列車便所
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列車便所(れっしゃべんじょ)は、鉄道車両の車内に設置される便所


目次

1 設置と形態

1.1 開放式

1.2 貯留式

1.3 バイオトイレ


2 日本の列車便所

2.1 列車式便所

2.2 列車便所の付帯設備

2.2.1 水洗装置

2.2.2 便所使用知らせ灯と戸錠

2.2.3 便所窓


2.3 歴史

2.3.1 列車便所の設置

2.3.2 垂れ流しによる黄害

2.3.3 貯留式汚物処理装置の導入

2.3.4 汚物処理方式の展開

2.3.5 汚物処理装置の完全整備



3 ヨーロッパの列車便所

3.1 TGV

3.2 ICE

3.3 ユーロスター・イタリア


4 脚注

5 参考文献

6 関連項目

7 外部リンク


設置と形態[ソースを編集]

鉄道草創期には列車への便所設置はなく、乗客は途中停車駅での休憩時間に慌ただしく用を済ませる必要があったが、鉄道網の延伸で19世紀中期には長距離の鉄道旅行が普通になり、欧米の鉄道では車内に便所を設けることが一般化した。

長距離運用のあるアメリカなどではディーゼル機関車の車内に便所を設置した例もあったが、日本で機関車に便所を設けた例はない。長距離列車の場合でも、機関士・運転士は通常2時間程度乗務し、所定の駅で別の要員と交代するため、便意は長距離乗務のある車掌ほど深刻にはならないとされたからである。なお、JR貨物では簡易トイレを持参している運転士もいる[1]

ヨーロッパのように陸続きの鉄道やアフリカなどの治安の悪い国々の鉄道では、無銭乗車者、密入国者、麻薬常用者等の犯罪者が潜伏するおそれがあるため、ホーム停車中はトイレが施錠され使用禁止とされている例もある(自動小銃を携行した警備員が警戒に当たっている場合もある)[2]。日本でも不正乗車をする利用者が中で車内改札(検札)を逃れるケース、通学の中・高校生などが中で喫煙するケースや、内部で放火などの犯罪が行われたりするケースが後を絶たない[3][4]
開放式[ソースを編集]停車中のトイレ使用を禁じるプレート(ポーランド、波独仏英の4か国語でその旨が書かれている)

開放式とは汚水管を線路上にそのまま開放し、自然流下させている方式をいう。日本でも開放式が採用されていた時期がある。ヨーロッパでは高速列車以外では未だに多く残っている[2]。開放式の場合、列車走行中でなければ汚物は自然飛散せずにそのまま直下に流下してしまうため、停車中には使用しないよう注意書きが掲示されることがある。

線路等の鉄道設備への衛生上の影響や沿線住宅地域への悪臭等の被害など「黄害」(おうがい、こうがい)と呼ばれる問題が生じることがある。
貯留式[ソースを編集]

最初に列車便所に貯留式便槽を設けたのはイギリスで、地下鉄線に直通する客車の汚物飛散対策として1910年ごろに実用化したのが最初である。
バイオトイレ[ソースを編集]

2008年現在、北海道旅客鉄道(JR北海道)では、列車便所にバイオトイレを導入する研究を、札幌のベンチャー企業バイオラファーと茨城の機械製造企業スターエンジニアリングとの共同で進めている。おがくずに専用の細菌を混ぜたものを分解槽に入れ、その中で汚物と攪拌することで分解処理し、二酸化炭素と水に変えるものである。従来は低温に弱いのが欠点であったが、新たに研究された低温に強いアシドロ菌の導入で可能となった。タンクからの汚物の抜き取り、および汚物の処理には多大な費用を要しているが、バイオトイレでは菌の交換、攪拌とヒーターの燃料費が掛かる程度で、大きなコストダウンが期待されている[5]
日本の列車便所[ソースを編集]

短距離向けの通勤用車両の一部を除いて、日本の旅客用鉄道車両の多くは車内に乗客用の便所を設置している。それらは車両内の限られた空間に設置される必要性から、通常の建築物に設置される便所とは多分に異なる性格を有し、独特の発達を遂げてきた。

日本の鉄道では階段状の床板に填め込まれた和式両用便器か、もしくは洋式便器を設置するのが普通で、室内片隅には小型の手洗器が設置されている。また特急列車などの優等列車に設置される列車便所は、多くの場合隣接する形で洗面所室が設けられている。キハ54形の便所FRPで構成されユニット化された新幹線0系電車の化粧室

通勤形車両については本数が多く、乗車距離が短い大都市への導入がほとんどであるため、便所が設置されることはあまりないが、地方では乗車距離が長い傾向にあるため、設置される場合がある。国鉄・JRにおいては国鉄時代は気動車であるキハ35形キハ38形0番台では長距離運用が想定されたため、製造時から便所が設置され、旧型国電においても地方への転出に際して設置した事例はあるが、新性能電車で便所を設置した事例はない[6]。JR発足後は地方でも通勤形車両が導入されるケースが増加したため、便所付きの通勤形車両が増加している。私鉄では乗車距離が長い料金不要の優等列車にも使用されることがあるため、近畿日本鉄道東武鉄道小田急電鉄西武鉄道では通勤形車両であっても便所を設置した事例がある。このうち、現在でも便所付き通勤型車両を保有しているのは近鉄と西武である[7][8]

列車トイレで使用されるトイレットペーパーは一部の列車を除き設置されていないケースが多かったが、現在では追設または車両新製当時などから既に設置されているケースが増えつつある[9]。旧国鉄時代から現在のJRや各私鉄各社がトイレットペーパーを使用しているメーカーはダイオーペーパープロダクツ(旧・日清紡)の「白樺」が多いが、現在はそれ以外の多数メーカーも使用している。JR九州では乗車券を再生に使用した「きっぷうまれ」というトイレットペーパーを駅も含めて使用している。

JR東日本とJR東海・JR西日本ではトイレの設置場所が逆になっており、東海道本線内においてJR東日本は海側、JR東海(213系5000番台のみ海側)・JR西日本は山側に設置している。また、JR東海の電車は大阪方の車両、気動車(キハ25形キハ75形)は東京方の車両にある。JR西日本115系では、3・4両編成は下関・あき亀山・府中・新郷・宇野・琴平寄りの車両(下り向き先頭車)、2両編成(福知山電車区R編成・岡山電車区G編成・下関総合車両所運用検修センターT編成)は岩国・瀬戸・播州赤穂・東舞鶴寄りの車両(上り向き先頭車)と編成により異なる。JR九州では、鹿児島本線の場合415系811系は八代寄りの車両、813系は門司港寄りと逆である。817系は2両編成は八代あるいは川内寄り、3両編成は門司港寄りと編成により異なる。バリアフリー対応の便所ユニット(JR東日本E231系電車

列車便所は先述のように汚物処理装置の完全整備のため、旧来のものに比べ複雑化、費用上昇してきている。特に汚物処理装置を設置した場合、車両基地に汚物処理地上設備を設置して処理を行う必要があるが、費用面、近隣との環境面から基地に処理設備を設けられないことがある(車両基地バキュームカーを乗り入れさせ、車両のタンクから汚物を抜き取っているケースもある)。これらを理由に列車便所自体の封鎖(ドアノブを外したり常に鎖錠状態にするケースが多い)・撤去・トイレのない車両の導入などを行なうことが地方路線を中心に存在する(関東鉄道キハ300形、長野電鉄2100系など)。


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