かちかち山
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著者名:楠山正雄 

 そのうちにだんだん水がしみて土(つち)の舟(ふね)は崩(くず)れ出(だ)しました。
「やあ、たいへん。舟(ふね)がこわれてきた。」
 とたぬきがびっくりして、大(おお)さわぎをはじめました。
「ああ、沈(しず)む、沈(しず)む、助(たす)けてくれ。」
 うさぎはたぬきのあわてる様子(ようす)をおもしろそうにながめながら、
「ざまを見(み)ろ。おばあさんをだまして殺(ころ)して、おじいさんにばばあ汁(じる)を食(く)わせたむくいだ。」
 と言(い)いますと、たぬきはもうそんなことはしないから助(たす)けてくれと言(い)って、うさぎをおがみました。そのうちどんどん舟(ふね)は崩(くず)れて、あっぷあっぷいうまもなく、たぬきはとうとう沈(しず)んでしまいました。




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