カタパルト
[Wikipedia|▼Menu]

この項目では、艦艇から航空機を射出するための機械について説明しています。この機械の語源ともなった、中世の投擲兵器については「カタパルト (投石機)」をご覧ください。
カタパルト後端の発艦位置に着いたF-14

カタパルト (aircraft catapult) は、艦艇(現代では主に航空母艦)から航空機を射出するための機械である。また宇宙船やロボットなどを射出する装置もカタパルトと呼ばれる。射出機(しゃしゅつき)とも呼ばれる。また、地上から滑走路を使わずに離陸する場合に使われる、動力つきの発射台もカタパルトと呼ばれる。


目次

1 概要

2 航空母艦以外での運用

3 航空母艦での運用

3.1 利点と欠点

3.1.1 利点

3.1.2 欠点


3.2 現代の運用


4 各国のカタパルト

4.1 日本

4.2 アメリカ合衆国

4.3 中国

4.4 イギリス

4.5 ドイツ

4.6 イタリア

4.7 ソビエト連邦/ロシア


5 脚注


概要

カタパルトには火薬式、油圧式、空気式、蒸気式、電磁式のものがある。開発初期の試作においてはスプリング式やフライホイール式が実験されたこともある。航空機が飛び立つための充分な長さの飛行甲板を持たない場合などにカタパルトにより射出し、離陸速度を確保した。飛行甲板自体の長さが発艦に足りる長さであっても、カタパルトをあわせて利用することで甲板後部により多くの航空機を並べて待機させ、作戦に同時投入することも可能となるメリットがある。

現代のカタパルト付きの空母で運用されているジェット機(CTOL機)は重量があり失速速度も高いので、カタパルト無しでの発艦は考慮されていない。
航空母艦以外での運用

航空機が発達し水上機が実用化された1920年代から、軍艦に水上機を搭載し偵察・哨戒に用いる動きが各国海軍で起こった。しかし当初は航行する艦上から水上機を発艦させる手段がなかったため、艦を停止して水上機をデリックで水面に下ろす必要があった。この不便を解消するため、飛行甲板を持たない戦艦巡洋艦の上から水上機を直接発艦させる手段としてカタパルトの研究が行われた。数々の試作型を経て実用的なカタパルトが開発され、第二次世界大戦の始まった頃には多くの戦艦・巡洋艦がカタパルトと水上機を装備するようになっていた。戦艦・巡洋艦など砲撃をその主目的とする艦の搭載水上機には、それ以外にも弾着観測という任務があり、大型艦の多くがカタパルトを搭載していた。このほか、水上機を多数載せカタパルト発艦させる水上機母艦という専門の艦種も生まれた。また、潜水艦のような小型艦でもカタパルトを搭載すれば水上機の運用ができた。

大日本帝国海軍では、火薬式のカタパルトを巡洋艦以上の艦艇に搭載し、戦艦には弾着観測を目的とした二座水偵(水上偵察機)を、巡洋艦には偵察を目的とした三座水偵を搭載するという運用をしていた(カタパルトを2基装備し格納庫が広かった大和型戦艦には両機種とも搭載された)。また艦隊全体として偵察は巡洋艦の水偵で行うこととし、空母艦載機を偵察に積極的に用いることは後年まで行なわれなかった。なお改装で航空戦艦となった伊勢型戦艦では、22機の艦載機をカタパルト2基を用いて1分間隔で射出する計画で、航空母艦の補助戦力として開発された給油艦速吸」においても同様の火薬式カタパルトが装備された。しかし瞬間的に爆発的な加速を行う火薬式カタパルトは機体およびカタパルト本体への負荷が大きく連続射出や魚雷装備など兵装満載状態の艦攻の発進には不向きであり、火薬式に変わる全備状態の艦載機の連続射出が可能なカタパルトの開発にも失敗したため、大日本帝国海軍の航空母艦にカタパルトは全く装備されなかった(空母「加賀」には装備の準備として甲板に溝が設けられたが装備は実現しなかった)。構造上圧搾空気を多用する潜水艦では、圧縮空気式のカタパルトが用いられ、伊400型等多くの潜水艦で運用されていたが、水上艦艇では一部の艦艇に実験的に装備されるに留まっていた。

