虫喰ひ算大会
著者名:海野十三 URL:../../index_pages/person1159
□ □
(□□+□―)=(□□―)
□ □
註:――
=の左側は奇數 1,3,5,7,9 を,=の右側は偶數 2,4,6,8 をはめこむこと
(3)
EMA
_____
MA)UEMA
MA
―――――
TM
AS
―――
EMA
EMA
―――
0
(4)
□□□□
_________
3□□4)□□□□□□□□
□□□96
―――――――――
□□□□
3□□□
――――――
□□□□□
□5□2
――――――
□□□□□
□□□1□
―――――
0
“虫喰ひ算”大會 第二十四會場
こちらは第二十四會場でございます。
虫喰ひ算で忘れてはならないブーン先生のことは前にちよつと申しましたが、この先生はダルウィチ大學の數學の主任の先生であります。
その出版元はミルズ アンド ブーン株式會社ですが、このブーンとブーン先生との關係は分つてゐません。
ブーン先生の名著“パヅル ペーパーズ イン アリスメチック”は本當に愛すべき書物でありますが、その卷頭に於ける例題の「解き方」の解説が間違つてゐるのは御愛嬌であります(その書第九頁)。
(1)
AB7
− 7BA
――――――
1AB
(2)
□□□□
× □□□
――――――――
9□□□
19□4□
26□□2
――――――――
□□□5□□□
(3)
□□□
_______
628)□□□270
□□□□
―――――――
□□□7
□□□□
―――――
□□□0
□□□
――――
482
(4)
TCCCAZX
__________
MSR)MSRTRABRC
MSR
――――――――――
TRAB
TZLC
――――――
STBR
TBZR
―――――
SMCC
SSBZ
――――
L
“虫喰ひ算”大會 第二十五會場
こちらへ、こちらへ。いよいよ第二十五會場です。これをパスすれば、あと僅か五會場をあますのみ。ほい、そんな下らんことは申すのぢやなかつた。
選士がたは、今こそひたむきに、虫喰ひ算と取組んでおいででせう。今となつては、虫喰ひ算に對する禮讚のことばを、私が改まつて宣傳する必要もなきまでに、選士のかたがたは、それぞれ夢中で鉛筆の先を嘗めたり、鉛筆のお尻で頭をごしごし掻いたりなされてゐることでありませう。
ここをパスなされば、すなはち第二十五階選士です。第二十五階ですぞ。
(1)
ABC
− CBA
――――――
3BA
(2)
□□ □□ 1
―――― = ――― = ――
□□□ □□ 3
註:――
1から9までの九種の數字を□の中へはめること
(3)
QAR
_______
QTAN)QPTZDN
QTAN
―――――――
DQDD
TNPR
―――――
XDPN
XDPN
――――
0
(4)
□5□
________
□□□□)□55□□5□
□□5□□
――――――――
□□□□□
□□□□□
――――――
□□□□
□□□□
――――
0
“虫喰ひ算”大會 第二十六會場
第二十六會場はここであります。
いよいようるさい問題が登場いたします。相當お覺悟あつて然るべしであります。
序文に揚げましたる文献に名の出てゐるアッカーマン氏は、ロンドン大學出の工學士であります。その文献に出てゐるたくさんの謎々の問題は、イギリスの2LO放送局から放送されたものを集めてあり、虫喰ひ算と覆面算はたつた四題にすぎませんが、他の百ばかりの問題は、數學と科學と工學の各部門に亘り、なかなか面白いものばかりで、氏の解説も頗る平易です。かういふものが放送される彼の國の放送局と國民を、私は羨ましく思ひます。
(1)
□7
_____
7□)□775
2□□
――――
□□5
□□5
―――
0
[#第二段の被除數「□775」は底本では「□445」]
(2)
1 1
4――×□―― = 9
□ 7
(3)
□□□
_______
□□□)□80□□□
□□□
―――――――
□□□□
8□□□
―――――
□□□
□□□
―――
0
(4)
CWPSQNGM
× MGNQSPWC
―――――――――――――――――
BWBBBBBBC
PBNSBDGQW
SBSCGSCGP
QBBGWMPDS
NCDPMWGBQ
GCGCPGCPN
MCSNDBPQG
CWPSQNGM
―――――――――――――――――
MGDSPDBCDDDGBCSC
[#第三段「BWBBBBBBC」は底本では「BBWBBBBBC」]
“虫喰ひ算”大會 第二十七會場
虫喰ひ算の解き方には、いろいろあると、初めに申しておきました。皆さんのやうな高級選士は、そのあらゆる解き方を探求してごらんになるのが興趣深いことでせう。
これまでにお話して參つたやうなシャーロック ホームズ探偵的な解き方ではなく、その運算書から多元の聯立方程式を得、それからばりばりと解いていく方法もございます。つまり代數的解き方です。
