レーシック
[Wikipedia|▼Menu]
レーシック手術

レーシック(英語: LASIK)とは角膜屈折矯正手術の一種で、の表面の角膜にエキシマレーザーを照射し、角膜の曲率を変えることにより視力を矯正する手術である。LASIKは、正式名称である「LASER(-assisted) in situ κερατ?μ?λευσι?(keratomileusis)[1]」(英語・ラテン語・ギリシア語からなる)の略 (アクロニム)であり、「レーザー照射を本来の場所に収まったままの眼球に施し、角膜を彫り整えること」の語意がある。

近視を補正する場合、眼鏡コンタクトレンズ等の道具を使用することが一般的だが、レーシックでは角膜を矯正手術することにより正視の状態に近づける。これにより、裸眼視力を向上することができる。1990年代にアメリカを中心にその手術方法が認知されるようになった。
目次

1 概要

2 問題点

2.1 合併症

2.2 角膜感染症


3 現状

3.1 日本

3.2 刑事・民事訴訟


4 一般的な手術の流れ

5 視力矯正手術の種類

6 出典

7 関連項目

8 外部リンク

概要

レーザー機器もしくは、マイクロケラトームと呼ばれる眼球用カンナで角膜の表面を薄くスライスし、フラップ(ふた状のもの)を作り、めくる。表出した角膜実質層にエキシマレーザーを照射し、一部を削る(蒸散させる)。その後、フラップを元の状態に戻し、フラップが自然に吸着する。角膜中央部が薄くなるため、角膜の曲率が下がり(凹レンズを用いたのと同じ効果)、近視が矯正される。視力は術後直後から1日程度で矯正される。視力が安定するには1週間から1ヶ月程度を要し、90%以上の人が裸眼視力1.0以上になる。

フラップは時間の経過とともに安全な強度に近づくが、元には戻らない。強い外圧がかかるとフラップがずれる場合がある。このため格闘技の選手等、顔面に衝撃を伴う職種には向かない。フラップを作らずに角膜上皮から削ることで屈曲率を矯正するPRKや、フラップを再生させることが出来るラセックと呼ばれる同種の手術もあるので、特にスポーツ選手はこちらを選ぶこともある。

角膜に一定の厚さが必要なため、角膜が薄い場合や眼に疾患等を抱えている場合は、手術が受けられない。また、近視の進行する10代などの若年者は手術を受けられない。日本眼科学会のガイドラインでは18歳以上の者でなければ手術を受けられない。米国FDAでも同様に18歳以上としているのに加えて、二十歳代の始めのうちも度数変動のリスクから望ましくないとしている[2]近視遠視乱視を矯正するための手術であるので、加齢により進行する老眼には有効でない。モノビジョンと呼ばれる片方を遠視用、もう片方を近視用とする手術も存在する。

角膜屈折矯正手術後、角膜上皮の再生・治癒反応に伴い、ヘイズ(英: haze)と呼ばれる角膜の混濁が現れる可能性がある。

世界初のレーシックは1990年ギリシャで行われた。1995年アメリカ食品医薬品局がエキシマレーザーの使用認可を出し、アメリカでは1998年以降レーシックが屈折矯正手術の主流となった。日本では、2000年1月に厚生省(現・厚生労働省)がエキシマレーザーの使用認可を出してから受けられるようになっている。歴史が浅いため、長期に渡る安全性が実証されていないとも言われるが、2009年、アメリカの医学誌「Archives of Ophthalmology(眼科学)」11月号にて近視に対するレーザー手術は長期的に見ても安全であるという研究結果が発表された[3]
問題点

術後
合併症等のリスクが存在する(詳細は後段)。

日本の場合、レーシックなどの屈折矯正手術を受けた者は眼鏡で矯正している者に比べて航空機操縦士の受験資格を得ることが難しい。メガネによる矯正では矯正視力の基準と±8D以内の度数制限を満たしていれば受験が可能[4]なのに対して、屈折矯正手術を受けた者は、同日に3回以上視力測定した結果やコントラスト感度などを記した診断書を提出した上で国土交通大臣の判定を受ける必要がある[5]

合併症

レーシックは角膜を手術するため、患者個人による差異はあるものの、合併症が伴う場合がある。中には深刻な合併症となる場合があり、後遺症として残る場合もある。良い条件の患者に有能かつ経験豊富な医師が手術を施した場合、深刻な合併症の起こる確率は1%未満と言われる[6]

深刻でないものを含めれば合併症の起こる確率はもっと高い。手術による合併症で最も多いドライアイは深刻な合併症には当たらないが、American Journal of Ophthalmologyの2006年3月の発表によれば、レーシック後6か月の術後治療期間の後にドライアイに罹患している割合は33.36%である[7]アメリカ食品医薬品局のウェブサイト[8]によれば、このドライアイは、後遺症として残る場合がある。人工涙液や涙点プラグなどが必要になる例もある。

消費者庁は2013年12月4日、事故情報データバンクに登録された情報に基づき、安易なレーシック手術を避けるよう注意を呼びかけた[9]。事故情報データバンクとは消費者庁が国民生活センターと連携し、関係機関から事故情報や危険情報を収集し、事故防止に役立てるためのデータ収集・提供システム。この注意によれば、2013年11月8日までに登録された情報のうち、レーシック手術を受けて危害が発生した件数は80に及んだ。最も多かったのが過矯正による遠視と頭痛、吐き気などによる体調不良だった。その他、乱視、光をまぶしく感じること、ドライアイ、目の痛みが含まれていた。重大な身体被害に至った事例としては、手術直後から2カ月間、目の表面に激しい痛みがあり、寝たきりの状態に至った40歳代の女性の例がある。

手術前の屈折異常の度合いにより、術後に、(かさ)が見えたり、ものが二重に見えたり、コントラストが低下したり、グレアが現れる場合がある。[10]このため、一律の基準で手術を施すのではなく、個々の患者ごとに状況を判断し、手術を行うことが重要であると言われている[11]

以下は、その他に報告されているレーシックの合併症の一部である[12][13]

術前より矯正視力が低下[14]

過剰矯正[15]および矯正不足

視力の変動

ゴースト像[16]

フラップのしわ[17]

フラップの下の塵や腫瘍

フラップの穴[18]

照射のずれによる乱視

角膜拡張

飛蚊症

上皮侵食

後部硝子体剥離[19]

黄斑円孔[20]

角膜感染症

レーシックは角膜を手術するため感染症を引き起こす場合がある。屈折矯正手術に伴う角膜感染症の発生頻度は5,000例に1例程度とされる[21]。通常、レーシックを行う場所では、手術道具の消毒等が徹底的に行われている[22]が、2008年から2009年にかけ、東京・銀座にある眼科でレーシックによる近視の矯正手術を受けた患者67人が、感染性角膜炎などに集団感染していたことが判明した。中央区などによると、2008年9月から2009年2月にかけ、「銀座眼科」でレーシック手術を受けた患者639人のうち1割に当たる67人というかなりの高い割合で感染性角膜炎などを発症し、うち2人が入院。レーシック手術に適応するかチェックせず即日に手術を行うなどずさんな事前検査の体制や、日常的に手術室が待合室から見えるほど衛生的に隔離されておらず、また医療機器の滅菌消毒が不十分だったことが集団感染の原因と見られたため、2009年2月に入って3回の立ち入り調査が行われ[23]、2010年12月7日に元院長が業務上過失傷害の容疑で警視庁に逮捕されるに至った[24]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:31 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:FIRTREE