モラル・ハザード とは、日本では直訳されて「道徳の危機」すなわち「倫理観の低下」を意味する言葉として使われていることが多いが、実際にはそれとは全然異なる意味なので、専門家と一般人との間で言葉の定義が食い違ったままで使われた結果、意志の疎通を難しくし、人間関係に深い溝を刻むきっかけになることが多く、社会問題となっている。だいたいバイオハザードと一緒。目次 本来のモラル・ハザードとは、「需要(受給)側と供給(給付)側の情報量に差があることから、需要側の行動に歪みが生じて適正な配分が行われないこと」や、「保険をかけていることに安心して、危機管理/回避意識が低下すること」を指す。といってもなんのこっちゃ分かりにくいので、以下にそれぞれについて実例を示す。 実のところ、モラル・ハザードそれ自体の問題は、供給側もしくは保険側が折り込み済であることが多い。たとえば前述した雇用保険のケースでは、ハローワークの職員が給付を受ける人間の行動をもっと精緻に把握することによってNEETへの給付を避けることは可能だが、そのために必要となる時間やコストを勘案すると、現状の対応で十分にベターであると思われる。もっとも、社会保険庁のようにもともとの危機管理 むしろ問題なのは、この語が誤用されることによって生じるトラブルである。誤用とは、冒頭で書いた通り「倫理観の低下」という意味で誤って使われるケースのこと、たとえば 義務教育
1 概要
1.1 需要側と供給側におけるモラル・ハザードの実例
1.2 保険におけるモラル・ハザードの実例
1.3 モラル・ハザードの特殊な例
2 問題点
2.1 本当の問題点
3 関連項目
概要
需要側と供給側におけるモラル・ハザードの実例
雇用保険の失業給付は、本来「就業の意志・能力があり、そのための活動をしている」場合に支給されるものであるが、実際には「就業の意志とそのための活動」については、面接日にちょっと訪ねられるだけである。そのため、実際にはNEET生活をしている人間も面接日にハローワークに顔を出して適当に話をあわせておいて給付を受けることが行われているのである。
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保険に?
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?けるモラル・ハザードの実例
製造業者が製造物責任保険に加入しており、万が一製造物に関して無過失責任が問われるような場合にも保険によって賠償金の支払いが可能であることが事前にわかっている場合に、不良品を出さないなど過失責任については十分なチェックが行われているにもかかわらず、製品それ自体の安全性という部分においてのチェックがつい甘くなり、回避可能なはずの問題が起こる危険を見のがしてしまう。
モラル・ハザードの特殊な例
現行の年金制度においては、満額支給であっても生活保護の支給額に満たないケースがあり、また生活保護を受けると医療費の自己負担がゼロになることなどから、資産を持たず持ち家のない場合など、あえて無年金を貫くことで生活保護を受給する方が生活が楽になる場合がある。これなどは制度上の欠陥なのだが、広い意味ではモラル・ハザードと同様であると考えてよいだろう。
問題点
本当の問題点
のような使われ方である。この場合、本来の意味でのモラル・ハザードとは何の関係もない。ところが、このように「倫理観を問題とした言葉」という誤解がひろまっている結果、経済活動における給付の公平性や妥当性の問題を表すためにこの言葉を使うと、単語本来の意味で使っただけであるにもかかわらず、一般的な「人としての倫理」は「経済・金銭」より貴いものであるという建前もあいまって、「倫理より金が大事なのか」などといわれのない批判を受けてしまうことがあるのである。
言葉の意味を正しく使うという全く非のない言動が、いわれのない倫理的な非難をうけてしまうことによる精神的ダメージは、社会にとって大きな損失をもたらしかねない。なぜならば、だいたいにおいて非難する側の「誤解したままの人」はどうせたいして社会に貢献していないのに対し、非難の的となる「正しい意味で使う人」は社会の生産性に大きく寄与しているからである。
これによる社会の損失は、モラル・ハザードそれ自体による損失のほぼ7割に相当すると言われている[要出典]。
関連項目
コンプライアンス
倫理観
モンスターペアレント
更新日時:2018年6月18日(月)14:20
取得日時:2021/01/23 10:48