公認会計士
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証券業においては末端の社員が数百億円の資金を毎日動かすことができるため、業務監査を怠った企業が数千億円の損失をかぶるなどして倒産するなどのことが時折おこる。またコンプライアンスを徹底し不祥事を防ぐなどその役割がある。日本では業務監査は社内の人員が行うが外国では業務監査を会計事務所などの第三者に委託して客観性を高める場合もある。

会計証明業務は公認会計士のキャリアの基礎となる業務である。公認会計士の卵はたいてい監査法人に勤務して、監査証明業務を行うのが普通である。この場合、最終的には監査法人の従業員から社員になることをキャリアとして目指す。業務内容としては、どの業界の企業の監査を行うのか、さらに監査対象の企業の規模によって異なる。東京一部上場企業でも、日本国内で活動するだけの企業と多国籍企業の監査は規模に大いに違いが出る。また監査法人の社員になると、単に監査を指揮するだけでなく、監査契約獲得の営業が大きな部分を占めてくる。前述したコンサルティング業務を監査とつなぎ合わせて契約を勝ち取る場合が多いため、監査だけでなく経営全般に関する深い見識を顧客に示すことが要求される。この営業能力の有無が最終的に監査士として出世できるかの分け目となる。近年、このような監査営業によって監査法人の独立性が損なわれているのではないかとの批判がなされている。


経理

会計学においては財務会計と対をなす管理会計を基礎とする。経営工学にも通じ、主として、会計情報を経営管理者の意思決定や組織内部の業績測定・業績評価に役立てることを目的としている。また予算の編成にも大いに関る。欧米では工学技師や情報技師、あるいは企業で財務や営業部門で経験をつんだものが、キャリアアップの一環として会計士(あるいは簿記)の資格を取得した場合はその後、管理職に再就職する場合が多い。また雇用側の企業が簿記あるいは会計士の資格を社員にとらせる場合もある。 また海外では管理会計に特化した公認会計士の資格も存在する。代表的なのがSociety of Management Accountants of Canada (カナダ)Chartered Institute of Management Accountants (英国)Institute of Certified Management Accountants (オーストラリア)

で勅許管理会計士(Chartered Management Accountant)あるいは公認管理会計士(Certified Management Accountant)と呼ばれている。これらの会計資格でも監査権限を有する。海外の軍隊の経理将校などはこの資格を有することが多い。


税務

それぞれの国の税法に基づいて税務代理、税務書類の作成および、税務にかかわる相談にのる。これは法律に関する知識が相当量要求される。また弁護士などと競合する分野で、多国籍企業の税務は会計士として一番複雑で難しい部門であるとされる。また日本では以前は会計士と弁護士の資格収得が極端に難しかったので考えられないことだが、欧米では、公認会計士としての資格を取得したあと弁護士の資格を取得して、税務に特化するというキャリアも存在する。オーストラリアでは商学士と法学士の両方を四年で取れる学科も存在する。また独占業務としての税理士が存在するのは日本、ドイツ、オーストリアと韓国、中国だけであるが他の国でも税理士協会は存在する。例えばイギリスではChartered Institute of Taxation(勅許税理協会)が存在する。この協会の制定する試験に合格し一定期間の業務経験をつめば税理士(CharteredTaxAdvisor)となる。ただし日本などと違い税務に関する独占業務権を持たない。しかし税務は複雑な業務であるため企業や監査事務所の税務部門および国税庁の高級官僚は大抵この資格を有する。


財務

最も典型的なのが、監査法人で働いたのち一般企業の財務担当者に天下る転職で、特に政府関連企業先の財務部に監査担当として就職した場合は、好収入が得られるキャリアとして知られている。また、一般企業において財務部に配属された場合は何らかの簿記・会計士の資格取得のために専門学校での学費の手当がある。近年、多額の負債を隠蔽して倒産されたエンロンの財務部門では監査法人であったアーサー・アンダーセン(Arthur Andersen)から天下りしてきた会計士が元のアーサー・アンダーセンの監査士の相対として働いていた。

このような悪例があるにしても、監査法人の業務によって得られる税務・金融に関する知識は多大であるため、例えば、イギリスの上場企業のCFO(最高財務責任者)のほとんど全員が公認会計士の資格を有する。上場企業では会計士の資格がこの部門では管理職への出世の最低条件である場合がほとんどである。

アメリカにおいては、過去二十年間に、会計士の資格を有さない、MBA保持者がCFOになることがしばしば見られた。しかしこれが最近のアメリカ実業界で起こった一連の会計スキャンダルおよび企業倒産の一因ではないかとの批判がおこる。前述のエンロンの場合、企業格付けが高かった絶頂期には簡単に融資が受けられたため財務がおろそかにされ、不正が発覚した後に前任の財務担当者が首になり新しい財務担当者が就任したときはどれだけの債務がどの日に支払期限になるのかも正確に把握していないようなお粗末な内容であった。

