- 1 名前:ひよこ ★ mailto:sage [2021/09/20(月) 16:39:12.35 ID:JKPUOVFi9.net]
- https://mainichi.jp/articles/20210920/k00/00m/040/061000c
毎日新聞 2021/9/20 14:57(最終更新 9/20 14:57) 1318文字 https://cdn.mainichi.jp/vol1/2021/09/20/20210920k0000m040059000p/8.jpg 兵庫県朝来市和田山町の人工巣塔で誕生したヒナの放鳥=兵庫県朝来市山東町で2021年7月(兵庫県立コウノトリの郷公園提供) 野生で繁殖していた国の特別天然記念物コウノトリが絶滅して半世紀にあたる2021年、野外での生息数は263羽(8月31日現在)になった。野生復帰事業に取り組む兵庫県立コウノトリの郷(さと)公園(豊岡市)によると、21年は7府県25カ所で20年と同数の56羽が巣立ち、順調なら22年には300羽を超える見通しだ。増加と共に繁殖地の分散、事故防止などの課題が次第に明らかになり、江崎保男園長は「一つ壁を越えると、さらに高い壁があるのが現実だ」と述べた。【浜本年弘】 営巣箇所が増え、淡路で初の巣立ち 21年の繁殖期が終わり、江崎園長らが17日、記者会見した。国内で繁殖した野生種は1971年に絶滅したが、人工飼育は1965年から継続。05年の豊岡での初放鳥から17年の100羽到達には12年かかったが、100羽から20年の200羽到達は3年で、今後も早いペースでの増加が見込まれる。 https://cdn.mainichi.jp/vol1/2021/09/20/20210920k0000m040075000p/9.jpg 2021年の繁殖期を振り返る兵庫県立コウノトリの郷公園の江崎保男園長(左から2人目)ら=兵庫県豊岡市で2021年9月17日午前10時1分、浜本年弘撮影 巣立ちのほか、救護されたケースを含めると21年は、7府県27カ所から61羽が野外へ飛び立った。府県別では、兵庫36羽▽京都7羽▽福井7羽▽島根4羽▽徳島3羽▽鳥取2羽▽栃木2羽。 営巣箇所数も増え、21年は7府県34カ所。うち淡路市は兵庫では北部の但馬地域以外で初めて巣立ち、福井県小浜市では養父市と島根県雲南市で巣立った親鳥からのヒナが60年ぶりに巣立った。 レッドリスト見直しの可能性も 生息数が増えると、繁殖可能か繁殖可能と推定される「成熟個体」も増える。環境省の基準に基づきまとめたところ、成熟個体の数は19年50、20年62、21年72と、50以上が続く。他の基準も加味されるが、絶滅の恐れがある国内の野生生物をまとめた環境省のレッドリストで、絶滅危惧1A類(成熟個体数50未満)から1ランク低い1B類(同250未満)へ見直される可能性も視野に入っている。 鳥類の1A類にはトキやヤンバルクイナ、1B類にはライチョウやイヌワシが含まれる。国の特別天然記念物トキの場合は新潟・佐渡島で野生復帰のための放鳥が行われ、19年に「野生絶滅」から1ランク低い今のコウノトリと同じ1A類へ見直しになった。 救護、死亡は167羽 https://cdn.mainichi.jp/vol1/2021/09/20/20210920k0000m040060000p/9.jpg 巣立ち前に人工巣塔上で飛ぶ練習を繰り返すコウノトリのヒナ=兵庫県豊岡市赤石で2021年5月28日撮影(兵庫県立コウノトリの郷公園提供) 生息数の増加に伴い05年の初放鳥以来、救護されたり死んだりしたケースは167羽にのぼる。21年はヒナを育てる親鳥が、防獣ネットに絡まったり送電線にぶつかったり、交通事故に遭う(推定)事故が目立った。このため、郷公園は道路標識図案の考案、ステッカー配布のほか、防獣ネットの使用方法に至るまで啓発にも取り組んでいる。 今後の課題では、兵庫や京都の北部に繁殖地が多いことから、大迫義人・エコ研究部長は「感染症などによる大量死も起こりうる」と警戒する。離れた他域での繁殖地分散のため「餌場になる多様な生物が生息する田園生態系が各地に必要で、野生復帰事業は継続が大事だ」と話す。 江崎園長は「レッドリスト見直しへの動きは絶滅の危険度が下がる意味なので望ましい。ただし、数に喜んでいると危機がやってくる。持続可能性を保つため近親婚などのリスクも抑えたい。野生復帰の歴史を踏まえて最新の知見を生かし、未来を予測しながら取り組む」と述べた。
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