元日の釣
是非お友達にも!
■暇つぶし何某■

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著者名:石井研堂 

宦iはぜ)の三杯酢なりしかば、主人は、ずツと反身になり、
『珍らしくも無いが、狂の余禄を、一つ試みて呉れ給へ。煖かいのも来たし…………。』
と、屠蘇を燗酒に改め、自らも、先づ箸を鮒の腹部につけ、黄玉(こうぎょく)の如く、蒸し粟の如き卵(こ)を抉り出しぬ。客は、杯を右手(めて)に持ちながら、身を屈めて皿中を見つめ、少し驚きしといふ風にて、
『斯ういふ大きいのが有るですか。』と問ふ。
客の此一言は、薪(たきぎ)に加へし油の如く、主人の気焔をして、更に万丈高からしめ、滔々たる釣談に包囲攻撃せられ、降伏か脱出かの、一を撰ばざるべからざる応報を被る種となりしぞ、是非なき。
 主『誰でも、此間(こないだ)釣ツたのは大きかツたといふですが、実際先日挙げたのは、尺余りあツて、随分見事でした。此れ等は、また、さう大きい方で無いです。併し、此様(こん)なのでも、二十枚も挙げると、…………さうですね、一貫目より出ますから、魚籃(びく)の中は、中々賑かですよ。鮒は全体おとなしい魚で、たとひ鈎に懸ツても、余り暴れんです。
◇ピンチです!◇
◇暇つぶし何某◇

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担当:Oak-5