味覚
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マカルト『五感(フランス語版)』より『味覚』

味覚(みかく)は、動物の五感の一つであり、食する物質に応じて認識される感覚である。生理学的には、甘味酸味塩味苦味うま味の5つが基本味に位置づけられる。基本味の受容器はヒトの場合おもににある。基本味が他の要素(嗅覚、視覚、記憶など)で拡張された知覚心理学的な感覚としての味は、風味(ふうみ)と呼ばれることが多い。また、認識の過程を味わう(あじわう)と言う。


目次

1 概説

2 味覚の種類

3 味覚の生理学

3.1 味覚の受容体

3.2 味覚の神経系


4 味覚障害

4.1 分類

4.2 原因


5 6番目の味覚

6 味覚の個人差

7 脚注

8 参考文献

9 関連項目

10 外部リンク


概説

味覚は物質の受容に基づく感覚の一つである。往々にしてそれは摂食時であり、対象は食料であり、匂いと共にそれが飲食可能であるかを判断する。また、味覚は摂食時の楽しみの一つである。ヒトの場合のそれは舌にあり、嘗めることで味を確かめる場合もある。哺乳類一般にこれはあると考えられる。

他方、それ以外の動物では必ずしもこれに限らない。昆虫ではチョウやハエなどで前肢の先端に物質受容器があり、食料を触ることで味見しているとされる。

以下、主としてヒトの味覚について記す。
味覚の種類

かつて基本的な味の要素として挙げられていたものには、甘味酸味塩味苦味辛味渋味、刺激味、無味、脂身味、アルカリ味、金属味、電気の味などがあった。1901年、ヘーニッヒ (D. P. Hanig) はアリストテレスの示した4つの味の舌の上での感覚領域[1]を示した。しかし今日ではこの説は否定されている。1916年、ドイツ心理学者ヘニング(Hans Henning)は、この4つの味とその複合で全ての味覚を説明する4基本味説を提唱した。ヘニングの説によると、甘味、酸味、塩味、苦味の4基本味を正四面体に配し(味の四面体)、それぞれの複合味はその基本味の配合比率に応じて四面体の稜上あるいは面上に位置づけることができると考えた。

日本では1908年に池田菊苗うま味物質グルタミン酸モノナトリウム塩を発見した[2]。このうま味は4基本味では説明できないため、日本ではこれを基本味とする認識が定まった。しかし西洋では長らく4基本味説が支持され続け、うま味が認められたのは最近のことである[3]。現在では味蕾(の)に受容体が存在するものとして定義されており、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つが該当し、五基本味と位置づけられる。

基本味以外の、辛味物質、アルコール、炭酸飲料などの化学的刺激や、温度(熱さ・暖かさ・冷たさ)、舌触り(つぶつぶ感、柔らかさ、硬さ、滑らかさ)などの物理的刺激は、基本味と合わせて総合的な味覚を形成する。ただし味覚刺激の全てについて神経に伝達されるまでの機構が解明されたわけではない。辛味の受容体は2種類明らかになっており、カルシウム味や脂肪味などに応答する味細胞が存在することも報告されている。

知覚心理学的には、味覚は単独では存在しえず、大なり小なり嗅覚あるいは視覚や記憶など影響を受ける。たとえばレモンの酸味とライムの酸味は、酸味成分は同一であり基本味的には違いが無く、嗅覚、視覚あるいは記憶によって両者の違いが強調されて認識される。この様な知覚心理学的な意味での味のことを風味と呼ぶことがある。

五基本味

甘味、酸味、塩味、苦味、うま味

感覚から来る味覚、及び研究中の味覚

辛味 …TRPV1受容体を刺激することによる「痛み」が辛味として感じられる。TRPV1は高温を痛みとして感じる受容体であるが、カプサイシンなどがこれを刺激することで灼熱感を感じる辛味を感じさせる。わさびなどに含まれるアリルイソチオシアネートはTRPA1を刺激してやはり辛味を与える。受容体自体は別である[4]

冷たい感覚 …TRPM8を刺激することで舌や口内が冷たい感覚に感じられる。TRPM8は冷刺激受容体でもある。メントールでみられる。辛味のTRPV1,TRPA1および冷感刺激のTRPM8はヒトの全身に局所しており舌に限って存在する受容体ではないため、体(特に粘膜)にカプサイシンやメントールを塗りつけられてもほぼ同じ感覚が発生する。そういう意味でこれらは「味蕾細胞で感じる”味”」ではなく「痛覚・刺激」であると説明されることがある。

渋み …タンニンなどで口内が収れん作用を起こすことが渋みとして感じられる。苦味に似ているが別物であり分けて考えられる。

カルシウム …マウスを使った実験でカルシウム感知受容体がマウスの舌に発見されている。ヒトにこれが当てはまるかは不明としている[5]

脂肪 …ラットの実験で脂肪酸の輸送に関わるCD36タンパク質がマウスの味蕾細胞に局所しておりCD36をノックアウトした所油脂への嗜好性が失われたこと、ラットの舌に油脂を与えた際に消化酵素の分泌が活性化されていること、ラットの舌へのリノール酸の摂取により舌咽神経に信号があったこと、またマウスが脂肪酸の含まれた水を特に好んで摂取したことから、ラット・マウスの舌には何らかの油脂受容体が存在すると考えられている[6][7]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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