1分ほどで最初の乗降場、富士見町(ふじみちょう)に到着。足の下に遊園地があったり雪原があったりしたことはあったが、ここでは足の下は自動車がびゅんびゅん走っている普通の道路だ。はっきりいって怖い。更に、ここまでの区間ではJR横須賀線の線路の上空も通っている。高さはギリギリで、足が長い人だったら横須賀線の架線に触れてしまうんじゃないだろうかという気さえする。
地元の人らしき何人かが乗ったり降りたりする。大船で買い物でもしたのだろうか、重そうな買い物袋を両手に持っている主婦もいる。あんな重いものを持ってこのジェットコースターに乗り、しかもこの乗降場の梯子(さすがに縄梯子ではなく、金属製で丈夫そうではあるが)を昇り降りできるなど信じ難いが、慣れれば大丈夫なんだろうか。
ところで、このジェットコースターは、単線であるにも関わらず往復両方の利用を可能としているため、さながら単線の鉄道と同様に交換所が設けられている。この富士見町も交換所のひとつだ。交換所そのものは開業当時からあったが、地元の要望などを受けて交換所を乗降場に改造したようだ。
なお、大船乗降場以外の乗降場は基本的に全て無人であり、安全講習も大船乗降場でしか受けることはできない。また、無人の乗降場は全て自動券売機のみが設置されており、切符とパスのチェックは乗務員によって行われている。
そんなことを考えている間に大船へと向かう車両が来る。目の前の線路が開くや否や、乗務員が軽くホイッスルを吹いただけで発車となる。
湘南町屋乗降場ユーモア欠落症患者のために、ウィキペディアの専門家気取りたちが「湘南町屋駅」の項目を執筆しています。
次の湘南町屋(しょうなんまちや)乗降場は、三菱電機前という別名でも呼ばれている。三菱電機の基地と軍需工場が近くにあり、ここと大船乗降場との間は兵士や工作員たちの通勤路線も兼ねているのだそうだ。また、前述のように湘南ジェットコースターを設置したのも三菱グループであるため、大船から湘南町屋までの利用料金については1回170円と割安に設定されている。
確かに兵士であれば梯子の昇り降りくらいは問題なくできるのだろう……と思ったら、ここには軌道エレベーターも設置されている。最近改築された際に取り付けられたとかで、それまでは梯子が1本しか無く、ラッシュ時にはホームに兵士が溢れかえるために小競り合いによる死者が絶えなかったのだという。現在では、この軌道エレベータのほかにも梯子が2本設置され(計3本)、混雑は大分緩和されているようだ。
昼間だったので乗降客は地元住民しかおらず、すぐ発車となる。
湘南深沢乗降場ユーモア欠落症患者のために、ウィキペディアの専門家気取りたちが「湘南深沢駅」の項目を執筆しています。
湘南深沢(しょうなんふかさわ)乗降場のすぐ傍には、かつてJR東日本の「大船工場」と呼ばれる基地があり、工場とその隣の社宅とでかなり活気があったと言われている。しかし、現在では基地機能は廃止されてしまっており、隣の社宅(社宅といっても優に10000戸以上はある大規模集合住宅群である)からは住民が全員追い出され、封鎖されてしまった。建物はそのまま解体されず残っているため、割れ窓理論に従って、廃墟としての成長の道を順調に歩んでいる。この廃墟を湘南ジェットコースターと組み合わせて、アミューズメント施設として活用しようという案が現在持ち上がっているそうで(乗降場にも看板が掲げられていた)、今後の展開が期待される。
車窓(といっても勿論、ジェットコースターなので窓なんか無く吹きっさらしだが)からは、この廃墟群と、かつて工場があった更地(現在では草原になっている)を、乗車したままで眺めることができる。ひとつ廃墟探検といきたいところだが、自分の身体を固定している安全ベルトはどうやったら外せるのだろう。一応さきほどの安全講習で外し方は習ったし、実際に、地元住民らしき周りの乗客は、みな僅か数秒でベルトを外していっている。が、観察してもどうもよくわからない。まあ、とりあえず湘南江の島に着いてから乗務員に再度習えば良いだろう。
