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無口な女の子とやっちゃうエロSS 3回目



1 名前:初のスレ建て [2007/10/01(月) 17:48:19 ID:/aR7sTR+]
無口な女の子をみんなで愛でるスレです。

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無口な女の子とやっちゃうエロSS 2回目
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【隅っこ】無口な女の子とやっちゃうエロSS【眼鏡】
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保管庫
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それでは皆様よろしくですぅ。

655 名前:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY mailto:sage [2007/12/30(日) 23:25:38 ID:krJDweVi]
 クリスは手袋をつけて純一に両手を掲げてみせた。
「……似合う?」
「……ああ、ぴったりだよ」
 少女は再び満面の笑みを浮かべた。


 それから二時間以上、二人はひたすら民家を回った。
 無限にケーキが出てくる袋を片手に、少女は家々を訪ねる。
 本来あまり人と話すのは苦手だというクリスに代わって、純一が玄関から訪問した。いつもは二階の窓などからこっそりケーキを置いていくという。
 初めて会ったときに屋根の上を移動していた理由はそれだったわけだが、そんな怪しいケーキを好き好んで食べる人間は少ないだろう。ひょっとしたらこれまでの多くのケーキは捨てられていたのかもしれない。
 そういう意味では、役に立てたのだろう。純一は嬉しく思った。
 やがて日付が変わる十分前に、二人は一番最初の公園に戻ってきた。
「案外短いんだな、四時間近く配ってたはずなのに」
「……いつもより、たくさん配れた……」
 満足げにクリスは呟いた。
 純一は小さく笑った。
「そっか、よかったな」
「純一のおかげ……」
「お前の頑張りだろ」
「……」
 クリスは照れたように顔を伏せる。
 もうすぐ日付が替わる。クリスの言が正しいなら、もう時間は少ない。
 聞いておきたいことがあった。
「なあ、なんでケーキ配ってるんだ? なんか理由でもあるのか?」
「……わからない」
「わからない、ってお前……」
「私が喜べなかった分……みんなに喜んでほしい……のかも、しれない」
「……」
 少女の言葉は推し測れない。
 過去に何があったのか、純一にはわからない。ただ、この少女が誰かの幸せを願っていることだけは感じ取れた。
 この少女は本当にサンタなのだ。おとなしくて愛想も足りないが、とても一生懸命なサンタクロース。
「なあ、俺にもケーキくれるか?」
「……?」
「去年うまかったからさ、今年もほしい」
「……」
 クリスは袋から紙箱を取り出し、純一に渡す。
 純一は受け取ると、礼を言った。
「ありがとな」
「……ん」
 クリスはもう一つ箱を取り出す。
「ん、なんだ?」
「由芽の分……」
「……ああ、そうか、わかった」
 もう一つの箱も受け取る。クリスは満足したように夜空を見上げた。
 雪を掴むように両手を掲げ、広げる。外灯の下、白い手袋が明るく映えた。
 純一は携帯電話の表示を確認する。もう、残り五分しかない。
「クリス」
「?」
「来年も会えるよな?」
「……」
「まだ全然配りきれてねえじゃねえか。来年も、配るんだろ?」
「……手伝ってくれるの?」
「ああ、来年だけじゃない、毎年手伝ってやるよ。お前のこと、嫌いじゃないし」
「……」
 クリスは口を閉じると、顔を近付けてきた。

656 名前:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY mailto:sage [2007/12/30(日) 23:29:00 ID:krJDweVi]
「な、なんだよ」
「……好きなの?」
 心臓が跳ねた。
「な……」
「嫌いじゃないって……言った」
「う……それは、その……」
「……私は好き……かも」
 そんなことを言う。
 純一はヤケクソ気味に叫んだ。
「ああ、好きだよ! 初めて会ったときから好きだったよ!」
 クリスは小さな声ながら言い募る。
「由芽のことは……どうなの?」
「後羽のことも好きだよ。どっちも俺は好きだ」
 クリスはにっこり笑った。
「よかった……」
「何が」
「ちゃんと……由芽の側にいてあげてね」
「……」
「また……来年ね」
 クリスは小さな手の平をバイバイと振る。あと一分。
 純一はクリスを真正面から見つめ、はっきりと言った。
「その手袋は後羽へのプレゼントだけど、お前にあげたプレゼントでもあるんだからな。来年も必ずつけてこいよ」
 クリスはにっこりと笑った。
「ありがとう……プレゼントをもらうのは……初めてだったよ……」

