- 704 名前:喜びの日 1 mailto:sage [2010/07/25(日) 00:10:49 ID:Qa0MUOMt]
- 「まさか…赤ん坊か?」
口元を押さえながら、布美枝はこくりとうなずいた。心なしかその顔色が青い。 「あ…でも、とりあえず明日病院行ってみんことには、何とも…」 「今日行け」 「え?」 「こげな事は早いこと調べた方がええんだ。今日行け。今すぐ行け」 強い口調に圧され、半ば追い出されるように布美枝は家を出た。 布美枝を送り出し、玄関先でにわかに落ち着かなくなった茂の背中から 浦木が声をかける。 「いや〜おめでとうゲゲ。俺も親友として祝福するぞっ」 そういって茂の肩に腕を回した。そのニヤニヤ笑いに、茂は思わず仏頂面で返した。 「…まだ出来とると決まってはおらん。喜ぶのは早い」 「女がああ言うのは大抵、確信しとる時だ。それに…」 演出めかして言葉を切り、顔をずいと寄せた。 「身に覚えが無い訳ではないんだろ?んん?」 「ダラ言うなっ、身に覚えがないのに赤ん坊が出来てたまるか!」 ぶんっと体を振って浦木の腕をほどいた。 「夫婦円満で、結構なことじゃないの〜」 カラカラと笑う浦木を、もうお前帰れ、といつものとおり首根っこを掴み 家から叩きだした。 「赤ん坊か…」仕事に戻ってみても、早く布美枝が帰ってこないかとばかり 考えていた。ぬか喜びでは困る、あまり期待しすぎないようにと心がけても はやる気持ちは抑えられなかった。
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