カーボンナノチューブ
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カーボンナノチューブ(: carbon nanotube、略称CNT)は、炭素によって作られる六員環ネットワーク(グラフェンシート)が単層あるいは多層の同軸管状になった物質。炭素同素体で、フラーレンの一種に分類されることもある。

単層のものをシングルウォールナノチューブ (SWNT)[注 1]、多層のものをマルチウォールナノチューブ (MWNT)[注 2] という。特に二層のものはダブルウォールナノチューブ (DWNT)[注 3] とも呼ばれる。


目次

1 概略

2 構造

3 性質・応用

3.1 エレクトロニクス

3.1.1 半導体

3.1.2 燃料電池

3.1.3 光学機器


3.2 構造材料

3.3 その他


4 カーボンナノチューブの発見と生産

5 作製方法

5.1 アーク法

5.2 レーザーアブレーション法

5.3 CVD法

5.3.1 DIPS法

5.3.2 CoMoCAT法

5.3.3 HiPCO法

5.3.4 スーパーグロースCVD法



6 健康被害を及ぼす恐れ

6.1 労働安全衛生


7 カーボンナノチューブ以外のナノチューブ

8 脚注

9 出典

10 関連項目

11 外部リンク


概略

カーボンナノチューブはその細さ、軽さ、柔軟性から、次世代の炭素素材、ナノマテリアルといわれ、様々な用途開発が行われている。非常に高い導電性熱伝導性耐熱性を持つことを特性としている。 樹脂ゴムインク塗料など、通常は熱や電気を伝導しない素材への応用が見込まれる。 長尺になると少量でも導電性や熱伝導性を発揮し、強度も高くなる[1]カーボンナノチューブの幾何学構造図。アームチェアチューブ、ジグザグチューブ、カイラルチューブの3種類に分けられる。

カーボンナノチューブ (CNT) の直径は、0.4?50nm。その名の通りナノメートル単位であるため電子顕微鏡によって観察できる極小の世界である。
構造

カーボンナノチューブは、基本的には一様な平面のグラファイトグラフェンシート)を丸めて円筒状にしたような構造をしており、閉口状態の場合、両端はフラーレンの半球のような構造で閉じられており5員環を必ず6個ずつ持つ。5員環の数が少ないため有機溶媒等には溶けにくい。7員環が含まれる場合には内径が大きくなり得るため太さの違うCNTが形成され、8員環では枝分かれ状の構造も作り出せると考えられている。チューブは筒のような構造のためキャップを焼き切るなどにより中に様々な物質を取りこむ事ができる[2]。ナノチューブとフラーレンが結合したカーボンナノバッド[注 4]という形も理論的には予測されている[3]

最も基本的な単層カーボンナノチューブの表面はグラフェンシートの表面図のようになっており、そのグラフェンシートの幾何学的構造の違いによって3種類のカーボンナノチューブが成立するとされる。グラフェンの六角形の向きはチューブの軸に対して任意の方向にとれるため、このような任意の螺旋構造の対称性を軸性カイラルといい、グラフェン上のある6員環の基準点からの2次元格子ベクトルの事をカイラルベクトルと呼ぶ。カイラルベクトルは以下のように表される。

C h = n a 1 + m a 2 = ( n , m ) {\displaystyle C_{h}=na_{1}+ma_{2}=(n,m)}

このベクトルを指数化した(n,m)をカイラル指数と呼び、チューブの直径や螺旋角はカイラル指数によって決まる。チューブの直径dは以下になる。

d = a π ( n 2 + n m + m 2 ) {\displaystyle d={\frac {a}{\pi }}{\sqrt {(n^{2}+nm+m^{2})}}}

以上のように、立体構造の全てはカイラル指数によって左右される。3種類のそれぞれの構造体には名称があり、ナノチューブの軸に直角な場合をアームチェアチューブ (n,n)、軸に並行な場合をジグザグチューブ (n,0)、それ以外のナノチューブはカイラルチューブと呼ぶ。

また、SWNTではカイラル指数によって金属型と半導体型のナノチューブに分かれ、n-mが3の倍数では金属型であり、3の倍数でない時は半導体の特性を示す[4][5]
性質・応用直径別に分離されたCNT
エレクトロニクス
半導体

構造によってバンド構造が変化し
電気伝導率バンドギャップなどが変わるため、シリコン以後の半導体の素材としても期待されている。

銅の1,000倍以上の高電流密度耐性、銅の10倍の高熱伝導特性、高機械強度、細長い、などの特性がCNTの電子材料としての特長であり[6]集積回路などへの応用が期待されている[7]

半導体としてのCNTをトランジスタのチャンネルとして用いることで、高速スイッチング素子として用いられることが期待される。CNTはP型半導体的な極性を示す。

金属型CNTと半導体型CNTを分離する方法は過酸化水素水を使用する方法[8]や、アガロースゲルを用いて分離する方法[9]などが発見されている。アガロースゲル(寒天)を用いた方法ではSWNTさえあれば家庭レベルで安価・簡単に分離する事ができる。その基本的方法はCNTをゲルの中に含ませて凍結、解凍後に絞りだすだけである。これにより95%の半導体型SWNTと70%の金属型SWNTに分離できる。さらに、化成品や医薬品の産業生産工程に広く用いられているカラムクロマトグラフィーとアガロースゲルを用いた方法では、半導体型95%、金属型90%に分離できる。分離された薄液は様々な色を呈する[10][11]

IBMでは導電性CNTを焼き切る方法を用いて、半導体CNTを分離しプロセッサへの応用を考えていた[12]


燃料電池

導電性の高さと表面積の大きさ(閉口状態で1,000m2/g、開口状態で2,000m2/gに達する
[13])から燃料電池としての応用も進められている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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