- 1 名前:ひよこ ★ mailto:sage [2021/08/02(月) 11:12:08.57 ID:niuHRoN29.net]
- https://mainichi.jp/articles/20210802/k00/00m/040/011000c
毎日新聞 2021/8/2 09:30(最終更新 8/2 09:30) 1132文字 https://cdn.mainichi.jp/vol1/2021/08/02/20210802k0000m040012000p/9.jpg カラフトマスを捕獲したヒグマ。環境省と農林水産省の連携で、限定した形で観光客がこうした光景を見ることが可能になるかもしれない=知床の最奥部で1999年9月23日、本間浩昭撮影 「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(鹿児島県、沖縄県)の世界自然遺産登録が7月26日に決まったが、北海道の知床は2005年に同遺産に登録された後、どう変わったのか。16年間の変化と、さらなる魅力創出に向けた新たな動きを探った。【本間浩昭】 登録前後から知床の「スター」に躍り出たのは、海の動物たちだった。尾びれを高く上げて深海へと潜るマッコウクジラや黒白のコントラストが鮮やかなシャチの群れは、羅臼港(羅臼町)発の観光船がネットで発信する目撃情報や口コミを通じて観光客を集めた。 登録10年を過ぎたころから、海岸線をうろつくヒグマにも熱視線が注がれ始めた。 かつて断崖絶壁の自然景観を売り物にしていたウトロ港(斜里町)発のクルーザー型観光船の目玉は、いまやヒグマだ。最果ての岬を往復するコースのヒグマ遭遇率は「ほぼ9割」と言われ、年間5万人以上が乗船する。豆粒大にしか見えなかったとしても、「野生のヒグマを見た」体験は訪れた人の心に知床の思い出として深く刻まれる。羅臼港発着で岸近くまで接近できる「ヒグマ観察クルーズ」も人気を集めている。 道路ない奥地、立ち入り課題 ただ、知床の観光客数は伸び悩んでいる。登録前後は一時的に増えたが、その後は年間170万人前後でほぼ横ばい状態が続く。 知床五湖の「高架木道」の整備と地上歩道のガイドシステムは登録後に実現したが、懸案となっているバックカントリー(道路のない奥地)に立ち入るシステムはいまだに整備されていない。「コロナ後」にはバックカントリーを目指す外国人旅行客なども増えると予想されるが、予備知識もないまま立ち入れば、悲惨な事故も起きかねない。 これに対し、北米の国立公園ではバックカントリーに立ち入る際の「利用システム」が整備されている。米アラスカ州のデナリ国立公園では立ち入り人数を地区ごとに定め、ビジターセンターで危険への対処法を学んだうえで、クマ対策装備を借りるなどして「自己責任」で大自然を満喫できる。 日本でも利用システム構築に向けた取り組みが始まりつつある。環境省と農水省は今年4月、世界の国立公園ランキングトップ25入りに向けた「国立公園と国有林の連携に関するプロジェクトチーム(PT)」を発足させ、知床を国内5重点地域の一つに位置付けた。 米アラスカ州野生動物局などは、少数の定員で専門家が引率し、川でサケを捕獲するヒグマなどを安全に観察して学ぶ場を提供している。こうした方法を知床でも取り入れることができれば、感動の自然体験が実現する。知床財団の山中正実特別研究員は「両省の連携で保全すべきところは確実に保全する一方で、世界レベルの感動も味わえる利用システムができれば」と期待する。
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