- 66 名前:名無しさん@ピンキー mailto:sage [2007/02/12(月) 13:15:23 ID:tFESY66g]
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* * * 王の力は、お前を孤独にする。 私は、かつてお前に告げた。 お前は、これからも私と一緒だと言ってくれた。 私も、叶う限りお前の隣にいたい。 だが、お前の選んだ道は、泥濘にぬかるんだ地獄の坂道だ。 骨肉の争いなど生温い。 兄を殺し、姉を殺し、親族を殺した後に父親も殺す、非道の血河屍山だ。 その過程で、何万人もの人間が巻き添えになって死ぬ。 その結果世界が変わり、人が変わろうとも、お前の手にこびりついた血は拭えない。 人はその血の色におののくだろう。 己たちの罪を全てその血の色に乗せ、人形流しの送り雛のようにお前に押し付けて。 お前は世界の罪を押し付けられる。 王の力だけではない。 お前の選択こそが、お前を孤独にするのだ。 だが、私はついて行きたい。 ルル、お前だけが私を人として隣に置いてくれるのだから。 くー、くーと寝息を立てる寝顔は、穏やかだった。 私はルルをじっと見ていた。 明日が、常に地獄の毎日だとしたら。 せめて、今だけは、安らかであってほしい。 あなたは、私とひとつになった愛しいひと。 薄明かりの中で寝息を立て続けるその顔を見つめながら―― ――いつしか私も、まどろみの中に落ちていた。
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