愚助大和尚
著者名:沖野岩三郎
和尚様は持つて出た大きな掛物を、やつぱり肩げてゐました。
それは何処へ持つて行つても、大き過ぎると言つて買つてくれる人がなかつたからです。
和尚様は、お寺が立派になつたわけと、愚助が大和尚様と崇(あが)められてゐるわけとを聞いて、腹を抱へて笑ひました。
愚助は和尚様が帰つて来たので、又た元の小僧さんになつて、小学校へ通ひました。そして毎日忘れて、毎晩思ひ出して、はつきり覚えるのでした。
村の人達は、また愚助が、馬鹿だか賢いのだか、解らなくなりました。
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