- 359 名前:書く人(懲りずに流れに乗る) mailto:sage [2007/11/16(金) 20:58:39 ID:s4d1U+e5]
- 「今時ワン切り、ってのでもないよな」
というか、業者の方とて一人に一分半もの時間をかけるとも思えない。 「……着信アリ…ってか?まさか…」 口に出してから、背筋が寒くなるのを感じた。もちろん、怪談系の番組を見た夜には一人でトイレに行けなくなるような年でもないが、全くそう言うのの影響を受けないほどに剛胆でもリアリストでもない。 舌打ち一つして、履歴を呼び出しかけなおすことにした。このまま放置すると、逆に気になって眠れなさそうだ。 指先が少し震えて、二回ほど操作を間違えた。 〜her side〜 「……もう駄目」 泣きそうになりながら、私は表示の暗くなった携帯の液晶画面を見つめる。 さっきまで高鳴っていた胸の鼓動は、今や葬送曲のリズムをとっているように聞こえた。 手にした携帯電話がついさっきまでつながっていたのは、>>333君の携帯電話。かけた理由はちゃんと通じるかと言う確認と、電話帳への登録のため。 ―――と言うのは建前。声を聞きたかったから、と言うのが本音。 私の心は二つの方向に引き裂かれようとしていた。彼と再会できた現状に満足しようとする動きと、もっと彼の傍に近づきたいという動き。前の方がより理性的な動きで、後の方が感情的な動き。感情的――と言うことは、それこそが本音と言うこと。 気づいたのは、図書館から帰って布団に入って、>>333君に関する気持ちの整理をしていた時。 好き。一方通行であっても、こんな冴えない地味な私が叶え得ることもないような感情であっても、それは事実。 そしてこうも考えた。自分の願いが叶わない最大の原因は、他でもないこの、自分の後ろ向きの思考のせい、と。 中学生の頃、彼と関が隣り合ってもしゃべれなかった時、そして席が別々になった時、私は神様は意地悪だと思った。けれど少し背が伸び、少し経験を積んだ私は理解した。問題は神様が意地悪さではなくて、自分の勇気のなさなのだと。 今度こそ、勇気を出そう。たとえ振られても……きっと意味がある。どうせ駄目だとあきらめて「あの時こうしていれば良かった」と、小さな針のような切なさを抱えていくよりも…そっちの方がずっといい。 そう思って、私は渡されたメモを手に、彼に電話をかけた。 玉砕でした。私のいくじなし…。 具体的には、最初に女の人の声が出てそれが留守番電話サービスの物だと知り安堵して落ち着くまで19秒。 次に何を話すべきか考えてない自分に気づき、慌てて頭が真っ白になること25秒。何とか気を取り直し、話すべき文面を推敲して38秒。 覚悟を決めるのに7秒。そして「夜遅くにごめんなさい」と言うため息を吸うのに1秒。 これでちょうど1分30秒。電話が自動で切れた。 ……もう、寝よ。良く考えればもう遅いし、>>333君も迷惑だよね? ため息をつきながら、携帯を閉じようとした時だった。 突然に液晶画面が明るくなり彼の名前を表示したかと思うと、デフォルト設定のままの着信音が鳴り響き、私をショック死させかねないほどに驚かしたのは。 【続きwktk】
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