 メリークリスマス。

 その一言を言い終えた瞬間日付が替わり、クリスマスという名の少女は糸が切れたようにその場に倒れ込んだ。
 純一は慌てて少女に駆け寄り、体を抱き起こす。
 しばらくして、少女は夢から覚めたように目を開けた。
「後羽!」
「……先輩?」
 元の後羽由芽の口調。純一はほっとして、由芽に微笑んだ。
「大丈夫か?」
「は、はい。……あ」
 由芽は自分の服装に気付き、次いで純一を見た。純一は黙って見返す。
「……クリスに会ったんですか?」
「ああ。ケーキももらった。また来年って」
「先輩がついててくれたんですね。よかった……」
 さっきのクリスと似たようなことを言う由芽に、純一はつい笑う。
 きょとんとなって純一を見上げる由芽。
「立てるか?」
「は、はい。ありがとうございます」
 由芽を立たせると、純一は軽く深呼吸して言った。
「好きだ、後羽。付き合ってほしい」
 突然の告白に、由芽はひどく驚いたようだった。
「え? あ、あの、」
「……駄目か?」
「い、いえ、そんなわけ……私も、好きです」
 クリスの言ったとおりだった。答えを聞くと、純一は由芽を抱き寄せた。
 由芽は慌てたように身じろぎしたが、やがて動きを止め、体を純一に預けた。
「……この手袋、先輩のですか?」
「お前へのプレゼントだよ」
「暖かい……」
 由芽は顔を上げ、にっこりと笑った。
「メリークリスマスです、先輩」
「……ああ、メリークリスマス」
 大好きな笑顔を見つめ返しながら、純一は祝福の言葉を唱えた。

657 名前:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY mailto:sage [2007/12/30(日) 23:32:30 ID:krJDweVi]

      ◇  ◇  ◇

 10時頃に風見がようやく自宅に帰りつくと、門の前で紗枝が傘を差して立っていた。
 じろりと睨まれ、風見は顔が引きつった。
「ご、ごめん、遅くなった」
「……」
「いや、ミドリの用に時間かかって」
「……」
「あ、あの、バスも事故で遅れて」
「……」
 紗枝は何も言わない。普段から無口だが、今は機嫌の悪さがオーラとなって見えるようだった。
「あの、これ、プレゼント」
 冷や汗をかきながら、風見はプレゼントの袋を渡す。紗枝は一瞥すると、その袋を受け取った。
 それから紗枝は風見の顔に手を添えた。
 どきりとする中、紗枝の手は風見の両目を塞ぐ。
 目を瞑れ、ということなのだろう。風見はおとなしく目を瞑った。
 首元に何かを巻かれた。
 思わず目を開けると、首にチェックのマフラーが巻かれていた。
 幼馴染みを見ると、ぷいとそっぽを向いて目を合わせない。心なしか、頬が少し赤かった。
「手編み?」
「……」
 横を向いたまま、微かに頷く紗枝。
「ありがとう、紗枝」
 紗枝はしばらく何の反応も見せなかったが、やがて上目遣いにはにかんだ。
 風見はその笑顔がマフラー以上に嬉しく、幼馴染みに対する想いで胸がいっぱいになった。
「家、入ろっか」
 紗枝は頷くと、風見の腕を引っ張って傘の下に入れた。風見は抵抗せずに紗枝の好きにさせた。
 雪の降る中、幼馴染みの腕の感触は柔らかく、温かかった。

 今夜はホワイトクリスマス。
 みんなが少しだけ、幸せになれる日。






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