ミッドシップ
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ミッドシップエンジン + 後輪駆動の概念図 ミッドシップの例フェラーリ・F40

ミッドシップ (Mid-Ship) とは自動車におけるエンジンの搭載法の1つで、船体中心という言葉が示す通りエンジンを車体の中心付近に配置する構造のことである。「ミドシップ」「ミッドエンジン」とも言われる。
目次

1 概要

2 利点と欠点

3 歴史

3.1 レーシングカー

3.2 スーパーカー・スポーツカー

3.2.1 横置きと縦置き


3.3 リアミッドシップ以外の配置


4 日本車

4.1 一般自動車

4.2 スポーツカー


5 その他

5.1 玩具

5.2 航空機


6 注

概要

ミッドシップ・レイアウトには以下のような種類がある。 フォーミュラーカーはミッドシップレイアウトを持つ
(リヤ)ミッドシップ

これを指して単に「ミッドシップ」とすることも多い。運転席の後ろ[1]にエンジンを積みリアを駆動する。レーシングカーや多くのスーパーカーが採用している。MRと略すことがある(en:Rear mid-engine, rear-wheel-drive layout)。あるいは運転席の下(アンダーフロア)のこともある。このページでは主にリヤ・ミッドシップを解説する。
フロントミッドシップ

フロントエンジンでエンジンが前輪の車軸と運転席の間にあるものは「フロントミッドシップ」と言われる。この場合は前輪駆動の場合もある(FFミッドシップ)。

ちなみに、前輪駆動では駆動輪に重量を掛けることがほぼ必須であるため、リアミッドエンジンで前輪のみを駆動する形式はほとんど例がない。
ミッドシップ四輪駆動

ミッドシップエンジンで前後輪を駆動するミッドシップ4駆もある。著名なメーカーでは、アウディ傘下に入って以降のランボルギーニ車はすべてリアミッドシップの四駆である。
利点と欠点

最も質量の大きいエンジンの重心が車体の重心に近くなるため、ヨーイングピッチング慣性モーメントが小さくなり、旋回に入りやすくまた旋回を止めやすい。よって機敏に走れてコーナーリング限界も大変高い駆動レイアウトである。FRでは必須なプロペラシャフトが必要ないなど構造を単純化でき、重量軽減にも有利である。ただしトランスミッションをエンジン前方に置き、そこから後車軸までプロペラシャフトで伝達するような配置などもある。そのような配置では、プロペラシャフトは存在するものの、長さがFRのものよりは短い点は有利ではあるが、エンジンの下にシャフトを通すような配置とした場合、エンジン配置位置、ひいては車体の質量中心が上がってしまっている場合もある(ランボルギーニの例では、そのようにしてシャフトをエンジン下中央に通すのがカウンタック以来の伝統の配置でありこれに該当するが、ムルシエラゴで改善が図られた)。

一方で、限界を超えるとスピンに入りやすいという弱点がある。オーバースピードでコーナーに進入してしまうと、フロントエンジンでは重心(正確には質量中心)のある前側が外側に行こうとするため穏やかなアンダーステアになるが、リアミッドシップでは重心のある後側が外側に行こうとしてオーバーステアとなり、しかもブレーキングによって前に荷重を掛けてもオーバー(ステア)に、逆に駆動力を強く掛けてもパワーオーバー(ステア)によってオーバーステアとなるので、それまで行ってきた適切且つ微妙なカウンターステアを当てたりしたとしても対処が極めて難しい。よってリアミッドシップはスポーツカーやレースカーに限られ、その操縦特性の観点からも一般ドライバー向けの車の採用例はほとんどない。リアミッドシップは運転席と後輪の間にエンジンがあるため、ほとんどの場合は後席を設けられず2人乗りに限定され、荷室も広く取れない。まれに横3人乗りや非常に狭い後席付き(2+2)の例もあるが、いずれにせよ乗用車に採用するには実用性に欠ける。

駆動輪である後輪に重量がかかることから、駆動力が効果的に路面に伝わることは利点である。これはリアエンジンとも共通する利点だが、操安性はリアエンジンとは大きく異なる。ミッドシップは前述のように、コントロールされている範囲では高いポテンシャルを持つ。一方でリアエンジンは、サスペンションとの組み合わせによっては、いわゆるジャッキアップ現象との関連で転倒の危険がある、などの性質がある。
歴史
レーシングカー アウトウニオン・タイプC

