シアノバクテリア
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藍色細菌門
ユレモ属の1種 Oscillatoria sp.
地質時代
先カンブリア時代 - 現代
分類

ドメ
イン
:真正細菌 Bacteria
:藍色細菌門 Cyanobacteria

学名
Cyanobacteria



クロオコッカス目 Chroococcales

プレウロカプサ目 Pleurocapsales

ユレモ目 Oscillatoriales

ネンジュモ目 Nostocales

スティゴネマ目 Stigonematales

グロエオバクター目 Gloeobacterales

※分類は現在過渡期にあり混乱している

藍藻(らんそう、blue-green algae)は、藍色細菌(らんしょくさいきん、cyanobacteria)の旧名である。藍色細菌は、シアノバクテリア、ラン色細菌とも呼ばれる細菌の1群であり、光合成によって酸素を生み出す酸素発生型光合成細菌である。単細胞で浮遊するもの、少数細胞の集団を作るもの、糸状に細胞が並んだ構造を持つものなどがある。また、ネンジュモなどの一部のものは寒天質に包まれて肉眼的な集団を形成する。


目次

1 特徴

2 細胞

3 分類

4 生態

5 系統

6 最初の酸素発生型光合成生物?

7 光合成

8 ゲノム

9 細胞分化

10 毒素

11 利用

11.1 有機肥料

11.2 食用


12 アクアリウムにおける藍色細菌

13 脚注

14 参考文献

15 関連項目


特徴[ソースを編集]

藍色細菌はその名の通り、青っぽい緑色、つまり藍色をした光合成細菌である。酸素非発生型の光合成細菌である紅色細菌、緑色細菌などと同様、菌体や培養液の色に由来する名称である。あまり大きなものはなく、顕微鏡下でのみ観察できる。単細胞単体のもの、少数細胞が群体的に集まったもの、細胞列が糸状に並んだものなどがある。糸状細胞には、偽分枝するものと真の分枝をするもの(スティゴネマ類)がある。細胞外に寒天質の鞘などを分泌してより大きな集団を作る例も知られる。また、一部には休眠細胞(アキネート)、連鎖体(ホルモゴニア)、異質細胞(ヘテロシスト)、内生胞子 (baeocyte) などの細胞の分化が見られる。
細胞[ソースを編集]

細胞には細胞壁(ペプチドグリカン)と脂質を含んだ外膜があり、グラム染色性陰性菌に分類できる。鞭毛を持つものはないが、線毛(繊毛ではない)をもち単細胞で運動するものや未知のしくみで糸状細胞が活発に滑走運動を行うものがある。ユレモの名はこれに由来するが、その運動の機構は十分にはわかっていない。窒素固定をするものがあり、ヘテロシストを形成してその細胞だけで窒素固定をするものと、ヘテロシストのような特別な細胞分化をせずに夜間にすべての細胞が窒素固定するものなどがある。

原核細胞であり、細胞内には他の藻類に見られるような細胞小器官を欠く。細胞内には、光合成の明反応を行うチラコイド膜、炭酸固定を行うカルボキシソーム、有機窒素の貯蔵用のシアノフィシン、リン貯蔵用のポリリン酸顆粒などが存在する。
分類[ソースを編集]

形態分類と系統による分類が一致しないことが多く、混乱している。したがって、種小名は未決定(sp.)となっているものも多い。属名は、一応、フランスのパスツール株保存施設(PCC)[1]が整理しており、多くのデータベースがこれに準拠している。ここでは、大まかな分類群について述べる。

クロオコッカス目 - 単細胞性、窒素固定するものとしないもの、鞘状の多糖類を分泌するものとしないもの、桿状もしくは球状の細胞な形態を示すものがある。

プレウロカプサ目 - 単細胞性で、baecytes(内生胞子)を生じる。baecytesは、複数の細胞分裂によってひとつの細胞から2?1000個生じる。このような分裂は原核生物では他に例を見ない。

ユレモ目 - 栄養細胞が一列につながった糸状体(トリコーム)を形成するが、窒素固定のためのヘテロシストなどの細胞分化をしない。

ネンジュモ目 - 細胞が一列につながって糸状体を形成し、必要に応じて窒素固定のためのヘテロシストを分化する。また、移動性のホルモゴニアや休眠性のアキネートを分化するものもいる。

スティゴネマ目 - 細胞はおおむね一列につながって糸状体を形成し、ヘテロシストやホルモゴニアを形成するなどネンジュモ目と似ているが、ときに細胞分裂の面が直交して糸状体が分枝する。

