消費者物価指数や企業物価指数が上昇しているにもかかわらず、GDPデフレーターが下落をするということがしばしば起こる。

このため1990年代末から2000年代初頭にかけて、日本経済で物価の下落が続くデフレーションが続いているのかどうかを判断する際に、GDPデフレーターを使うことが適切であるかどうかについては見解が分かれた。下落が続いていた消費者物価指数は、2005年初めから下落幅が縮小し、その年の10月には前年同月比がゼロとなって、11月以降は上昇が続いた。このことには原油価格の上昇による影響がかなりあったため、GDPデフレーターは前年比で1%以上の下落が続いていた。量的緩和政策の解除時期を巡って、緩和策の継続を望む政府と早期解除を望む日本銀行の間で議論が起こり、政府はGDPデフレーターがデフレであるとして量的緩和政策の解除に対しては慎重な姿勢をみせた。しかし、現実に上昇している消費者物価と企業物価を無視し、GDPデフレーターのみによって、「物価は上昇しているがインフレでない」と主張することはきわめて詭弁的である。GDPデフレーターはあくまで名目GDPを実質GDPで割った数値にすぎず、現実の物価が上がっていることを否定できるものでない。

なお、2006年4月現在、日本のGDPデフレーターはパーシェ型の連鎖指数で、実質GDPはラスパイレス型の連鎖指数であり、米国の実質GDPはフィッシャー型の連鎖指数が採用されている(パーシェ、ラスパイレス、フィッシャーおよび連鎖指数の説明については、指数を参照)。
国民総生産と国内総生産の違い


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