(リア)ミッドシップにエンジンを置くことは、前述のような利点から、レーシングカーから採用が始まった。著名な例としては、1934年にフェルディナント・ポルシェが設計した、アウトウニオンのPヴァーゲン(タイプA?D)がある。

Pヴァーゲンの成功があったものの、フォーミュラカーを含むレーシングカーの大半は、第二次大戦後もしばらくは多くがフロントエンジンだった。しかしミッドシップの採用例もあり、早くも1947年にクーパークーパー・500(後のF3となる)でミッドシップを採用した。クーパーはF2F1などにもミッドシップを採用し好成績を挙げたことから、追従するコンストラクターもあった。 ロータス38。オーバルコースであるインディアナポリス専用車のため、左右のサスペンションの長さが異なっている

F1が本格的にミッドシップに移行したのは、やはり前述のクーパーのT43(en:Cooper T43)が1958年のアルゼンチングランプリで、初の優勝したミッドシップエンジン車になったことに始まる。1959年が「移行の年」であり、1960年にはほぼ全ての優勝車がミッドシップで、フロントエンジンによる最後の優勝車はフェラーリ・246F1であった。インディカーでは1965年のインディ500(en:1965 Indianapolis 500)が、33台中フロントエンジンは6台のみで、ロータス38が初優勝したミッドシップ車となった「ミッドシップへの移行が決定付けられた」レースとされる。

このようにして、1960年代以降のフォーミュラカーでは、フロントエンジンに代わってミッドシップ縦置きが標準的なレイアウトとなった。

続いてラリーカーでも、1970年代にはランチア・ストラトスなど、ミッドシップエンジン車が活躍するようになる。これらでは横置きされた。日本ではあまり知られいない例では、共産圏(ソ連)のFF車ラーダ・サマーラをベースとした特殊改造モデルのラリーカーにもエンジンをミッドに配したものがある。

さらにラリーでは、1980年代に入ると、その名も4駆をうたったアウディ・クワトロ(フロントエンジン)が登場し好成績を見せると、4駆化がトレンドとなった。ミッドシップ4駆の嚆矢は1984年途中から参戦のプジョー・205ターボ16である。翌85年と86年には、グループBにミッドシップ4駆のモンスターマシンが登場したが、ヘンリ・トイヴォネンの死亡事故をはじめとする大事故が続発、1986年限りでグループBによる世界ラリー選手権は中止され、ミッドシップ4駆のラリー車も消えていった。日本勢ではトヨタ・222D日産・MID4などの試作車があった(なお同時期のもう一台の「幻の日本勢ラリー車」であるスタリオン4WDラリーはフロントミッド)。
4輪駆動

F1ではミッドシップ化に引き続き、4駆もあらわれた。1960年代に存在した4駆F1(en:Four-wheel drive in Formula One)はフロントエンジンのFerguson P99を除きミッドシップ4駆である。前述のようにグループBのマシンにもミッドシップ4駆が多くある。
横置き

レーシングカー、特にフォーミュラカーでは通常縦置きミッドシップであるが、横置きミッドシップのフォーミュラカーの例もある。

ホンダの最初のF1マシンであるRA271が、V12エンジンを横置きで搭載していた。「2輪車メーカーとしての経験から、横置き(2輪車の大半はエンジン横置き)のほうが設計しやすかったため」という説がある。ただし整備性に難があったことに加え、1966年にF1のレギュレーション変更でエンジン排気量が3リッターに拡大され、V12エンジンのサイズ的に横置きが困難となったことから、同年のRA273以降は縦置き配置に改められている。

また日本独自のフォーミュラだったFL500などは、エンジン横置きFFの軽自動車のパワーユニットを使用している例が多く、やはりエンジン横置きが主流だった。
スーパーカー・スポーツカー 世界初の量産ミッドシップカー
マトラ・ジェット 1962-1968
写真はV S(5型S)

1960年代以後は市販のスーパーカースポーツカーにも、ミッドシップを採用する例が見られるようになった。

一般に、乗用車にミッドシップ・レイアウトを採用すると車室やトランクのスペースが大きく制限されてしまい、車としての実用性が低下する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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