神曲
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著者名:ダンテアリギエリ 

【一の處】半球地下の狹路、ルキフェルの許より地上の一點に通ずる路なればその長さは地獄の入口よりルキフェルまでの距離に等し
【小川】淨火に淨められし罪地獄にかへるなり、註釋者多くはこれをレーテの流れと解すれど疑はし
一三六―一三八
【孔の口】地上への出口即ち地下の狹路の一端
【美しき物】星(地、一・四〇參照)、天と共にめぐりゆくもの
一三九
【いでぬ】九日の午前七時半頃にて今見る星は十日の早朝の星なれば(淨、一・一九―二一註參照)南半球地下の幽路を辿れる間は二十時間餘なり
【諸□の星】『神曲』の各篇皆 stelle(星)の一語に終る
[#改丁]

 ダンテの地獄は漏斗状をなす一の大いなる坎なり、その頂(いただき)地表に接し、底地心に達す、坎に沿ひ坎をめぐりて多くの圓形の地帶あり、底を合せて九個の獄となる(この中第七獄は三、第八獄は十、第九獄は四に細分せられ各□罰する罪人を異にす)、すべて上方に罰せらるゝものはその罪輕く下るに從つてその罪重し、しかして第五獄と第六獄の間にはディーテの城壁ありて地獄全體を二大分す、その上なる諸獄には放縱の罪罰せられ下なる諸獄には邪惡の罪罰せらる、この他地獄圈外に怯者の罰をうくるところ第八獄と第九獄の間に巨人の罰をうくるところあり、地心を貫いて地獄の王ルチーフェロの立つあり。
 地獄内の諸水にはアケロンテの川、スティージェの沼、フレジェトンテの流れあり、名異なれども實一なり、クレタ島の巨人よりいでて地獄にくだり或ひは川、瀑、沼となりてあらはれ或ひはまた地下にかくれて次第に地底にむかひ、遂に凍りてコチートの池となる。
 ダンテはウェルギリウス(ヴィルジリオ)に導かれて暗き林を離れ、地獄の門よりたえず左に道を取り、地獄各圈を歴程してその底にくだり、さらに地心を過ぎて南半球に移り、地下の幽路を辿りて再び地上にいづ。
 二詩人が地獄内に費せる時間は約二十四時間にて地心より南半球の地上にいたるまでに費せる時間は約二十一時間なり。




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