- 1 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/08/21(火) 18:42:23 ID:IlThlvYe]
- こちらは戦隊シリーズの総合カップルスレです。
現在放映中の『獣拳戦隊ゲキレンジャー』、前年度放映の『轟轟戦隊ボウケンジャー』等々、 戦隊作品のカップルについて マターリと語って行きましょう。 煽り・荒らしはスルー推奨。他カプ批判もNG。みんなを幸せにする修行をしましょう。 【ネタバレについて】 特撮板本スレに準じ、放映日当日・映画公開終了までのネタバレは控えてください。 もしスレ住人からの要望により、映画等のネタバレを投下する場合、 投下前にネタバレであることを明記し、NGワード用タイトルをつけること。 バレを見たくない人はあぼん推奨。 前スレ 戦隊シリーズ総合カップルスレ 5 sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1176541347/ 過去スレ 戦隊シリーズ総合カップルスレ 4(dat落ち) ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1161010229/ 戦隊シリーズ総合カップルスレ 3(dat落ち) ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1142719752/ 戦隊シリーズ総合カップルスレ 2 (dat落ち) ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114938210/ 戦隊シリーズ総合カップルスレ (dat落ち) ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1105953664/ 【S.P.D】デカレンジャー総合カップルスレ【S.E.X】(dat落ち) ttp://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1080011602/ 2chエロパロ板SS保管庫 ttp://sslibrary.arings2.com/ 戦隊シリーズ総合カップルスレ保管庫 戦隊シリーズ総合保管庫 ttp://sentaieroparo.blog100.fc2.com/ 地球署の図書館 ttp://tfb.fc2web.com/index.html 保管庫の避難所 PC版 ttp://spdlib2.h.fc2.com/index.htm 携帯版 ttp://spdlib2.h.fc2.com/i/index.htm
- 413 名前:冒険赤桃「やさしい気持ち」 mailto:sage [2007/12/09(日) 02:24:28 ID:7+h2V8h6]
- 冒険者たるもの、他人にどうにかしてもらおうなんて考えてはいけない。
期待も望みも夢も、自分で得るべきものだからだ。 恐らく、どんな人間も一線を画すであろう自分の性格の特殊性なんて、嫌というほど認識している。 冒険への渇望。次のステージへと膨らむ期待感。 盲目で貪欲な俺の態度が、どれだけ周囲を、そして仲間たちを困惑させてきたかも知ってるつもりだ。 だから、宇宙プレシャスを探索に行くと言った時の真墨と映士の驚きは想定内で、俺は何の動揺もなく、騒ぐ奴らを蹴り飛ばすようにかわした。 既に事情を知っていた蒼太たちは笑顔で見送ってくれて、穏やかな日常とも、感慨が薄いながらしばしの別れ。 彼らの笑みに隠された本来の意味も知らず、真墨たちが戸惑う様が滑稽だからだと信じて疑いもせず、旅立った直後に…どんでん返しは起こった。 そう、あの瞬間まで。 自分が誰かにしてやられるなんて、これっぽっちも思っていなかったんだ、俺は。 「明石さん」 大量の書類を抱えた彼女が、いつも通り生真面目に背筋を伸ばしたまま現れる。 「報告書の確認をお願いします。あと、こちらの書類の重複項目をチェックしておきました」 控えめながら、確実に書き込まれた赤いライン。 何ということだ。宇宙に飛び立ってから3度も、さくらに間違いを訂正されるなんて。 「すまない」 さすがに情けなくなり、溜息をつくと。 「…すみません」 彼女もまた、ハッとしたように目を伏せる。 不気味な沈黙が横たわる直前。 未処理のものがありますので、と呟いた後、さくらは足早にコックピットを後にした。 律義に閉まる自動扉が妙に癇に障って、俺は書類を頭上に放り投げる。 だが無重力空間では、紙片はあてどもなくふわふわと漂うだけ。 上手く行かない。 結局残るのは、そんな軋み。
