2017年のイギリスのシンクタンクの調査によると、世界12位の金融センターであり、アメリカの都市では5位である[104]。
文化
史跡・博物館国立アメリカ・インディアン博物館。2004年オープン。スミソニアン博物館の一つ国立航空宇宙博物館
ナショナル・モールは、ワシントンD.C.の中心にある、広大で開放されたエリアである。モールの中心にはワシントン記念塔がある。また、モールの中には、リフレクティング・プールの西端と東端にリンカーン記念館と第二次世界大戦記念碑があるほか、朝鮮戦争戦没者慰霊碑、ベトナム戦争戦没者慰霊碑、アルバート・アインシュタイン記念碑もある[105]。国立公文書館には、アメリカ史にとって重要な何千もの文書が収蔵されており、その中にアメリカ独立宣言、アメリカ合衆国憲法、権利章典の原本も含まれている[106]。
モールのすぐ南、タイダル・ベイスン(ポトマック川に隣接する池)は、桜並木で彩られている。この桜は日本から贈られたものである。タイダル・ベイスンの周りには、フランクリン・ルーズベルト記念公園、トマス・ジェファーソン記念館、D.C.戦争記念碑がある[107]。
スミソニアン協会は、1846年に連邦議会によって創設された教育目的の基金で、ワシントンD.C.内にある国立の博物館・美術館のほとんどを管理している。アメリカ合衆国政府がスミソニアン協会に一部資金を提供しており、収蔵品を入場料無料で公開しているのはこのためである[108]。スミソニアンの博物館の中でも最も来場者が多いのが、ナショナル・モール内にある国立自然史博物館である[109]。このほかに、モール内にあるスミソニアンの博物館・美術館としては、国立航空宇宙博物館、国立アフリカ美術館、国立アメリカ歴史博物館、国立アメリカ・インディアン博物館、アーサー・M・サックラー・ギャラリー、フリーア美術館(サックラー・ギャラリーとフリーア・ギャラリーはいずれもアジアの美術・文化に焦点を当てている)、ハーシュホーン博物館と彫刻の庭、芸術産業館、スミソニアン協会本部(「キャッスル」とも呼ばれる)がある[110]。
スミソニアン・アメリカ美術館(正式には国立アメリカ美術館
、National Museum of American Art)と国立肖像画美術館 (National Portrait Gallery) は、ドナルド・レイノルズ・センターという、チャイナタウン近くの同じ建物に入っている[111]。レイノルズ・センターは旧特許庁ビルとも呼ばれている[112]。レンウィック・ギャラリー (Renwick Gallery) は、正式にはスミソニアン・アメリカ美術館の一部だが、ホワイトハウス近くの分館にある。その他のスミソニアン博物館・美術館としては、南東地区のアナコスティア博物館、ユニオン駅近くの国立郵便博物館、ウッドリー公園内の国立動物園がある。ナショナル・ギャラリー東館。現代美術を収蔵する。ナショナル・ギャラリーは、ナショナル・モール内の連邦議会議事堂近くにあるが、スミソニアン協会のものではない。完全にアメリカ合衆国政府が所有しており、そのためこれも入場料が無料となっている。ギャラリーの西館では、19世紀のアメリカ、ヨーロッパ美術の収蔵品にスポットが当てられている[113]。東館は、建築士のイオ・ミン・ペイによって設計されたもので、現代美術を取り扱っている[114]。スミソニアン・アメリカ美術館と国立肖像画美術館はよくナショナル・ギャラリーと間違われるが、実際は完全に別の組織である。ジュディシャリー・スクエア近くのナショナル・ビルディング博物館 (National Building Museum) は連邦議会が創設したもので、その時々の特別展を行っている。
ワシントンD.C.には私設の美術館も多く、重要な収蔵品・展示品を一般に公開している。女性芸術美術館 (National Museum of Women in the Arts)、コーコラン・ギャラリー(Corcoran Gallery。ワシントンD.C.で最大の私設の美術館)、デュポン・サークルにあるフィリップス・コレクション(Phillips Collection。アメリカで最初の、現代美術を扱う美術館)[115]などである。その他、ワシントンD.C.内の私設の博物館としては、ニュージアム (Newseum)、国際スパイ博物館 (International Spy Museum)、ナショナルジオグラフィック協会博物館、科学博物館 (Marian Koshland Science Museum) がある。ナショナル・モール近くのホロコースト記念博物館 (Holocaust Memorial Museum) では、ホロコーストに関する展示品、文書、工作物が保管されている[116]。
舞台芸術・音楽ケネディ・センターはポトマック川沿いにある。
ワシントンD.C.は、国内の芸術の中心地の一つである。ジョン・F・ケネディ・センターは、ワシントン・ナショナル交響楽団、ワシントン・ナショナル・オペラ (Washington National Opera)、ワシントン・バレエ (Washington Ballet) の本拠地である。毎年、舞台芸術の分野でアメリカの文化に大きく貢献した人に対し、ケネディ・センター名誉賞が与えられる[117]。大統領とファーストレディが名誉賞の授賞式に出席するのが通例である。これは、ファーストレディがケネディ・センター理事会の名誉会長であるためである[118]。
アリーナ・ステージ (Arena Stage) は、アメリカで最も早い時期にできた非営利の地方劇場の一つで、1シーズンに古典的作品や新しいアメリカ演劇などを取り上げた八つの舞台を上演する[119]。シェークスピア劇場 (Shakespeare Theatre) は、1985年に設立された非営利の劇場で、その古典的演劇に対する再解釈や演出手法に対しては、評論家から「世界で最も素晴らしい三つのシェークスピア劇場のうちの一つ」と評価されている[120]。
ワシントン北西地区のUストリート地帯は、「ワシントンのブラック・ブロードウェイ」として知られる。ボヘミアン・カバンズ(Bohemian Caverns、ナイトクラブ)やリンカーン・シアター (Lincoln Theatre) があり、そこではワシントン生まれのデューク・エリントン、ジョン・コルトレーン、マイルス・デイヴィスなど音楽史の伝説的人物が演奏していた[121]。その他のジャズクラブとして、アダムズ・モーガンにあるマダムズ・オーガン (Madam's Organ) やジョージタウンにあるブルース・アリーなどがあり、モダン・ブルースが演奏されている。
ワシントンD.C.には、ここで生まれたゴーゴー (Go-go) と呼ばれる固有の音楽ジャンルがある。ファンクを受け継ぎ、駆り立てるようなパーカッションとR&Bの味わいが、ライブのセッションと激しいダンスのリズムを一体化させている。最も成功したミュージシャンが、D.C.のバンドを率いたチャック・ブラウン (Chuck Brown) で、彼は1979年のレコードBustin' Looseでゴーゴーを全国の注目の的とした[122]。
ワシントンD.C.は、アメリカのインディーズ文化・音楽にとっても重要な中心地である。