南硫黄島原生自然環境保全地域
[Wikipedia|▼Menu]
南硫黄島空中写真国土交通省国土画像情報(カラー空中写真)を基に作成

南硫黄島原生自然環境保全地域(みなみいおうとうげんせいしぜんかんきょうほぜんちいき)は、自然環境保全法に基づき1975年昭和50年)5月17日に指定された日本原生自然環境保全地域[1]南硫黄島東京都小笠原村)全域が指定されており、これまで人間の影響が希薄であったことにより原生の自然が良く保たれている[1]。原生自然環境保全地域の中では唯一全域が立入制限地区とされている[2]
目次

1 南硫黄島の位置

2 南硫黄島の地形と形成史

3 雲霧帯の形成

4 南硫黄島と人間との関わり

4.1 調査研究の経過


5 植生の特徴

5.1 絶滅危惧種、準絶滅危惧種について

5.2 外来種の侵入


6 哺乳類

6.1 南硫黄島のオガサワラオオコウモリ

6.2 ネズミ類の不在


7 鳥類

8 爬虫類・両生類

9 昆虫類などの特徴

10 南硫黄島の陸産貝類

11 南硫黄島の生態系の特徴

12 脚注

12.1 注釈

12.2 出典


13 参考文献

14 関連項目

15 外部リンク

南硫黄島の位置

南硫黄島は東京から南南東約 1300 km の、北緯24度13.7分、東経141度27.7分に位置している。緯度的には台湾の中部にあたり、北回帰線のすぐ北側にある。南硫黄島の北約 60 km には、同じ火山列島に属する硫黄島があり、小笠原諸島父島からは 330 km 離れている。また、南東約 540 km 先にはマリアナ諸島の北端にあるファラリョン・デ・パハロス島(ウラカス島)がある[3]
南硫黄島の地形と形成史

南硫黄島は、ほぼ南北方向に延びる、全長約 1200 km 、幅約 400 km の島弧である伊豆小笠原弧の最南部に位置している。伊豆諸島や火山列島を構成する島々は、伊豆小笠原弧の火山フロントである七島-硫黄島海嶺に属し、258万8000年前以降の第四紀に活動している火山であるが、南硫黄島もやはり第四紀に火山活動によって形成された火山島である。南硫黄島がいつ頃島として誕生したのかについてははっきりしていないが、採集された岩石の分析から地磁気の逆転が見られないため、数十万年より新しいと考えられている[4]

日本列島のように、かつて大陸と地続きであったが切り離された島を大陸島と呼ぶ。一方海洋底から火山活動によって誕生し、これまで大陸と一度も地続きとなったことがない島を海洋島ないし大洋島と呼ぶ。伊豆小笠原弧の火山フロントである七島-硫黄島海嶺に属する南硫黄島は、典型的な大洋島である[5]

島の面積は 3.67 km2 で、周囲は約 7.5 km であるが、伊豆諸島と小笠原諸島の中で最高峰である 916 m の山が聳え、島の海岸線は湾や入江などの出入りがほとんど見られず、大小の岩に覆われた 5 m から 50 m の幅の浜辺があり、砂浜はほとんど見られない。そして浜辺の背後には数十 - 200 m の海食崖が発達している。山体は平均斜度45度に達する急斜面で、侵食が進んでおらず火山体の原型を比較的良く留めている北西部が最も傾斜が緩やかであるが、その部分でも斜度30度に達する。また南硫黄島の地形の特徴としては、川や湖沼などの淡水系が全く見られないことも挙げられる[6]

南硫黄島を構成する岩石は玄武岩であり、山頂部に直径約 150 m 、深さ 30 - 40 m の東側に開析された火口がある。火口の東側は崩落しており噴火の記録はなく現在噴気活動も認められない。山体全体も東斜面が西斜面よりも侵食が進んでいる。また南硫黄島には確認されているだけで254本の岩脈が貫入している[7]

島の周囲の海域ではサンゴ礁の発達は悪く、海岸線に外洋の波浪が直接打ちつけるようになっている。南硫黄島周囲は水深 40 - 50 m 付近までは緩やかな傾斜であるが、それ以深では急速に深度を増す。そして南硫黄島の北東約 5 km には、しばしば活発な火山活動が観測されている海底火山である福徳岡ノ場がある[8]

南硫黄島の誕生は数十万年前と考えられる。まず溶岩の流出を繰り返しながら小型の火山体が成長していった。短い噴火の休止期に続いて再び溶岩の流出などの火山活動が続き、今の南硫黄島山頂よりも少し東側に火山体が成長していった。その後現在の山頂部からの噴火が始まり現在の南硫黄島が形成された。その後、火山活動は南硫黄島の北東約 5 km の福徳岡の場に移り、活動が休止した南硫黄島では侵食活動によって現在の形となったと考えられる[† 1][9]
雲霧帯の形成

難破船の乗組員以外、これまで人が定住することがなかった南硫黄島では気象観測が継続的に行われたことがない。南硫黄島に最も近接する硫黄島の気象データなどからは、南硫黄島では山頂部まで熱帯・亜熱帯常緑広葉樹林が成立すると考えられるが、実際には標高約 500 m 以上の島の上部では日常的な雲霧の発生に伴い雲霧帯が形成され、木の幹に多くの種子植物、シダ植物、コケ植物の着生が見られる雲霧林の形成が見られる。南硫黄島以外の小笠原諸島では、雲霧帯は標高が高い北硫黄島や母島の山頂部に見ることができる。南硫黄島の雲霧林には多くの希少植物が生育しており、これまで人の手が加わっていない熱帯・亜熱帯の雲霧林の状況を知ることができる[10]
南硫黄島と人間との関わり 南硫黄島遠景

南硫黄島は、サンゴ礁の発達が悪い上に湾や入江がほとんど見られないため、外洋の波浪が海岸線に直接打ちつけており上陸自体が困難である。島自体も皇居ほどの大きさの島に916mという山が聳え、平均斜度45度という極めて険しい地形であり、また真水もほとんどないことから、人間が上陸した記録自体が少なく、これまで開発の手が入ることがなかった[11]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:84 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:FIRTREE