初めて蓄音器を聞いた時とすきなレコオド
著者名:宮本百合子
一、私が生れて始めて蓄音器と云うものを見聞いたのは、もう十四五年前、父が英国から土産に買って来たものでした。大きな銀色の朝顔型のラッパ、耳を澄ますと、スースー、スースーと云う針の音。小さい弟達と三人で、熱心にラッパを見つめ、今考えれば、さほど芸術的でもなかったらしい沢山の唄をききました。
二、パストオラル・シムフォニー。オールドリフレーン。フィフス・シムフォニー。概してピアノや絃楽、交響楽を好んでききます。
〔一九二二年六月〕
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