介護保険制度
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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

介護保険(かいごほけん、英語: Long-term care insurance)とは、介護を事由として支給される保険ドイツオランダなどでは通常の医療保険から独立した社会保険制度となっている。一方でイギリススウェーデンで 一般税収を財源とした制度となっている。

日本では公的介護保険と民間介護保険があり、民間介護保険の保障内容には介護一時金や介護年金などがある。

本記事では、社会の高齢化に対応し、平成9年(1997年)の国会で制定された介護保険法に基づき、平成12年(2000年4月1日から施行された日本社会保険制度について記述する。


目次

1 概要

2 保険者

2.1 財源


3 被保険者

3.1 適用除外施設

3.2 住所地特例

3.3 労災保険との調整


4 保険料

4.1 第1号被保険者の保険料

4.2 第2号被保険者の保険料


5 認定手続き

6 給付の種類

6.1 保険給付に関する事柄

6.2 自己負担に関する事柄

6.3 利用費

6.4 地域支援事業等

6.5 受給権の保護


7 不服申立て

8 時効

9 課題

9.1 デイサービスの過剰供給

9.2 施設サービスの供給不足

9.3 不正請求


10 介護報酬

11 脚注

12 参考文献

13 関連項目

14 外部リンク


概要

介護保険法について、以下では条数のみ記す。

介護保険法は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする(第1条)。

かつての日本の公的介護制度は、老人福祉法による福祉の措置として、やむを得ない事由による行政措置の範疇に留まっていた[1]。平成に入ってから、それに代わる新たな制度が議論され、ゴールドプランなどの政策と合わせて、おおむねドイツの介護保険制度をモデルに介護保険制度が導入された[2]。介護保険料については、新たな負担に対する世論の反発を避けるため、導入当初は半年間徴収が凍結され、平成12年(2000年)10月から半額徴収、平成13年(2001年)10月から全額徴収という経緯をたどっている。

介護保険制度では、以下の点にねらいがある。

市町村による行政措置から、社会保険制度への転換

要介護者の家族を介護負担と介護費用負担から解放し、社会全体の労働力と財源で介護する

要介護者が本人や家族の所得や財産にかかわらず、要介護者本人や家族が望む必要で十分な介護サービスを介護事業者から受けられる

多様な事業者によるサービスを提供し、専門的サービス産業としての介護産業を確立する。

医療と介護の役割分担を明確化し、急性期や慢性期の医療の必要がない要介護者を介護サービスにより介護し、介護目的の入院を介護施設に移す。

介護サービスの利用者は在宅サービスを中心に着実に増加し、2000年4月には149万人であったサービス利用者数は、2015年(平成27年)4月には511万人と、約3.4倍になっている[3]
保険者

保険者は原則として市町村及び特別区(以下、特に断らない限り「市町村」と略す)であるが(第3条)、厚生労働省が広域化を勧めてきたことから、広域連合一部事務組合で運営されているケースも多い。厚生労働大臣の定める基本方針に即して、市町村は保険給付の円滑な実施について「市町村介護保険事業計画」を3年を1期として定める(第117条)。

保険者が小規模であるほど、予防による財政効果が目に見えやすいが、安定した経営が難しい。このため、介護保険事業は保険者たる市町村を国や都道府県、及び医療保険各法による医療保険者(全国健康保険協会健康保険組合国民健康保険組合、市町村、共済組合等)が重層的に支える仕組みとなっている。すなわち、

国は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるよう保健医療サービス及び福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策その他の必要な各般の措置を講じなければならない(第5条第1項)。

厚生労働大臣は、地域における医療及び介護の総合的な確保の推進に関する法律に規定する総合確保方針に即して、介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本方針を定める(第116条)。


都道府県は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、必要な助言及び適切な援助をしなければならない(第5条第2項)。

厚生労働大臣の定める基本方針に即して、都道府県は保険給付の円滑な実施の支援についての「都道府県介護保険事業支援計画」を3年を1期として定める(第118条)。


国及び地方公共団体は、被保険者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、保険給付に係る保健医療サービス及び福祉サービスに関する施策、要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止のための施策並びに地域における自立した日常生活の支援のための施策を、医療及び居住に関する施策との有機的な連携を図りつつ包括的に推進するよう努めなければならない(第5条第3項)。

医療保険者は、介護保険事業が健全かつ円滑に行われるよう協力しなければならない(第6条)。

財源

制度の財源 [4]財源負担率
公費(50%)国25%
都道府県12.5%
市町村12.5%
高齢者(65歳?)の保険料22%
若年者(40歳?64歳)の保険料28%

介護給付費の財源は、公費(税収や国債などの政府や自治体の直接収入)と介護保険料(高齢者及び若年者)で賄われ、その比率は50%ずつである[5]

財源の内訳は、公費負担部分については、国の負担は在宅介護給付は25%・施設介護給付は20%、都道府県の負担は在宅介護給付は12.5%・施設介護給付は17.5%、市区町村の負担は在宅介護給付・施設介護給付とも12.5%となる。保険料負担部分は、第1号被保険者保険料(以下「第1号保険料」)は22%、第2号被保険者保険料(以下「第2号保険料」、実際には社会保険診療報酬支払基金が医療保険者から徴収し、「介護給付費交付金」として市町村に交付する)は28%である。当初は国50%、都道府県25%、市区町村25%であった。第1号保険料と第2号保険料の比率は人口構成比により政令によって規定される。

国の負担部分のうち5%部分については調整交付金として交付される。これは要介護となるリスクが高い後期高齢者数の割合や市町村ごとの高齢者所得格差による収入減を調整し、市町村間の財政力の差を解消しようとするものである。自治体関係団体は調整交付金を25%の外枠にするように求めている。
被保険者

市町村の区域内に住所を有する、40歳以上の者が被保険者となる。このうち、65歳以上の者を第1号被保険者といい、40歳以上65歳未満の医療保険加入者を第2号被保険者という(第9条、第10条)。医療保険に加入していない者(例:生活保護法による医療扶助を受けている場合など)は第2号被保険者ではない。第1号被保険者、第2号被保険者とも要件を満たすことで当然に被保険者となる。また医療保険とは異なり、被保険者の資格を失った場合の「任意継続」といった制度はない。

市町村は、第1号被保険者に対し、被保険者証を交付しなければならない。


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