- 123 名前:ボウケン黒×黄 聖母の涙-01 mailto:sage [2007/09/20(木) 19:49:42 ID:xJGIOd0c]
- 菜月がまた唐物屋の女主人から連絡を受けたのは、もうすっか
り寒くなった頃のことだった。 「で、なんだって?」 「あのね、菜月に是非見せたいものがあるんだって。それで、 それはプレシャスだから、菜月に見せてくれた後はSGSに 持って行ってもいいって」 「へえ。どんな?」 「おばあちゃんは、内緒だって言ってた」 その日一日外出をしていた真墨に、菜月は真墨の部屋で報告 していた。同じ仕事をしていると、どうしてもプライベートとの 切り離しは難しい。 「だから、真墨、一緒にいこ」 「コラ。そういうことは、思いつきで決めるんじゃない。 仕事なんだぞ」 無邪気に言う菜月に、真墨がちょっと厳しい顔で諭す。 「だって、おばあちゃんは今度の金曜日の、夜来てくれって」 「夜?」 「うん、その日の夜でないと見せられないからって。ね、いい でしょ。車だったらおばあちゃんちまで一時間くらいで行けるし、 お仕事終わってから、二人でいこ」 結局、その件では真墨が押し切られてしまった。 半分仕事とはいえ二人で出かけるのは、夏に蛍を見に行って 以来、久しぶりだ。 そうと決まって、菜月はちょっと嬉しかった。
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