- 98 名前:ボウケン黒×黄 蛍-06 mailto:sage [2007/09/13(木) 16:39:56 ID:/C9TuGfD]
-
蛍を見てはしゃぐ菜月に、真墨がぽつりと『蛍は嫌いだ』と言った のは、いつのことだったろう。ただ覚えているのは、その時の真墨が とても寂しそうで頼りなげで、それが菜月をとても不安にさせたこと。 そしてまたそのずっと後、真墨は、蛍は死んだ人の魂が帰って来た 姿だと言った。 蛍が嫌い。蛍は死んだ人の魂。真墨のその二つの言葉が菜月の中で はっきりと結びついたのは、ボウケンジャーとなって初めて唐物屋を 訪れた時のことだ。 『お前は大人を盾にした』 闇のヤイバのその言葉を、真墨は否定しなかった。 そんなに深い心の傷を抱えながらも、真墨は菜月のことをいつでも 考えてくれていた。菜月はそれに、長い間甘えていた。それが当たり 前だと、ずっと続くことなのだと、菜月は勝手に考えていたのだ。 真墨が姿を消して初めて、菜月はそれに気が付いた。後悔はしても しきれない。再会したとき、菜月は必死だった。自分が真墨にして あげられることをしよう、その一心で真墨に語りかけていた。 だから、戻ってきてくれて、嬉しかった。 吹っ切れた真墨が、カッコ良かった。
|
|