利用者:額田倫太郎/建築確認申請の厳格化問題
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法令情報に関する注意: この項目は特に記述がない限り、日本の法令について解説しているのかもしれません。最新の法令改正って何でしょう?
ご自身が現実に遭遇した事件については、このような場所に入り浸らず、その現実と向き合って解決して下さい。免責事項もお読み下さい。
ユーモア欠落症患者のために、ウィキペディア専門家気取りたちが「建築確認申請」の項目を執筆しています。

建築確認申請の厳格化問題(けんちくかくにんしんせいのげんかくかもんだい)とは、2007年6月20日施行の改正建築基準法によってありえないくらい厳しくなった建築確認申請によって発生したいろいろややこしい出来事のことである。目次

1 背景

1.1 審査の簡略化

1.2 民間確認機関

1.3 偽装事件


2 法改正へ

2.1 審査の厳格化


3 方針転換

3.1 審査の遅延

3.2 緩和


4 構造審査

4.1 構造適合性判定の問題

4.2 さらなる問題


5 注釈

6 関連項目

背景
審査の簡略化

建築確認申請はもともと、審査と言いつつもその実たいした審査はせず、高度な工学の成果である建築物という難しい題材を扱うわりには、その審査はひたすら甘々であった。業界は甘々にやりたい放題だったが、さすがに欠陥品を作ってしまおうという業者はごく一部で大半の業者は真面目に頑張っており、甘々でも別にどうにかなっていた。

しかしながら、役所のすることは全て気にくわない業界は、そのままでもたいして困 6b11 らないこの甘々手続きすら手抜きしたがった。世の常である。また一部の業者は、少しでも脱法するチャンスを増やそうと考えた。こうしたムーブメントは業界全体を動かし、ついには建設省(当時)に強烈な接待と裏金と脅迫の嵐を浴びせ、審査の簡略化を迫ったのである。

建設省は建設省で「審査するのがめんどいしなぁ。それに審査を簡単にすれば手抜き工事があっても業者に責任を押しつけられるし、ま、いっか」と言って確認審査の簡略化にとりかかった。こうした流れは1996年あたりから明確になり、役所は審査らしい審査をしない状態になりつつあった。

それまでザル法であった建築基準法はザルを通り越してただの輪っかと化し、すでに法律かどうかすら怪しい状態になって行った。
民間確認機関

また1999年には、国土交通省(建設省より名称変更)は「もう審査自体がめんどくなってきちゃった。民に出来ることは民に民間にやらせちゃえ」と言い出し、確認審査業務そのものを企業にやらせる、つまり狼に羊の番をさせるという最強の手抜きを思いついて実行した。ちなみに、こうして成立した民間確認機関(正確には指定確認機関)の出資者の大半が建設業者であるのは公然の秘密である。

とは言え、これらの緩和は全て、マスコミを含めた国全体が進めた規制緩和の一環であり、ある意味ではごく自然な流れだったのである。
偽装事件

こうして建築確認申請の審査は、簡略化と民営化の流れの中でどんどん緩々になって行ったが、これを見て「偽装なんて簡単ぢゃん」と思ったのは一人二人ではなかった。いや筆者も思った。というわけで当然の結果として偽装が始まった

その中で一部業者が逮捕されたのは当然の結果であって、業界人は一人残らず「ついにパクられやがったか間抜けめ。しかしこりゃ派手にやらかしたなぁ」と感じ、「歴史に残る凶悪犯が厳しい法の眼を巧みにくぐり抜けて21世紀で最も凶悪な事件を起こした」と驚愕したのはマスコミだけであった。

そもそも手抜き工事自体は昔からごく普通にやってきたことで、1960年代は手抜き天国で、耐震偽装問題など可愛く見える時代であって、むしろバブル崩壊後のほうが工事の質が上がった(手抜きをする業者は一瞬でホされて廃業になり、真面目な業者しか生き残れなかった)くらいであったが、センセーショナルな話題が大好きなマスコミにとってはどうでもよい話であり、それぞれのテレビや新聞は日々、建設業界人にとっては珍しくも何ともない当たり前の話題で盛り上がった。
法改正へ

時を同じくして、営利企業であって、顧客から文句を言われるのを一番恐れ、一つの仕事にかかる時間が短いほどよく、人件費も少しでも削りたい民間確認機関の審査能力が全然ボロボロひどくバラツキがあるという、当たり前の事実がさもセンセーショナルなニュースのように広まった。

