もんじゅ
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概説

もんじゅは、MOX燃料(プルトニウム・ウラン混合酸化物)を使用し、消費した量以上の燃料を生み出すことのできる高速増殖炉の実用化のための原型炉であり、高速実験炉常陽でのデータを基に建設された、日本で2番目の高速増殖炉である。

核燃料サイクルの計画の一環であり、新型転換炉ふげんと共に開発が進んでいた。日本国政府は、高速炉開発を「国家プロジェクト」と位置付けており[1]、国際的にも高速炉を始めとした「第4世代原子炉」の研究開発において、主導的な役割を果たしているとされた[2]。もんじゅは、その中心となる施設である。2011年現在、常陽及びもんじゅによって得られたデータを基にして、高速増殖炉開発の次の段階となる実証炉の設計が行われている[3]

もんじゅは1995年に、冷却材金属ナトリウム漏洩と、それによる火災事故を起こしたが[4]、事故が一時隠蔽されたことから、各所で物議を醸した。その後、運転再開のための本体工事が2007年に完了し、2010年5月6日に2年後の本格運転を目指して運転を再開した。しかし、2010年8月の炉内中継装置落下事故により、再び稼働ができなくなった。2012年に再稼働する予定[5]であったが実現せず、2016年12月21日廃炉が正式決定された(節「#歴史」を参照)。

もんじゅの目的は、高速増殖炉の原型炉として実用化・商用化に向けた技術開発に寄与することであった。すなわち、その設計や建設・稼働の経験を通じて、高速増殖炉の発電性能および信頼性・安全性を実証し、また高速増殖炉の経済性が、将来の実用炉の段階において、既存の発電炉に対抗できる目安を得ることであった。

もんじゅは、日本原子力発電株式会社敦賀発電所関西電力株式会社美浜発電所の2つの発電所と接続されている[6]もんじゅは敦賀市(緑色部)北西部の敦賀半島に位置する
名称の由来

「もんじゅ」の名は仏教文殊菩薩に由来する。若狭湾に面する天橋立南側にある天橋山智恩寺本尊から来ているといわれる。新型転換炉「ふげん」ともに「文殊、普賢の両菩薩は、知慧と慈悲を象徴する菩薩で、獅子と象に乗っている。それは巨獣の強大なパワーもこのように制御され、人類の幸福に役立つのでなければならない」[7]と願いを込めて命名された。

「もんじゅ」の命名は、他の新型動力炉「常陽」「ふげん」とともに動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の副理事長・清成迪(きよなり・すすむ)が発案[8]したものであるが、その発案に当たっては、当時の仏教学界や国文学界の首脳とも相談したということが当時の広報室長・関根瑛應の証言で判明している。仏教学界では宮本正尊、国文学では土岐善麿の名前が挙げられている[9][10][11]

巷間でよく言われる曹洞宗の大本山永平寺の貫首(住職)が名付け親という話、清成に助言した[12]というのは誤情報である。永平寺の機関誌『傘松』第630号(1996年3月)では、貫首命名説を訂正・謝罪しており、命名の時期が1970年昭和45年)ということからも成り立たない[13][14]
仕様

原子炉型式: ナトリウム冷却高速中性子型増殖炉(高速増殖炉 ループ型)

熱出力: 71万4千kW (714MW)

最大電気出力: 28万kW (280MW)

燃料の種類: MOX燃料

燃料交換間隔: 約6か月

燃料交換方式: 単回転固定アーム方式

熱効率: 39%

冷却材: 金属ナトリウム

原子炉入口冷却材温度: 397℃

原子炉出口冷却材温度: 529℃

燃料集合体: 198本

燃料増殖比: 約120% (1.2)

制御棒本数: 19本

原子炉格納容器: 鋼製格納容器

建設費: 約5,900億円/約1兆810億円(当初予算/現在までの累計額)

製造メーカー: 日立製作所東芝三菱重工業富士電機

設備

番号原子炉形式建設主体定格電気出力定格熱出力運転開始現況
MONJU
高速増殖炉(FBR)日立製作所東芝三菱重工業富士電機24.6万kW71.4万kW1995年8月廃炉決定

歴史

ここでは公式の表記との比較のため元号も併記している。

1967年(昭和42年)10月2日動力炉・核燃料開発事業団(動燃)設立

1968年(昭和43年)9月26日高速増殖炉の実験炉「常陽」の次の段階として、原型炉の予備設計開始

1970年(昭和45年)4月:建設候補地に、福井県敦賀市白木を選定。立地自治体の敦賀市の了承、福井県の内諾。地質等調査開始

1975年(昭和50年)9月17日:原子力委員会によるチェックアンドレビュー開始

1976年(昭和51年)2月20日:福井県および敦賀市と安全協定を締結

1978年(昭和53年):環境審査開始

1980年(昭和55年)

安全審査開始

4月1日:原子炉産業4社(東芝日立製作所富士電機システムズ三菱重工業)が出資して高速炉エンジニアリングを資本金3億円で設立


1983年(昭和58年)1月25日:建設準備工事着手

1985年(昭和60年):本体工事着工

1990年(平成2年)7月20日:動燃アトムプラザ開館

1991年(平成3年)

3月22日ナトリウム現地受入れ(国内輸送)開始

5月18日:機器据付け完了式典・試運転開始


1992年(平成4年)12月:性能試験開始

1994年(平成6年)4月5日:10時01分臨界達成

1995年(平成7年)

8月29日:発電開始

12月8日:ナトリウム漏洩事故発生


1998年(平成10年)10月1日:動燃解体 - 核燃料サイクル開発機構発足

2005年(平成17年)

3月3日:ナトリウム漏洩対策の準備工事を開始

9月1日:ナトリウム漏洩対策の本体工事着手

10月1日:独立行政法人日本原子力研究開発機構発足


2007年(平成19年)

5月23日:本体工事終了

8月31日:運転再開に向けての原子炉の確認試験開始


2008年(平成20年)

5月15日:新燃料(初装荷燃料)の1回目の輸送

7月18日:新燃料(初装荷燃料)の2回目の輸送


2010年(平成22年)

5月6日:10時36分運転再開

5月6日・7日:放射性ガスの検知器が誤作動

5月8日:10時36分臨界確認。試験として約1時間後、19本の制御棒のうち2本を挿入し未臨界とした。

8月26日:原子炉容器内に筒型の炉内中継装置(重さ3.3トン)が落下。長期の運転休止となる(炉内中継装置の引き抜きは2011年6月24日に完了)。

12月28日:非常用ディーゼル発電機(発電出力:4250Kw)3台のうち1台(C号機)の故障が判明[15]


2011年(平成23年)

3月23日東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、福井県はもんじゅの安全性確保について、文部科学省に申し入れをした[16][17]

4月5日:福島第一原子力発電所の事故を受け、全電源喪失時対応訓練を実施した[18](なお、4月26日の共同通信の報道[19]によると、4月現在の装備では、もんじゅを含めた多くの原子炉で電源車では十分な冷却が不可能とされた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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