しかし、1976年に古巣EMI/アップルを離れ、アトランティック・レコードに移籍した頃から、好調だったソロ活動に翳りが見え始める。当時スターは、自らのレーベル、リング・オー・レコードを設立。作品のプロデューサーにアリフ・マーディン
、作曲家にヴィンセント・ポンシア・ジュニアなどを迎え、極めてファンキーなサウンド作りに徹していた。しかし、そういった路線を、より具体的に打ち出した1977年のアルバム『ウイングズ?リンゴW』は、ビルボードのアルバムチャートで100位圏外という結果に終わってしまう。この作品の売上不振を原因に、彼はアトランティックから契約を打ち切られている。プライベートでも腸の病気を患って、一時危篤状態に陥ったり、ロサンゼルスにある自宅が火事で全焼したり、と、1970年代後半はスターにとって多難な時期となった。そんな中、彼は自らが主演を務める映画『おかしなおかしな石器人』の中で共演した女優のバーバラ・バックと恋に落ち、1981年に再婚(前の妻のモーリーン・スターキーとは1976年に離婚している)。だが、その前年の1980年暮れ、ニューヨークで、レノンが精神疾患者に殺害されるという衝撃的な事件も起こった。この事件が起こった直後、夫妻は急遽ニューヨークのオノ・ヨーコのもとに向かい、彼の死を悼んだという。本業では、1980年代に2枚のオリジナルアルバムをリリースするが、シングル・カットされて全米トップ40ヒットとなった「ラック・マイ・ブレイン」以外は全て失敗に終わっている。ジョー・ウォルシュをプロデューサーに迎えて制作された1983年発表の『オールド・ウェイブ』に至っては、本国やアメリカではリリースさえされなかった。1980年代の彼は私生活でもとても退廃的な体たらくだったようで、マッカートニーやハリスンのアルバムや、チャリティ・コンサートなどでドラムを叩く活動が中心だった。1980年代後半はアルコール依存症にも悩まされていた。 そんな彼も、1989年にアルコール依存症患者更生施設での治療を経てカムバック。ブルース・スプリングスティーンのバックバンドであるEストリート・バンドや、イーグルスの元メンバーなどを集めた、リンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドというスーパーバンドを結成し、ビートルズ解散後初の本格的なワールド・ツアーに出る。その年の秋には来日公演も実現した。ビートルズのメンバーがライブを目的として日本に来たのは実に23年ぶりのことであった(ちなみに翌年にはマッカートニー、その更に次の年にはハリスンも来日公演を行っている。元ビートルズが3年連続で来日した事は、日本のロック・ファンを大いに沸き立たせた)。1992年に久々のアルバム『タイム・テイクス・タイム』を発表してからは、その活動はますます精力的なものとなり、1995年にはオールスター・バンドを従えて再び来日した。この際の武道館公演は、『ヴォリューム・ワン』というタイトルのCDとなって、アメリカのブロックバスターという会社から通販限定で発売されている。翌1996年には、日本の宝酒造「すりおろしりんご」のCMに出演し、大きな話題を呼んだ。彼はコマーシャルに出演した唯一のビートルズのメンバーであり、このアップル・ジュース以前にも、アメリカのウォッカや、ピザのCMに出演している。1998年には、キャロル・キングやエアロスミスなどを手がけたことで知られるマーク・ハドソンを、作曲パートナーと共同プロデューサーに迎えて制作されたオリジナル・アルバム『ヴァーティカル・マン?リンゴズ・リターン』をリリース。マッカートニー、ハリスン、ブライアン・ウィルソン、アラニス・モリセットなど、相変わらずゴージャスなゲスト陣とともにレコーディングされたこのアルバムは、彼にとって実に22年ぶりとなる全米アルバムチャートのトップ100入りを果たした。その後はハドソンをパートナーとして、精力的に創作活動に臨み、数枚のアルバムを発表している。数年間隔でオール・スター・バンドのツアーもこなし、マイペースながら着実な活動を続けている。 彼は、多くの映画に性格俳優として出演するなど、音楽以外の面でも才能を発揮している。ドキュメンタリー映画『レット・イット・ビー』を除くすべてのビートルズの映画作品(『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』、『ヘルプ』、TV映画『マジカル・ミステリー・ツアー』、アニメ『イエロー・サブマリン』)において、リンゴは主役またはストーリーの中心的な存在となっている。ビートルズのフロントマンであるレノンやマッカートニーも、これらの映画作品の中ではリンゴを引き立てる脇役に徹している。他のメンバーと違って、コンポーザーとしての才能に長けていなかったこともあって、ビートルズ後期になると、彼はより映画の仕事に重点を置くようになり、ピーター・セラーズとの共演作『マジック・クリスチャン』や、『キャンディ』などの作品を残した。 映画『おかしなおかしな石器人』での共演をキッカケに出会って結婚した、現在の妻バーバラ・バックも、かつては映画『007 私を愛したスパイ』などに出演していた女優である。1980年代には、ビートルズの他の二人の元メンバーとそれぞれスクリーン上で共演した。1982年には妻と共に、ゴドレイ&クレームが監督を務めた短編映画『ザ・クーラー』に出演し、映画を制作したマッカートニー夫妻と共演した。マッカートニーによる1984年公開の映画『ヤァ!ブロード・ストリート』でも、彼はサントラへの参加のみならず、俳優として演技していた。ハリスンとは1985年公開の映画『レゲエdeゲリラ』で競演。エリック・クラプトンをはじめとする豪華なミュージシャンたちと、そろって演奏するシーンに出演していた。本業の音楽に再び精を出すようになった1980年代後半以降、彼が映画に出演する機会は減りつつある。 スターは1989年以降現在に至るまで、不定期であるものの、数年間隔のハイペースで、大物ミュージシャンを多数集めた「オール・スター・バンド」を結成し、活発にツアーを行っている。そのメンバーはイーグルスのジョー・ウォルシュとティモシー・B・シュミット、Eストリート・バンドのクラレンス・クラモンズやニルス・ロフグレン、リチャード・マークス、トッド・ラングレン、ビリー・プレストン、シーラ・E
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