可動堰
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この項目では、水をせき止めるための構造物について説明しています。

せぎについては「用水路」をご覧ください。

安曇野におけるせぎについては「堰 (安曇野)」をご覧ください。

神奈川県川崎市多摩区の町名については「堰 (川崎市)」をご覧ください。

堰(長良川河口堰

堰(せき)とは、河川の流水を制御するために河川を横断する形で設けられるダム以外の構造物で堤防の機能をもたないものをいう[1]
目次

1 堰の機能

2 堰の種類

2.1 形状による分類

2.2 用途による分類

2.3 構造による分類

2.3.1 固定堰

2.3.2 可動堰



3 主な堰

3.1 固定堰

3.2 可動堰

3.2.1 頭首工・取水堰

3.2.2 多目的堰・河口堰

3.2.3 ラバーダム



4 脚注・出典

5 関連項目

堰の機能

流水の制御施設には堰のほか水門や樋門がある。農業工学では取水堰、取水口、付帯施設(沈砂池、魚道、舟通し等)など河川湖沼から用水路に農業用水を引き入れるための構造物を総称して頭首工という[2]

河川等をせき止めて上流側の水位を上げることによって、水を貯留したり、用水路などへの取水を容易にしたり、計画的な分流を行ったりする役割を持つ。下流側からの海水の逆流を防止(潮止めという)して塩害を防ぐ場合もある。つまり、堰は基本的に水を利用(利水)するために設置されるものであるが、大規模な可動堰は強力に水を制御できるため、治水などを含めた形で多目的に用いられることが多い。

堰は堤防機能をもたないものをいい、堤防機能をもつ水門と区別する[1]。ただし、水門には河川付近に設置される防潮水門のように外見上は堰(河口堰)と判別しにくいものがある[1]。実際に構造物そのものはほとんど変わらないものもある(例えば隣りあって設置されている利根川河口堰常陸川水門)。しかし、水門が洪水時には門扉を閉鎖し堤防としての機能を持つのに対して、堰はせき止めた水が氾濫しないように、むしろ門扉を開放して水を積極的に流すため、堤防としての機能を持たないことで区別される。

なお、ダムは水を止めるための堰であり堰堤といわれるが[3]、堰とダムは通常区別されている[1]日本では1964年(昭和39年)に改正された新河川法において、利水目的のものについては堤高15メートル以上のものをダムと定義していることから、堰は堤高15メートル未満である。一方、河川管理目的のものについては1976年(昭和51年)に「河川管理施設等構造令」が施行され河川法と同様の規定がなされたが、国土交通省が管理する一部の堰は高さが15.0メートル未満であっても、その機能から特定多目的ダムとして扱われている。なお世界的な基準においては堤高15メートル以上のダムをハイダムといい、それに満たない高さのダムをローダムという。
堰の種類
形状による分類

堰は堤体の形状により、刃形堰、広頂堰、越流堰、フリュームなどに分類される[4]

常時(および洪水時に)水を堰の上から越流させるタイプの堰は洗堰(あらいぜき)と呼ぶこともある。
用途による分類

取水堰 - 河川水位を調節するための堰で灌漑用水、水道用水、工業用水、発電用水などを取水するための堰
[5]

河口堰 - 潮止めなどの堰[5](潮止堰)

構造による分類
固定堰

水位調節のできない堰を固定堰という[5]。水中に石積みやコンクリートなどの構造物を設けて水をせき止めるだけの単純なもので、古くから設置されてきた。流量などを随意に制御することはできない。

固定堰の最大の欠点は、洪水時において堰の持つ「水をせき止める」機能があだとなり、水の迅速な流下に支障をきたすばかりか水の氾濫を招いてしまう点である。このため、現在ある固定堰は比較的小規模なものか、長期にわたって維持されてきたものがほとんどである。

固定堰は、床止めと構造的には同一である。しかし、固定堰が水をせき止めるために設置されるのに対して、床止めは、上流の河床を安定させるために設置されるため、設置目的によって区別される。
可動堰

ゲートの開閉により水位調節が可能な堰[5]。固定堰の最大の欠点は、流量を制御できないことにあったが、可動堰は流量を随意に制御し洪水時には水を迅速に流下させることができる。

可動堰は可動部の構造によってさらに起伏堰と引上堰に大別される。

起伏堰(きふくぜき)は、水中の構造物を起てたり倒したりして水を制御する。堰が比較的小規模で、なおかつ制御する水位幅が狭い場合に採用される。鋼鉄製の扉体を操作するものもあるが、耐久性のあるゴム引布などでできた筒型の袋に空気や水を入れて膨らませて水をせき止めるものもある。

後者の方式はゴム引布製起伏堰、通称ラバーダムなどと呼ばれるもので、倒伏の確実性が高いことや動力がわずかで済み、費用がかからないことなどから起伏堰として近年よく採用されている。

引上堰(ひきあげぜき)は、上下に開閉する門扉をもつ。止水が容易で操作の信頼性が高いため、大規模な可動堰のほとんどはこの方式である。

固定堰(吉野川第十堰

ラバーダム(小規模なもの)

ラバーダム(大規模なもの・日野川堰)

起伏堰(小野川放水路)

安積疏水の一部として利用している五百川から取水して疏水幹線水路に用水を分配する熱海頭首工

安積疏水第一分水路取水口(小型堰)

埴科頭首工で可動式床板を倒し水を流している状態。

ベアトラップ堰による人工的急流を利用したラフティング(ティーズ川)

主な堰
固定堰

水系名一次支川
(本川)二次支川所在地堰名管理主体備考
石狩川石狩川?北海道石狩川頭首工農林水産省可動堰混合
十勝川十勝川?北海道千代田堰堤土木遺産
北上川旧北上川?宮城県鴇波洗堰国土交通省土木遺産
北上川旧北上川?宮城県脇谷洗堰国土交通省土木遺産
雄物川雄物川?秋田県湯沢大堰農林水産省?
多摩川多摩川?東京都羽村取水堰東京都水道局可動堰混合
多摩川多摩川?東京都
神奈川県宿河原堰堤二ヶ領用水
管理組合可動堰混合
相模川相模川?神奈川県寒川取水堰神奈川県可動堰混合
吉野川吉野川?徳島県吉野川第十堰国土交通省?
筑後川筑後川?福岡県大石堰土地改良区?
筑後川筑後川?福岡県恵利堰土地改良区?
筑後川筑後川?福岡県山田堰土地改良区?
球磨川球磨川?熊本県遥拝堰?

可動堰
頭首工・取水堰

水系名一次支川
(本川)二次支川所在地堰名管理主体備考
石狩川石狩川?北海道愛別頭首工農林水産省?


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