- 414 名前:冒険赤桃「やさしい気持ち」 mailto:sage [2007/12/09(日) 02:24:59 ID:7+h2V8h6]
- 地球を出てから約2か月。
深遠なる宇宙、その未知の魅惑の中に、さくらとたった二人。 初めは何も思いはしなかった。 プレシャスを探すというのは、彼女が決めたことだと思っていたから。 けれどある日ふと、何故?と疑問を抱いてしまった日から、誘い込まれた迷宮。 組織のトップたるチーフ、そしてサブチーフ。 後者のポストは、未だSGS内部でも宙に浮いたままらしい。 前者に関して言えば、真墨に任せれば大丈夫だと信じつつ、無意識にさくらの存在を保険にしたのも事実だった。 彼女の生来の責任感、プライドの強さは分かっていたから、或いは俺以上の働きをしてくれるだろうと、虫のいい想いを同時に抱いて。 だから。 地味ながらも重要で、天職と言えるかも知れないそのポジションを投げ出してまで、このプロジェクトについて来た理由が、全くもって分からない。 かかる時間も、成果も不明。メリットなんかない、特に女性には。 或いは、ぐらついた足場でも平気で渡る俺への忠誠かとも、一応は考えた。 でも、一時の同情で決めるには、やはりあまりにもリスクが高すぎる。それを計算出来ない人間ではないはずだ。 「はぁ…。」 辞書に載っている意味そのままの溜息をつく。 業務的には助かっているのに、感情としては混乱している。 俺は他人の気持ちに、過剰な期待を抱かないから尚更なんだと思い到って、何という本末転倒。
- 415 名前:冒険赤桃「やさしい気持ち」 mailto:sage [2007/12/09(日) 02:25:38 ID:7+h2V8h6]
- 「お話したいことがあります」
そう切り出されたのは、報告書の転送期限を無事に守れた夜のこと。 一見ダイニング風に設えられた差し向かいのスペースで、最早味気なさにも慣れた宇宙食の夕飯を終えた直後だった。 「どうしたんだ?」 さくらのもたらす緊迫感に、どんな顔で返していいか分からなくて、俺は口角を無理矢理上げてその申し出を受ける。 「…私は、」 「うん」 「頑張りたいんです、この宇宙で。自分のためにも、みんな…の、ためにも」 意気込みの割に、何故か消え入りそうな語尾。 「でももし、それが単なる我儘だったら。人を巻き込んでいるとしたら、そんな自分を許せないです」 「…ほぅ?」 巻き込まれている記憶はないが、正直、彼女の言わんとしていることが掴めず、困惑してしまう。 当たり障りなく返す俺に、きっと感じているであろう、噛み合わない感じ。 さくらは顔を上げた。 「チーフ、命令してください。帰れでも残れでも…ご指示に従います」 言葉そのものより、随分久しぶりに聞いたような気がする呼称が、妙に耳にざらついた。 明石さん。そう呼んだのもさくらなら、チーフと敢えて役職を持ち出すのも、またさくらで。 呼び方に至る経緯にこそ意味があるのか、それとも単に便宜上のものかなど知りようもない、が。 「さくら」 声をかけたら、彼女は緊張そのままに、大袈裟なほど肩を跳ね上げて反応した。 青みがかった顔色。 震えているようにすら見える指先は、きっと冷たいに違いない。
- 416 名前:冒険赤桃「やさしい気持ち」 mailto:sage [2007/12/09(日) 02:26:44 ID:7+h2V8h6]
- 手を伸ばしたのは、我ながらどんな勇気か気まぐれか。
視線の底にある、二つの掌。 その重なりが、まるで磁石のように確かなことを、不思議に思いながら。 驚きに満ちるさくらの頬に赤みが差し、唇がかすかに動く。 言おうとしたのは、きっと俺の…役職ではなく、名前の方。 指先は語らない。だから何も読み取れはしないし、出来る訳がない。 そう思っていたのに、いい意味で裏切られている。 気持ちなんて、他人にどうにかしてもらえないのと同じくらい、どうにかしてやろうなんて愚の骨頂。 けれど、その不遜さを差し置いて、出来ることがあるとすれば。 「――ここにいてくれ」 チーフとしての命令ではなく、明石暁としての願いを伝えること。 そして、実感した。 校閲担当なんかじゃない。単なる話し相手でも、冒険者としてでもない。 例えば明日、例えば1年後。 俺は彼女がいなければ、困る。 それは、誰よりも深い存在として。 一瞬茫然としてから唇を結ぶ表情に、決して笑わず、完璧主義で無駄がない、出会った頃のさくらを思い出す。 だがそれが、遠く離れた過去であると示すかのように。 今の彼女は、心からの歓びを漂わせて、静かに微笑んだ。 ――冒険の始まりだ。 胸を焦がされるような導きを感じながら、俺は触れた指先に力を込めた。 〈終〉
|
|