こうして、偽装問題の大ブームの中で民間確認機関という制度まで叩かれまくった国土交通省はついに、「お前らが簡略化しろって言ったんだろ! もう知るか! 俺は知らないぞ! そこまで言うなら滅茶苦茶厳しくしてやるからな、覚えてろよ!」とブチ切れた。

こうして驚異の法改正が始まったのである。
審査の厳格化

というわけで国は、これまで簡略化してきた規定を全て撤廃し、これまでの流れと完全正反対真逆で180度異なる法改正に踏み切った。

まず、これまで「もう小さな建物の構造審査しなくていいや。やめちゃえ」と自分から言い出した構造審査の簡略化を撤廃した。これで構造審査を受ける建築物が数倍に増えた(正確には以前の状態に戻った、ではあるが)。また、条文一つ一つについて事細かに審査し、その記録を具に記録するよう、都道府県や市町村、民間確認機関に命令した。これだけでは腹の虫が治まらず、設計事務所に対して、条文一つ一つについてチェックリストを作成し、コメントをつけるように命じた。また、どこからどう見てもクリアしている条文についてでさえ、詳細な審査を行うように命じた[1]

さらに、審査する役人たちに、自分がどんな審査をしたのかの事細かな記録を15年間保管するように命じた。

これらの命令のため、書類作成にかかる時間は5倍、審査にかかる時間は10倍ほどに増え、民間確認機関は経営が立ち行かなくなった。役所に保管される書類の量は10倍以上になり、役所の倉庫が不足して新しく倉庫を借りたり建てたりする必要が出てきて余分な税金が消費されるようになった。

また、提出した書類にほんのちょっとでもミスがあったら、書類は失格となり、一から申請しなおすように法改正した。それまでは書類の訂正が認められ、失格になる書類はほとんど無かったが、法改正でごく限られた例外的な訂正以外は認められず、申請そのものがあぼーんされることになったのである。その結果、今まで1回で済んでいた申請が2回以上になって、審査にかかる時間はさらに長くなった。
方針転換

国はこれ以上ないくらい厳しくしたので、「これで偽装はおきないぜ、ザマーミロw」と宣言。しかしこの改正は、「予想外な」問題を引き起こした。[2]
審査の遅延

厳格化された結果、どうでもよくて完全に無意味でただ申請者と役所の負担を増やして地球温暖化を推進する以外に役に立たない書類を山ほど作る必要が出た。このため確認申請業務は一気に滞った。具体例は以下の通り。

これまで普通は一週間以内、条件がそろえば1日で降りることもあった在来木造住宅の確認申請に、平気で1ヶ月?2ヶ月の時間が必要となった。

大規模の建物の確認に数ヶ月かかることが珍しくなくなった。もちろんその間の金利は建て主の負担である。

以前は「簡単な確認申請なら自分で出しちゃえ!」という意欲的な建て主が時々見られたが、改正の結果事実上不可能となった。

これまでは普通に確認が降りたのに、書類の手直しが原因で確認の下りない物件が続出し、建物の着工件数が3割減(東京都に限って言えば7割減)となって建設業界は大打撃を受けた。

緩和

上記のような問題はあくまで表面的な数字に表れる部分にすぎず、しかもこれですら、あまりの急激な改正に建設業界の危機感を察した各地の役所が自発的に審査を緩和してどうにかこうにか遣り繰りした結果であった。

国は一時、「役所が勝手に緩和するとはなにごとだ! てめーら勝手なことすんじゃねぇ! 制裁喰らわすぞ!」と意気込んでいたが、業界と役所に加えてマスコミまでが一斉に騒ぎ立てた結果、突如方向転換を行った。

まず、「我々は審査を真面目にやってくれと言っただけで、厳しくやれとはひとことも言っていない」と自民党ばりの妄言を連発。続いて「これくらいなら緩和してもいいよ」という緩和方針を小出しに発表し始めた。もっとも、その緩和方針は全く不十分で、国はさらなる緩和方針を積み重ねざるを得なくなっていた。

こうした緩和の結果、最初に国が発表した「厳格化」の方針はほとんど骨抜きとなり、何のための改正を行ったのか全くわけがわからない状態になり、一方で業界は「まだちょっと厳しいけど、これくらいなら仕方ないか」と方針を受け入れる方向になったため、騒動は一段落したのである。
それにしても、厳格化の話を最初に発表してから1年の間に国の主張がどんどんトーンダウンしてゆく様子はある種のギャグとも言えた。

