三次方程式(さんじほうていしき、cubic equation)とは、次数が 3 であるような代数方程式の事である。この項目では主に、実数を係数とする一変数の三次方程式を扱う。
目次
1 概要
2 根の様子
3 代数的解法
3.1 カルダノの公式
3.2 還元不能の場合
4 ビエタの解
5 ラグランジュの方法
6 円錐曲線による作図
7 歴史
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一般に一変数の三次方程式は
の形で表現される。現代においては、三次方程式の解法といえば、主に代数的解法の事を意味する。
古代バビロニアにおいて既に代数的に解かれていたと考えられている二次方程式と違い、三次方程式が代数的に解かれたのは16世紀になってからである。11世紀頃、円錐曲線による作図によって三次方程式の根を幾何学的に表したウマル・ハイヤームなども、三次方程式を代数的に解くことはできないと考えていた。
三次方程式の代数的解法はガロア理論へと至る代数方程式論の始まりであり、カルダノが著書『アルス・マグナ』によって三次方程式と四次方程式の代数的解法を公表した1545年は、その影響の大きさから現代数学の始まりの年とされることもある。
まだ負の数が数学者達にあまり受け入れられていなかった時代であり、全ての係数が正の数であるとして扱われたために、例えば、x3 = a1 x + a0x3 + a1 x = a0
の 2 つの三次方程式は、いずれも 2 次の項が無い三次方程式であるが、別の形の方程式とされた。
このように負の数ですら嫌悪された時代に、三次方程式の代数的解法は虚数をもたらした。三次方程式の根が全て正の実数である場合に限っても、代数的解法にこだわる限り虚数を避けては通れないのである。虚数に対する不安は、19世紀にコーシーやガウスが活躍するようになるまで続いた。
また、三次方程式と四次方程式の代数的解法の発見を元に、数学者達は 5 次以上の一般の代数方程式の代数的解法を追い求めた。最終的にこの代数的解法の存在は、アーベル-ルフィニの定理によって否定されるものの、ガロア理論として結実し、群や体などの基本的な代数的構造の概念を生み出した。
三次方程式は、高々 3 個の根を持つ。中間値の定理によれば、実数を係数とする三次方程式は、少なくとも 1 つ以上の実数を解に持つことが分かる。a3 x3 + a2 x2 + a1 x + a0 = 0 (a3 ≠ 0)
が重根を持つ場合、その重根は、この式を形式的に x で微分して得られる、二次方程式3 a3 x2 + 2 a2 x + a1 = 0
の根でもあるため、比較的容易に三次方程式を解くことができる。虚数の根を持つ場合は、 その共役複素数も根となるため、重根を持たない。したがって、重根が現れる場合は、全ての根が実数である。a3 x3 + a2 x2 + a1 x + a0 (a3 ≠ 0)
の根を α1, α2, α3 とすると判別式 D の a34 倍はΔ = a34 D = ? 4 a13 a3 + a12 a22 ? 4 a0 a23 + 18 a0 a1 a2 a3 ? 27 a02 a32
となる。
判別式を計算すれば、具体的に根を求めなくてもΔ > 0 の時、 3 つの異なる実数解を持つ。Δ < 0 の時、 1 つの実数解と 2 つの互いに共役な複素数解を持つ。Δ = 0 の時は、実数の重根を持つ。
ということが分かる。Δ = 0 の時さらにΔ2 = ? 2 a23 + 9 a1 a2 a3 ? 27 a0 a32
と定義すれば Δ2 = 0 の時、三重根を持つ。そうでなければ二重根と(それとは異なる)実数解を 1 つ持つ。
一般的な三次方程式の代数的解法は、カルダノの方法あるいはカルダノの公式として知られる。a3x3 + a2x2 + a1x + a0 = 0(a3≠0)
を a3 で割りx3 + A2x2 + A1x + A0 = 0
の形にする。ただし、
によって変数変換を行うと
のように二次の項が消えた方程式が得られる。見やすいように一次の係数を p, 定数項を q としy3 + py + q = 0
と書く。さらにy = u + v
と置くとu3 + v3 + q + (3uv + p)(u + v) = 0
ここでu3 + v3 + q = 03uv + p = 0
となる u , v を探せば、そこから y の値が求まる。 この二つの式から v を消去すると
この式は u3 に関して見ると二次方程式なので、公式からu と v は対称なので、この二つの解の一方を u3 にとれば、他方は v3 になる。
それぞれの立方根の和として
が求まる。
この解法が見つけられた当時は複素数は知られていなかったため、これで解を求めたことになったが、その後、複素数についての研究が進みx3 = a
の解が ω を 1 の立方根として
の 3 つあることが知られるようになってからは u の立方根をとる際にも同様に 3 つの場合を考えるようになり、それぞれに対応する v を求めることで
が解として知られるようになった。
またx3 + y3 + z3 ? 3 x y z= (x + y + z) (x2 + y2 + z2 ? z x ? x y ? y z)= (x + y + z)(x + ω y + ω2 z)(x + ω2 y + ω z)
という因数分解からもカルダノの方法を説明することができる。y3 + z3 = q?3 y z = p
とおいてみると p, q から y, z を求めることによりx3 + p x + q= (x + y + z)(x + ω y + ω2 z)(x + ω2 y + ω z)
という三次の多項式の因数分解が計算できる。この計算はカルダノの方法と同じである。
カルダノの公式を用いるとx3 + p x + q = 0
という三次方程式は
の時に負の数の平方根が現れる。これは、この方程式の判別式D = ? (4 p3 + 27 q2) > 0
と同値な条件であり 3 つの異なる実数解を持つ条件である。実数解しかないのにも関わらず、カルダノの公式では負の数の平方根を経由する必要がある。カルダノは負の数の平方根を計算に用いることはあったものの、それらの場合は不可能で役に立たないものと考えていた。
ラファエル・ボンベリ(Rafael Bombelli)は、この場合を詳しく研究し1572年に出版した『代数学』(Algebra)に記した。