利根川
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こうした中で第2次橋本内閣による大規模公共事業縮小[注 18]第1次小泉内閣の「骨太の方針」により利根川水系でも戸倉ダム計画(片品川)など多くのダム事業が中止された。そして2009年(平成21年)の第45回衆議院議員総選挙で大勝した民主党マニフェストに「八ッ場ダム中止」を盛り込み、発足した鳩山由紀夫内閣国土交通大臣前原誠司は八ッ場ダム中止だけでなく計画・建設中の国土交通省直轄ダム事業の凍結を発表した[137]。しかしこの方針に下流受益地である東京都など一都五県の知事のみならずダム建設予定地である吾妻郡長野原町や川原湯温泉組合が猛反発し、民主党政権と対立する状況になっている。また高規格堤防(スーパー堤防)について2010年(平成22年)の事業仕分けで廃止が決定されたが、これに石原慎太郎東京都知事が「必要」と異論を唱えている[138]

2008年(平成20年)に内閣府中央防災会議が発表した資料によれば、カスリーン台風と同じ洪水被害が発生した場合最悪で死者は最大3,800人、罹災者数は160万人に上ると推測している[139]。このため河川工学の専門家からは「八ッ場ダムなどの治水公共事業は必要」とする意見も多い[140]。他方で市民団体が八ッ場ダムなどの事業負担金差し止め訴訟を起こし、係争している[141]。河川事業に対する多様な意見や政府の方針転換などもあり、日本最大級の河川における治水・利水事業は岐路を迎えている。
河川施設

利根川および利根川水系では奈良時代より治水事業が開始され、江戸時代より本格的な利水事業が始まっているが水害は繰り返し流域を襲い、その被害額も次第に顕著なものとなっていた。東京が首都に定められて以降治水安全度の向上や人口増加、工業地帯拡張による水道需要・電力需要の増大、および新田開発や干拓による農地拡大を背景に利根川水系全体を見通した河川開発が求められるようになった。カスリーン台風以後利根川水系は多目的ダムを中心とした河川総合開発事業が展開され、現在利根川水系は日本の国民生活・経済活動上において重要な役割を担っている。本項目では利根川および利根川水系におけるダム遊水池、水路(放水路用水路、導水路)、水力発電事業および砂防事業について記述する。
ダム・堰 利根川水系ではダムの高さが最も高い奈良俣ダム(楢俣川)。日本でも第4位の高さである。

記録上、完成年代が判明している利根川水系における最初の堰は1630年完成の岡堰(小貝川)、ダムでは1912年完成の黒部ダム(鬼怒川)と逆川ダム(逆川)の水力発電用ダム群である。洪水調節目的のダムとしては1926年に当時の内務省が鬼怒川改修計画の一環として計画した五十里ダム(男鹿川)が最初であるが、終戦まで着工は見送られた。戦後カスリーン台風を受けて策定された一連の河川総合開発事業によって利根川水系には藤原ダム(利根川)を皮切りに多数のダム・堰が建設・改築され、首都圏の治水・利水に供している。建設中のダムは2019年完成予定の八ッ場ダム吾妻川)、完成予定が定まっていない南摩ダム(南摩川)がある。

ダムの高さでは奈良俣ダム楢俣川)、総貯水容量では矢木沢ダム(利根川)が最大。なお丸沼ダム(大滝川)は日本で6基しかないバットレスダムの中では最大規模であり、国の重要文化財に指定されている[142]。なお利根川水系に建設されたダムのうち、首都圏への利水目的を有するダム群については特に利根川水系8ダムあるいは利根川上流8ダムと呼ばれる(下表参照)[143][144]。これら利根川水系8ダムより供給された水は荒川を経て東京都水道局朝霞浄水場へ給水されるが、朝霞浄水場と東村山浄水場間を結ぶ導水管により、多摩川水系の小河内ダム山口貯水池(狭山湖)、村山貯水池(多摩湖)との間で水を相互融通して夏季や緊急時に対応している[145]

2009年の民主党政権誕生を受けて実施された国土交通省管轄のダム事業見直しによって、八ッ場・南摩の両ダムを始め多くのダムが事業再検証対象となり、、倉渕ダム(烏川)など幾つかのダム事業が中止となった。また1990年代以降の公共事業政策見直しに伴い、利根川水系では戸倉ダム(片品川)、川古ダム(赤谷川)、平川ダム(泙川)、栗原川ダム(栗原川)などの大ダム計画をはじめ多くのダム事業が中止された[注 19]。またこれとは別に「日本最大の多目的ダム計画」であった沼田ダム計画(利根川)や、只見川から片品川へ流域変更して分水する「尾瀬分水」の中核であった尾瀬原ダム計画(只見川)など物議を醸して最終的に中止された事業も存在した。

利根川水系のダム・堰[146][147][148][149][150][151]
高さはm、総貯水容量は1,000m3。水色欄は利根川水系8ダム、黄色欄は施工中、桃色欄は事業見直しダムである。本流
一次支流二次支流三次支流四次支流河川施設分類型式高さ総貯水容量事業者完成年備考
利根川矢木沢ダムアーチ131.0204,300水資源機構1967ダム湖百選
利根川須田貝ダム第1類重力72.028,500東京電力1955旧名楢俣ダム
利根川藤原ダム重力95.052,490国土交通省1957
利根川小森ダム第4類重力33.0855東京電力1958
利根川綾戸ダム14.5-東京電力1928[注 20]
利根川坂東大堰堰--土地改良区1951
利根川利根大堰堰--水資源機構1968武蔵大橋
利根川利根川河口堰堰7.090,000水資源機構1971
楢俣川奈良俣ダムロックフィル158.090,000水資源機構1991ダム湖百選
赤谷川赤三調整池第4類重力17.119東京発電1966
赤谷川相俣ダム重力67.025,000国土交通省1959ダム湖百選
薄根川発知川玉原ダム第4類ロックフィル116.014,800東京電力1981
片品川薗原ダム重力76.520,310国土交通省1965
片品川平出ダム第3類重力40.01,400群馬県1964
片品川大滝川(丸沼)丸沼ダム第4類バットレス32.113,600東京電力1931国の重要文化財
吾妻川大津ダム第4類重力19.6108東京電力1931
吾妻川八ッ場ダム重力116.0107,500国土交通省2019
吾妻川(河道外)鹿沢ダム第4類アース18.25,628東京電力1927
吾妻川白砂川白砂ダム第4類重力26.8630東京電力1940
吾妻川白砂川湯川品木ダム重力43.51,668国土交通省1965
吾妻川鍛冶屋沢川鍛冶屋沢ダム第4類重力39.2257東京電力1929
吾妻川四万川四万川ダム重力89.58,600群馬県1999
吾妻川四万川中之条ダム第3類アーチ42.01,180群馬県1959
(河道外)真壁ダム第4類重力26.11,143東京電力1928
烏川碓氷川坂本ダム重力36.3778群馬県1994
烏川碓氷川霧積川霧積ダム重力59.02,500群馬県1975
烏川碓氷川中木川中木ダム第4類重力41.01,600安中市19591979年再開発
烏川鏑川市野萱川市野萱川取水ダム重力25.0-群馬県1992
烏川鏑川市野萱川相沢川相沢川取水ダム重力16.5-群馬県1992


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