- 611 名前:大トラ布美ちゃん11 mailto:sage [2010/07/11(日) 14:56:10 ID:cklKFUXH]
- 「それにしても、昨日の靖代さんたらなかったわ〜」
「何よ、それ?人生の先輩として色々アドバイスをしたんじゃないの」 「布美枝ちゃん、真剣に聞き入っちゃってさ、ねえ、美智子さん」 「うん…でも、あれは、ちょっとねえ…太一君も居たのに」 美智子の声のトーンが少し下がった。 「太一君には政志さんが色々伝授してたじゃない」 「本当にもう、みんなお酒が入るとそういう風になるんだから」 そういって美智子は奥に引っ込んだようだった。 残された「拡声器トリオ」が、きゃっきゃと盛り上がる。 「布美枝ちゃん、酔いつぶれてなければ実践してくれたかなあ」 「さあ、そもそも覚えて帰ったかも疑問だけどね、靖代さんの四十八手講座」 どっと笑いが起こる。 一部始終を立ち聞きして、茂は心底入って行かなくて良かったと思った。 また、昨日の布美枝のあの行動にも合点がいった。 どこからあんな行為の情報を入手したのか、気がかりではあったのだ。 「酒が入ると女は怖い…」 つぶやいて帰ろうと振り返ると、通りの向こうから太一がこちらに向かってくるのが見えた。 慌てて茂の方から駆け寄って制止する。 「今、あの店に入るのはやめとけ。もうちっと経ってからの方がええ」 「え?そ、そうなんですか?」 まだ恐らくは女の怖さを知らないであろうこの青年を、魔の手から救った、と茂は思った。 が、こみちの主人が何を伝授したのだろうか、大丈夫か?と心配でもあった。 まあ、男としては通り抜けていかねばならん道でもあるか。 「先生?」 「あ、いや、これ、うちのからだ。みんなで分けてくれ。昨日は世話になった」 来る途中で買った饅頭を太一に託す。 「寄っていがねんですか?」 「うん、ちょっこし、用がある」 「今日は、布美枝さんは?」 「二日酔いだわ。頭抱えて寝込んどる」 茂は太一と顔を見合わせて笑った。 おわり
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