結婚論の性格
著者名:宮本百合子
母たる義務が示している権利によって、女性と子供の生活の事情があらゆる職能の場面で大切にされ、理にかなった扱われかたをするようにして行かなければならない。
そしてこれらの現実のいとなみが、いろいろの事情からそうやすやすと実現しにくいことを決して知らなくはない今日の女性たちであるならば、母という生の道でへてゆく日々に、その伴侶である男性との間の理解、共感、協力がどんなに大きい影響をもってくるかということを、痛感しないではいられないであろうと思う。
結婚や、そのことから女性が母になってゆくことは個人のことではない。社会のありようそのものの表現である。それだからこそ、そこにかかりあう男女互の理解の内容や意味の進歩が重大になってくるのだと思う。
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