がん免疫療法
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この項目では、がんの治療法について説明しています。アレルギー性過敏症の治療法については「アレルゲン免疫療法」をご覧ください。
リツキシマブのFabと結合したCD20(英語版)ペプチドエピトープ

がん免疫療法(がんめんえきりょうほう、Cancer immunotherapy、Immuno-oncology)とは免疫機構の非特異的免疫機構(自然的免疫系、Innate immunity)の獲得免疫系に作用をもたらして、異物排除や免疫記憶のより高次の特異的応答を誘導させることにより、病気を治療する方法をいう。広い意味での健康食品の摂取(漢方薬など)から、モノクローナル抗体やサイトカイン(免疫担当細胞の情報物質)の投与、細胞の移入療法、免疫強化療法など多岐にわたる方法が研究の対象となる[1]
目次

1 がん免疫療法の分類

2 開発の経緯

3 細胞免疫療法

3.1 樹状細胞療法

3.1.1 Sipuleucel-T



4 抗体療法

4.1 モノクローナル抗体の種類

4.2 細胞死の機序

4.2.1 抗体依存性細胞傷害 (ADCC)

4.2.2 補体系


4.3 免疫チェックポイント阻害


5 サイトカイン療法

5.1 インターフェロン

5.2 インターロイキン


6 ポリサッカリドK

7 研究中の手法

7.1 養子免疫療法

7.2 抗CD47抗体

7.3 抗GD2抗体

7.4 多糖類

7.5 新生抗原


8 マスコミの動き

9 注意点

10 脚注

11 関連項目

12 外部リンク

がん免疫療法の分類

免疫療法は次の様に分類される[2]。これらはがん細胞がしばしば通常とはわずかに異なる分子を表面に発現しており、免疫系にそれを認識させる事で攻撃対象となる様に誘導している。これらの分子はがん抗原(英語版)として知られ、多くの場合は蛋白質であるが、多糖類である場合もある。免疫療法では免疫系を刺激してこれらを標的とし、腫瘍細胞を攻撃させる。

A 間接的か直接的か

患者本人の免疫システムの活性化

がんワクチン

免疫チェックポイント阻害

サイトカイン


体外から免疫物質を注射

抗体

養子免疫療法

B 治療方法による分類

細胞免疫療法(ワクチン療法)

サイトカイン療法
インターロイキン2やインターフェロンといったサイトカインが薬剤として使用され、腎臓がんやメラノーマには保険が適用されている。

生体応答調節療法(Biological Response Modifiers:BRM)

抗体療法

遺伝子療法

これらの内、抗体療法は最も進展しており、多種多様な癌腫が治療対象となる。抗体は免疫系が作り出す蛋白質であり、細胞表面の標的抗原に結合する。通常の生理機能としては、免疫系は病原体と戦うためにある。それぞれの抗体は1つまたは数種類の抗原と結合する。これらの内、がん抗原と結合するものががん抗体として用いられる。

なお、生体応答調節療法の一つとして有名なものに丸山ワクチン(BRM、生物学的反応修飾剤)がある。現在、厚生労働省に手続きのうえ治験薬として使用されているが、これも免疫療法の一つである。

細胞表面受容体(英語版)は抗体療法の標的として最も一般的であり、代表的なものにCD20(英語版)、CD274(英語版)、CD279(英語版)等がある。抗原に結合した抗体は、抗体依存性細胞傷害を誘導し、補体系を活性化し、あるいはリガンドが受容体に結合することを妨げて、最終的に細胞死をもたらす。アレムツズマブイピリムマブニボルマブオファツムマブリツキシマブなど、複数の抗体ががん治療に用いられている。

細胞免疫療法はがんワクチンとも呼ばれ、血中または腫瘍から免疫細胞を取り出す処から始まる。腫瘍に特異的に応答する免疫細胞が活性化され、培養されて患者の体内に戻されて、がん組織を攻撃する。細胞の種類としては、ナチュラルキラー細胞、リンフォカイン活性化キラー細胞(英語版)、細胞傷害性T細胞樹状細胞が用いられる。商品化された唯一のものは前立腺癌に対するSipuleucel-T(英語版)である。

サイトカインの例として、免疫系を制御し協業するインターロイキン-2およびインターフェロン-αがある。インターフェロン-αは有毛細胞白血病、AIDS関連カポジ肉腫濾胞性リンパ腫慢性骨髄性白血病悪性黒色腫の治療に使われる。インターロイキン-2は悪性黒色腫腎細胞癌の治療に用いられる。
開発の経緯

がん免疫療法は腫瘍学および免疫学の発展に伴って開発されてきた。免疫学は1796年にエドワード・ジェンナー天然痘を予防するために牛痘で免疫化した事から始まる。19世紀の終わりにエミール・アドルフ・フォン・ベーリング北里柴三郎ジフテリア毒素を投与された動物で血清中に抗毒素が産生されていることを発見した。パウル・エールリヒの研究がもたらした「魔法の弾丸」という考え方の下、病原体に対する特定の抗体が研究され始めた。治療に用いる純粋なモノクローナル抗体は1975年にジョルジュ・J・F・ケーラーセーサル・ミルスタインが開発したハイブリドーマ法により作成することが可能となった。米国で1997年(日本では2001年)、最初の癌治療モノクローナル抗体であるリツキシマブが米国FDAで濾胞性リンパ腫の治療薬として承認された。それ以降、10を超える抗体が承認されている。アレムツズマブ(米国2001年、日本2014年)、オファツムマブ(米国2009年、日本2013年)、イピリムマブ(米国2011年、日本2015年)等である。

がんワクチンはモノクローナル抗体より遅くに開発された。最初の細胞免疫療法剤(がんワクチン)Sipuleucel-T(英語版)は米国で2010年に前立腺癌治療薬として承認された[3][4]
細胞免疫療法
樹状細胞療法「樹状細胞ワクチン療法」も参照 がん患者から血液細胞を身体から取り出し、腫瘍抗原を入れて培養して活性化させる。成熟した樹状細胞をがん患者本人に戻すと、免疫反応が惹起される。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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