グロエオバクター目 - 形態的には単細胞であるが、細胞内にチラコイド膜が存在せず、16S RNA系統でももっとも古く分岐したとされる。1種類だけ知られている。

生態[ソースを編集]

海水(海洋、沿岸)や淡水(河川、湖沼)中に多いが、砂漠も含めた陸上で増殖するものや動物や植物と共生するものもあり、地球上で非常に広く分布している[2]

夏場に淡水で発生するアオコのなかには藍色細菌が大量に発生した結果引き起こされるものもある。この中には悪臭の原因になったり毒性を持つ種も含まれる。海水に広く分布し、地球の光合成生産に大きな貢献をしている。海洋性のシネココッカス Synechococcus やプロクロロコッカス Prochlorococcus は、とくに暖かい海に多い。1988年に発見されたプロクロロコッカスは地球上でもっとも多い光合成生物といわれている。赤潮を起こす種類(Trichodesmium など)もある。

ネンジュモ属のイシクラゲなどは湿った地上に、キクラゲのような姿で発生する。食用にすることもできる。この仲間は乾燥耐性が強く、何十年も乾燥状態で休眠できるものがいる。また、砂漠の砂土の表面でも増殖し、表土を固定する役割を果たしている。

温泉には、好熱性の種が生息している。知られているもっとも高い増殖温度は73℃という。また、南極や北極海でも生息が知られている。

一部の種は他の生物と共生している。アナベナはアカウキクサの葉に、ネンジュモ類はソテツツノゴケ類の配偶体などに共生して、窒素固定産物を供給している。また菌類と共生して地衣類を形成するものもある。1975年に発見されたプロクロロン Prochloron はホヤと共生しており[3]、単独の培養はまだ成功していない。
系統[ソースを編集]

かつて植物全体が単系統と考えられていた時代には、もっとも単純な藻類と考えられた。しかし、分類学の発展から原核・真核の区別が重視されるようになると、これが別の界(あるいはドメイン)におかれるようになった。また、細胞内共生説からは藍色細菌は真核藻類の祖先型ではなく、それらが持つ葉緑体の起源であると考えられるようになり、細胞本体に関しては系統上の連続性は認められなくなった。

葉緑体のリボソームRNA塩基配列は単系統を示し、さらに藍色細菌の系統樹の中に含まれる。これは、植物や二次共生藻類のすべての葉緑体の直接の祖先が藍色細菌であること、さらに葉緑体を生じた細胞内共生が1回だけ起きたという仮説を支持している。藍色細菌の系統樹によれば、もっとも古く分岐したのは、チラコイド膜をもたない Gloeobacter violaceus である。また、クロロフィルbをもつプロクロロンやプロクロロコッカスなどは藍色細菌の系統樹内に散在している。これはクロロフィルbをもつ藍色細菌(元は原核緑藻とも呼ばれた)の出現が進化の中で比較的新しいことを示唆している。

このような経過によって、細菌の一群であることを明確にするため、藍色細菌やシアノバクテリアの呼称が使われるようになった。現在では藍藻の英訳であるblue-green algaeという名称はもはや使われなくなっており、和訳の藍藻も慣習的に使われている程度である。細胞壁に外膜があり、グラム染色性陰性菌ということになるが、大腸菌などを含むプロテオバクテリアとは門レベルで異なる独立した系統を形成している。酸素非発生型の光合成細菌の光合成装置としては、光化学系Iに似た鉄硫黄クラスター型のものと、光化学系IIに似たキノン型が存在しているが、一つの種にはどちらか一方しか存在しない。したがって、藍色細菌の2種の光化学系は、2種類の酸素非発生型光合成細菌の融合(もしくは遺伝子の水平移動)によって生じたと考えられている。

系統解析も行われているが、他の細菌と同様、研究者によって見解が分かれている。キャバリエ=スミスらはクロロフレクサス・デイノコッカス-サーマスが最も古くに分かれた系統であり、藍色細菌はその次に古いとしている[4]。グプタらの例ではグラム陽性菌が最も初期に分かれた系統で、次にクロロフレクサス、その後藍色細菌と他のグラム陰性菌が分かれたという[5]。クロロフレクサスをシアノバクテリアの最近縁に置き、グラム陽性菌、デイノコッカス-サーマスを合わせたテッラバクテリアというクレードを挙げる者もいる[6]


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