エナメル質
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A-歯冠
1-エナメル質 2-象牙質 3-歯髄 4-歯肉
B-歯根
5-セメント質 6- 7-血管 8-神経

エナメル質(エナメルしつ、enamel)または琺瑯質(ほうろうしつ)は、歯冠の最表層にある、生体で最も硬い硬組織で[1][2][3]ある。モース硬度は6 - 7を示す[2]。このエナメル質と、象牙質セメント質歯髄で歯は構成される[4]。通常目に見える部分がこのエナメル質であり、象牙質に支えられている。象牙質の支持がなければエナメル質は硬くてもろいため、容易に割れてしまう[5]。重量比で96%は無機質で残りが有機質であり[6]、色は明黄色からネズミ色がかった白色である。エナメル質の下に象牙質がない端の部分では、青みがかって見えることもある。半透明であるので、エナメル質の下にある象牙質や歯科修復材料の色が歯の外見に強く影響を与える。厚さは部位により異なり、多くの場合、切端部、咬合部で最も厚く(2.5mm以上)歯頸部(エナメル-セメント境)で最も薄い[7][2]


目次

1 構造

1.1 境界部


2 構成成分

3 物性

4 発生

4.1 乳歯と永久歯におけるエナメル質の違い


5 破壊

5.1 予防

5.2 診断

5.2.1 電気診

5.2.2 レーザーによる蛍光診断



6 エナメル質への歯科処置

6.1 エナメル質の除去

6.2 エッチング

6.3 エナメルボンドレジン

6.4 歯のホワイトニング


7 人種による違い

8 エナメル質の異常

8.1 遺伝・染色体異常

8.2 局所的な要因

8.3 全身的な要因


9 動物のエナメル質

10 脚注

11 参考文献

12 関連項目


構造上の部分がエナメル質。
下はセメント質。

エナメル質の基本構造はエナメル小柱と呼ばれている[5]。エナメル小柱は組織化されたパターンの中に多くの水酸燐灰石の結晶が入っている[1]。断面は、頭を外側に、下を内側においた鍵穴のように見える。

エナメル小柱の中の水酸燐灰石の結晶の配置は非常に複雑となっている。エナメル質を作るエナメル芽細胞とトームス突起(英語: Tomes' process) の両方が結晶のパターンに影響を与える。エナメル小柱頭部の結晶は小柱の長軸に完全に平行となっている[7][1]が、尾部では方向が長軸とややずれる[1]

エナメル小柱の配置は内部構造よりも理解しやすい。エナメル小柱は歯に沿って列を作り、象牙質に垂直に配置されている[8]永久歯では、エナメル-セメント境付近のエナメル小柱はわずかに歯根の方に傾く。象牙質の支持を受けないエナメル質は破折しやすいので、歯の保存修復においてエナメル質の走行を理解することは重要である[8][9]

エナメル小柱の周りはエナメル小柱間質として知られている。エナメル小柱間質はエナメル小柱と同じ構成を持っているが、結晶の方向が異なるので、組織学的に区別される[7]。エナメル小柱間質とエナメル小柱の結晶が合う境界は、エナメル小柱鞘と呼ばれる[10]

顕微鏡でエナメル質の断面を見たときに見える縞をレチウス条と呼ぶ[8]。トームス突起の直径の変化によって起こるこれらの縞は、木の年輪のようにエナメル質の成長を示す[11]。レチウス条が表層に出た所に、周波条(英語: Perikymata) と呼ばれる浅い溝が見える[12][13]新産線は他の縞より暗く出生前後の境界を示す[14]。また、反射光を用いて顕微鏡でエナメル質を見た際に現れる明帯と暗帯が交互に並ぶ領域を、ハンター・シュレーゲル条(英語: Hunter-Schreger band) と呼ぶ[15]。これは小柱の走行の変化により起こる光学的現象であり、光の方向が変わると明帯と暗帯は逆転する[15]
境界部

歯頸部にあるエナメル質とセメント質の境界をエナメル-セメント境(セメント-エナメル境とも)と呼び、これは解剖学的歯頸線と一致する。歯頸線は唇(頬)側および舌(口蓋)側では歯根側に凸弯し、近心側および遠心側では歯冠側に凸弯する[16]。拡大して見た場合、滑らかな曲線ではなく、鋸歯のような複雑な形を示す[17]。境界部でエナメル質とセメント質は約30%が移行的に連続するが、約60%はセメント質がエナメル質を覆い、約10%が連続せずに象牙質が露出している[18][19]。エナメル質を覆っている部分のセメント質はセメント舌と呼ぶ[19]。また、大臼歯では、歯頸部から歯根部にかけて球状のエナメル質塊が存在することがあり、これをエナメル滴と呼ぶ[20]

エナメル質と象牙質の境界をエナメル象牙境と呼ぶ。横断研磨標本において、同部を調べると、一定の間隔でエナメル小柱が蛇行、ねじれ弯曲などのために暗くなっている部分があり、これを エナメル叢(英語: Enamel tufts) と、エナメル象牙境からエナメル質表層まで向かう薄板状の構造を エナメル葉 と、象牙質側からの紡錘状の侵入物を エナメル紡錘 と呼び、これらの部分は石灰化度が低く有機物が多い[21][9]
構成成分

重量比で96%は無機質で残りが有機質である[6]

無機質は大部分がリン酸カルシウムの結晶である[5][22]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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