ドイツでは、蒸気カタパルトの実用化に世界で初めて成功し、CAMシップに酷似した、大型水上機や飛行艇を運用する為のカタパルト艦を運用していた。[要出典]

イギリスでは、商船を敵機の攻撃から守るために、商船に1機の陸上用戦闘機のみを発射可能なカタパルト1基を装備したCAMシップを建造した。CAMシップでは発艦した戦闘機は母艦に帰還不能でパイロットはしばしば死亡し、運用上の柔軟性もなかったことから、商船に簡易な飛行甲板を設けて空母状にしたMACシップの登場により姿を消した。MACシップにはカタパルトは装備されなかった。

アメリカ海軍におけるカタパルトの歴史に関しては、次項で詳述する。

第二次世界大戦終結後、対艦攻撃手段としての戦艦の主砲ミサイルによって置き換えられて弾着観測の必要性がなくなり、また哨戒には実用化されたヘリコプター艦載機として搭載することでカタパルト無しに巡洋艦や駆逐艦から直接発艦も着艦も可能となったため艦載機はすべてヘリコプターとなり、空母以外の艦艇からカタパルトは急速に姿を消した。

上においてもカタパルトを使用すれば、離陸用の滑走路が必要なくなる(他にゼロ距離発進という方法もあり、ゼロ距離発進にカタパルトを併用する場合もある)。その場での着陸を必要としない場合、カタパルトの使用は有効な手段になる。陸上におけるカタパルトの使用事例としては、第二次世界大戦中のドイツ空軍においてV-1飛行爆弾の地上発射に用いられ実戦に使用された他、大日本帝国海軍の特攻桜花の改良型(エンジンのジェットエンジン化・航続距離大幅延伸)である桜花43型の地上発進用に千葉県三芳村の知恩院や京都府比叡山延暦寺にカタパルトが設置されたがこちらは実戦には使用されなかった。ベトナム戦争では、南ベトナムに展開したアメリカ海兵隊航空部隊が、初期においてカタパルトを使用していた。

アメリカ海軍戦艦ミズーリ」上のヴォートOC2Uキングフィッシャー偵察機

イギリス海軍潜水艦M2号」と艦載機

復元されたV-1の発射台

トラックから射出されるRQ-2 パイオニア

航空母艦での運用

航空母艦(空母)における艦上機発艦用の油圧式カタパルトを世界で最初に実用化したのはイギリス海軍で、「アーク・ロイヤル(初代)」やイラストリアス級に装備された。その技術はアメリカ海軍に供与され、アメリカの空母にも油圧カタパルトが装備された。そしてアメリカで多数建造されイギリスに供与された護衛空母によってUボート狩りを行い、商船船団を守った。この際にも小型の護衛空母で艦載機を運用するのにカタパルトが役立っている。

アメリカ海軍は空母の実用性を探るため実験的に改装されて生まれたアメリカ最初の空母「ラングレー」において火薬式カタパルトを装備しており、1922年11月18日に世界で初めて空母からカタパルトで発艦することに成功した。ただし空母用カタパルトとして実用的なものではなかったため1928年に撤去されており、ラングレー自身も1936年に水上機母艦に再度改装された。続くレキシントン級にはフライホイールとクラッチを組み合わせたTypeF MkIIカタパルトが装備されたが、このカタパルトは臨時に水上機を飛行甲板上から発艦させる必要が生まれた時のためのものであり、艦上機の発艦用ではなかった。アメリカ海軍が艦上機発艦用の実用的カタパルトを入手するのはイギリス海軍から油圧式カタパルトの技術供与を受けてからで、「レンジャー」・ヨークタウン級に装備されたが、ヨークタウン級では太平洋戦争開戦後に低出力で実戦に不向きとして一旦撤去されている。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:52 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:FIRTREE