青ひげ
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著者名:ペローシャルル 

 そのとたん、おもての戸に、ドンと、はげしくぶつかる音がしたので、青ひげはおもわず、ぎょっとして手をとめました。とたんに、戸があいたとおもうと、すぐ騎兵(きへい)がふたりはいって来て、いきなり、青ひげにむかって来ました。これは奥がたの兄弟(きょうだい)で、ひとりは竜騎兵(りゅうきへい)、ひとりは近衛騎兵(このえきへい)だということを、青ひげはすぐと知りました。そこで、あわてて逃げ出そうとしましたが、兄弟はもう、うしろから追いついて、青ひげが、くつぬぎの石に足をかけようとするところを、胴中(どうなか)をひとつきつきさして、ころしてしまいました。
 でもそのときには、もう奥がたも気が遠くなって、死んだようになっていましたから、とても立ちあがって、兄弟(きょうだい)たちを迎(むか)える気力(きりょく)はありませんでした。
 さて、青ひげには、あとつぎの子がありませんでしたから、その財産(ざいさん)はのこらず、奥がたのものになりました。奥がたはそれを、ねえさまやにいさまたちに分けてあげました。

 ものめずらしがり、それはいつでも心をひく、かるいたのしみですが、いちど、それがみたされると、もうすぐ後悔(こうかい)が、代ってやってきて[#「やってきて」は底本では「やっきて」]、そのため高い代価(だいか)を払わなくてはなりません。




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