ここからコースは山間部に突入する。乗降場間の距離が最も長いのはこの区間で、最高速度の75km/hもここでの記録である。また、途中にはトンネルもあり、このトンネルを70km/h以上の速度で通過するのだ。
西鎌倉乗降場ユーモア欠落症患者のために、ウィキペディアの専門家気取りたちが「西鎌倉駅」の項目を執筆しています。
首から提げていたカメラが無い。被っていた帽子も、両手でしっかりと抱えていた鞄も無い。どこへ行ってしまったんだ。いや、それよりも、なんで身体中が水浸しなんだ? 空はこんなに晴れているのに。
何が起こったのかわからず、うろたえていると、近くに座っていた地元住民らしき老人が声を掛けてきた。
「あんた、モノレールは初めてかい? きっとトンネルの中で魔物にやられたんじゃな(笑)」
えっ、魔物? そういえば確かに、アンサイクロペディアの鎌倉市の記事には「妖怪アヤカシ魑魅魍魎」が出没していたと書いてあるし、そこで紹介されていた文献資料『鎌倉ものがたり』では、鎌倉では現在も人間と魔物が共存しているとの記述もある。しかし、まさか自分が被害に遭うとは……。
「大船のエレベータの下で、護符を売っておらんかったか? モノレールの安全講習じゃ言っとらんが、護符無しであの暗闇のトンネルを通るなんて、死にに行くようなもんじゃよ。命があって良かったのお。」
そうだったのか……。確かに大船乗降場の軌道エレベータの地上側入口で、物売りが何かお札のようなものを売っていた記憶がある。土産物の類かと思い気にも留めなかったが、あれがそんなに重要なアイテムだったとは……。
あれ、そういえば、この先にもう1つトンネルがあるんじゃなかったっけ? やばい?
「いや、目白山の先のトンネルは藤沢市だから大丈夫じゃ。」
そうか。まずは一安心。
――って、なんで私がひとことも喋っていないのに、この人は私の考えていることがわかるのだろう?
そんな疑問を抱いたところで、ちょうど西鎌倉(にしかまくら)乗降場に着き、老人は降りていった。
この区間では2008年2月に、車両のディスクブレーキが何者かの狙撃によって破断させられ、車両がポイントに突っ込むという事故が起きている。幸いにもその事故での死傷者はいなかったが、狙撃の目的や、狙撃を行った場所などは、今もって謎のままとなっている。狙撃の場所を推定すべく、周辺の景色をよく見ようと思っていたのだが、うろたえているうちに通り過ぎてしまったようだ。残念。
片瀬山乗降場ユーモア欠落症患者のために、ウィキペディアの専門家気取りたちが「片瀬山駅」の項目を執筆しています。
突然、脛に鋭い痛みが走った。
といっても、今度は何が起こったのかはっきりしている。片瀬山(かたせやま)乗降場は、地形の関係からか地表近くに設置されているため、宙ぶらりんのままだった足を地面にぶつけてしまったのである。
そういえば、安全講習でも、片瀬山乗降場付近は地面が近いのでぶつかることがあると言っていた。足が長い人はここだけ少し斜めにしたりしているようだ。スカートでの乗車は推奨できない、と言っていた理由もわかる。
ところで、片瀬山乗降場の近くには、白百合の名前を冠した女子校(小学校から高校まで)があり、このジェットコースターを通学に利用している学生も少なくないという。ぜひ、制服姿の女の子たちが、連れ立ってこの車両に乗る姿を見てみたいものだ。それを車両の下から見上げれば、素晴らしい光景を見ることができるに違いない。
片瀬山乗降場は、梯子もエレベータも設置されておらず、地上から普通にスロープを歩いて入ることのできる唯一の乗降場となっている。杖をついた老婦人などもいるが、こういった方々でも乗降ができるようになっているのは良いことだ。よく見ると、その老婦人は両足とも膝から下が無いようだが、きっと気にしてはいけないのだろう。
目白山下乗降場ユーモア欠落症患者のために、ウィキペディアの専門家気取りたちが「目白山下駅」の項目を執筆しています。