構造審査

審査の厳格化のもう一つが、構造計算書の二重チェックであった。

この背景として、コンピュータを使った複雑高度な構造計算が登場し、人間では不可能な(その気になればできるが、終わるまで何ヶ月もかかって現実的ではない)計算がそこらの一般の小さな設計事務所でもごく普通にこなせるようになったことがある。

また構造に関する考え方も年を追うごとに複雑化し、高度な知識と専門技術、多くの経験がなければ構造計算ができない状態になっていた。役所の人間にそんなものがあるわけもなく、当然の結果として確認申請では、構造審査と言っても形だけ、有名無実化していたのである。

もっとも、緩和路線の時代はこの状態に対して大らかであった。事態を憂慮した建設省(当時)は、「構造審査やらなくていいから。あ、最低限、転記ミスが無いかどうかだけチェックしてね」との文書を公式に発表し、全ての役所だけでなく、民間確認機関もこの通りに審査を行っていた。[3]

耐震偽装問題が発覚し、実は構造審査が出鱈目であることがバレそうになった国は慌てて「じゃぁ構造審査は二重チェックにします。もちろん百戦錬磨の構造の専門家にチェックさせます」と言い出した。こうして作られたのが「構造適合性判定」である。
構造適合性判定の問題

構造適合性判定はその名の通り、構造のプロである構造屋が作った構造計算書を、別のプロがチェックする仕組みである。役所の人間の無能ぶりを見抜かれそうになった国土交通省は、構造のプロ(つまり役人ではない人)を呼んでチェックさせることにした。

しかしながら、構造計算は実は勘と職人芸の世界であり、例えば実際の建築物をモデル化する(フレームに置き換える)方法は人によって異なる。従って、審査担当者によっては、十分に正しい構造計算書が合格することもあれば失格になることもある。これに泣かされた構造屋は多い。

また、国から「厳しく審査してね♪」と頼まれた審査担当者たちは、手抜きすることしか考えない公務員とは正反対に、この言葉を真に受けて、これ以上ないくらい厳しくびっちりと審査を始めた。まぁもともと公務員ではなくてプロの構造屋、つまり生真面目な生粋の職人たちだったので仕方のない話ではあったが、その結果、構造適合性判定に回った書類はちっとも帰ってこなかった。

特に鉄筋コンクリート構造の審査が厳しく、中には半年以上も確認が下りない物件もあるとかないとか。おー怖い……。
さらなる問題

と、構造適合性判定の恐ろしさはこれだけではなかった。というのも、構造適合性判定に失格する物件が予想以上に多かったことである。

最初のうちは単に「審査が厳しすぎるからでは?」と思われていたこの現象であったが、やがて恐ろしいことが判明した。

実は構造計算自体に問題のある物件が数多く見つかったのである。

それらは構造設計者が「これなら大丈夫」と思いこんで計算したもので、実際には大丈夫でも何でもなかったのだが、思いこんでいるので過去にも同じような構造計算を繰り返してきたわけである。もちろん構造素人の役所はその間違いに気づくはずもなく、これまでの審査では全てクリアしたわけで、もっと簡単に言えば、実は役所は間違った構造計算書を、それと気づかずに数多く素通しにしてきたのである。

つまり、である。これはその……あれだ、えっと……そう。お察し下さい
注釈^ 例えば、建築基準法でも最も複雑怪奇で設計者どころか審査する役所の人たちですら頭を悩ます「道路斜線制限」は、都会では問題になりやすいが田舎では全く問題にならない。敷地に余裕のある田舎では数式など書かなくとも絶対確実100%、法律をクリアしているからである。しかし新法では、この複雑怪奇で数式を書き出すだけでも数十分かかり、しかも審査担当者によって微妙に意見が違う恐怖の計算を毎回行うように命じるという無茶苦茶かつ完全に時間の無駄にしかならない行為(計算をしなくとも適法性が明らかであるので)を強制している。
^ なお、これらが「予想外な」のは国の役人にとってであり、全ての問題は現場の人間にとってはごく当たり前の現象であった。
^ 耐震偽装が発見されなかった理由がここにある。つまりイー・ホームズは最初から構造審査など行っていないのであるが、もちろんそれは国が審査するな、と言ったからにすぎない。

関連項目

耐震偽装問題


姉歯秀次




更新日時:2008年1月6日(日)19:58
取得日時:2021/01/22 10:46


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