これを受けて、「上場企業会計改革および投資家保護法」(Public Company Accounting Reform and Investor Protection Act of 2002:サーベンス・オクスリー法、企業改革法、SOX法)において財務責任者の最低一人は会計士の資格を有してなければならないと定められた。このため、将来的にはアメリカでもCFOは会計士の資格を有するものが占めるようになるであろうと予測されている。


金融

金融は財務と裏表の関係であり、企業の財務担当者として就職する代わりに投資銀行などの企業で投資先の査定などを専門とする業務に就職する。この場合、会計士の資格取得後にChartered Financial Analyst(米国)やCertified International Investment Analyst(欧州)などの証券アナリストの専門資格を取得する。また金融関連の会社ではCFOを経験したのちにCEOに出世するなどのキャリアも存在する。


情報技術(IT)

会計(Account)とは英語で計算(書)あるいは 勘定(書)という意味であることからもわかるように、もともとから企業情報の明細・分別が基礎にあり、このことから会計士は端は明細書から有価証券報告書まで企業の書類(情報)の把握と分類に業務の性質上から深く関っている。このことから会計士の業務としての経理業務の延長としての情報管理業務が存在する。

この業務の誕生はIT産業の発生とほぼ同時期のおこりその起源も意外と古い。世界のコンサルティング会社の大手であるアクセンチュア(Accenture)も元々は世界5大会計事務所(Big 5)の一つであったアーサー・アンダーセン(Arthur Andersen)の分社であり、アクセンチュアの起源はアーサー・アンダーセンの顧客であったゼネラル・エレクトリックが1953年に自動給与支払機の導入についての採算性の調査を依頼したことにある。この調査の結果、UNIVAC Iの導入が決定され、その後の、GEの自動給与支払機の導入プロジェクトを指揮したのがアーサー・アンダーセンの一員であったJoe Glickaufで、アメリカで最初の企業用電算機の導入を成し遂げる。後にGEの会社運営全般のIT化を指揮し、Joe GlickaufはITコンサルティングの父と呼ばれている。監査会社を起源とするコンサルティング会社(他BearingPoint社など)がIT関連の企業コンサルティングの分野で目立つのもこのためである。欧米においては企業の情報管理システムの機能の設定と構築は会計士が行い、そのプログラミングを情報技師に委託するなどの場合がある。日本でもシステムエンジニアが顧客の企業側と交渉を行う場合の相方は経理部門の人間であることが多い。また欧米の学位では情報工学の学部生が単位の半分を会計学部の学科から取り、その後で企業ITの専門家(システムエンジニア)として銀行やコンサルティング会社などに就職するなどの例がある。


コンサルティング業務

会計士は監査業務に携わる関係で膨大な数の企業の経営・財務に関係するだけでなく、管理会計の知識により経理・財務・税務、さらに企業法務にも精通しているため、当然にコンサルティングが副業となる。日本においては公認会計士の名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の調製をし、財務に関する調査若しくは立案をし、又は財務に関する相談に応ずることができる。これは公認会計士法の二項に基づいているので通称で2項業務と呼ばれている。但し、自己監査は監査に非ずの法諺のとおり、他の法律においてその業務を行うことについて様々な制限が設けられている。

1990年代には世界五大会計事務所における利益の半分がコンサルティング業務から得られるという状態になり特にアメリカでは、監査が監査対象企業のコンサルティング業務の副業のような状態になり監査法人の独立性が著しく損なわれたと指摘されている。2000年代初頭に起こった一連の会計不祥事の後は監査会社のコンサルティング部門は別会社として分化されている。

ただし、会計士が監査法人でキャリアをつんだ後、別のコンサルティング会社において管理会計などの知識を駆使して財務、経理、税務、金融、経営、ITのコンサルタントとしてのキャリアをつむことは多い。この場合によく見られるのは、会計士の資格とともにIT関連や証券アナリストの資格、MBA(経営学修士)やまれに弁護士の資格を取得することである。この中で特に多いのは会計士とMBAの掛け持ちである。


その他の業務

日本の公認会計士は、無試験で税理士行政書士登録を受けることができ(税理士法3条4号、行政書士法2条4号)、各団体に登録すれば、それぞれの名をもって各業務を行える。また、公認会計士の名をもって社会保険労務士業務、司法書士業務の一部をなすことができる(社会保険労務士法27条・同施行令2条、但し、申請等の委任受ける業務はできない、昭和25年7月6日法務省民事局長通達甲第1867号、但し、設立登記のみ)。


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