この方が、むしろ正確さと速度に於いて、ホームズ探偵のやり方よりもすぐれてゐますが、素人的な興味は、やはり名探偵のやり方の方が深いやうに思ひます。
こちらは第二十七會場でございます。
(1)
AB
× BA
―――――
□□1
□1□
―――――
□□□□
(2)
□□□□
94―――― = 100
□□□
註:――
1から9までの九種の數字をはめこむこと(9と4は既に使ひずみ)
(3)
B□A
_______
A□B)□□□C□□
□□□B
―――――――
□□BC
□□□□
―――――
□□□A
□□C□
――――
0
(4)
A7□0A
_________
□□□)1□□□□□□□
1□□□
―――――――――
□□□
□□□
――――――
100□
9□□
――――――
□□□□
□□□□
――――
0
“虫喰ひ算”大會 第二十八會場
だんだん會場の數が殘り少くなつて、あますところ僅かに三つ。せいぜい頑張つていただきます。第二十七階の選士がた。
すつかり問題を片づけてしまうと、後はさびしくなつてやり切れまい。その後は一體どこに虫喰ひ算に似た智能的法悦を求めようかと歎かれる選士も――多分少からずあることと思ひます。敢へてさやうに察します。
さういふ方は、初めからやり直してください。すると、意外にも蒸しかへし的な味は發見されず、やはり鮮新な虫喰ひ算問題として貴下を愕かすことでせう。
(1)
AYM8P
× ARZ
――――――――
EGM6A
YPMRK
AYMKP
――――――――
TRTMARA
(2)
B09
______
AB)□0□□3
3□□
―――――
A□3
A□3
―――
0
(3)
RSR
______
PR)MTVVR
MVR
―――――
KKV
KMD
――――
MVR
MVR
―――
0
[#第一段「 RSR」は底本では「RSR 」]
(4)
循環小數
┌───┴───┐
・ ・
□□.□□□□□□□□□□
___________________
□□□□□□)□□□□□□□
□□□□□□
―――――――――
□□□□□□□
□□□□□□
―――――――――
□□□□□□ □
□□□□□□ □
―――――――――
□□□□□ □□
□□□□ □□
―――――――――
□□□□ □□□
□□□□ □□□
―――――――――
□□□ □□□□
□□□ □□□□
―――――――――
□□ □□□□□
□□ □□□□□
―――――――――
□ □□□□□□
□ □□□□□□
―――――――――――――
□□□□□□
□□□□□□
―――――――
□□□□□□
[#「循環小數」は底本では記載なし]
[#循環小數を示す「・」は底本では記載なし]
“虫喰ひ算”大會 第二十九會場
ひどい目に遭つたとおつしやるのですか、前會場で……。それはどうも。何と御挨拶をしたらよろしいやら。
虫喰ひ算を今まで甘く見過ぎてゐたといはれるのですか。へえつ、そんなに懲りましたかね、あの問題に…。
お前はあれをやつたことがあるのかとお問ひになるのですか。さあ、そのことですよ。實は前から手をつけてゐますが、いまだに解決がつきませんのです。とうとう曝露しましたね、私がまだ第二十七階選士であつて、虫喰ひ算名人でないといふことを。
さあさあ、こちらは第二十九會場です。
(1)
3□
_____
□□)2□□9
23□
――――
5□9
5□9
―――
0
(2)
6 1
□――×5―― = □□
7 □
[#=の右側「□□」は底本では「□」]
(3)
XLQAB
× AKLB
―――――――――
FHALB
LHFBK
XCBCDK
BBQKC
―――――――――
FFLBQCXB
(4)
□□7□□
___________
□□□□7□)□□7□□□□□□□
□□□□□□
―――――――――――
□□□□□7□
□□□□□□□
――――――――――
□7□□□□
□7□□□□
――――――――
□□□□□□□
□□□□7□□
――――――――
□□□□□□
□□□□□□
――――――
0
“虫喰ひ算”大會 第三十會場
いよいよラスト ホールです。うんと推理の力をふりしぼつていただきませう。ここさへパスすれば、貴下は虫喰ひ算の最高級選士となられるのです。
名殘りが惜しい。さうですか。もう一度この本を初めから繰返しては……。いやもつと新しい問題、新しい智能的困難にぶつかりたいとおつしやるのですか。
殘念ながら私の手許にあるものは、これまでに全部さし出しまして、後にはもう何も殘つてゐません。
ああ、さうでした。これと似た刺戟をお望みの方は、あの有名なるアメリカの暗號解讀者ヤードリ少佐著の「ザ ブラック チェンバー」を繙かれんことをお薦めします。
さあ、最終のティーへお立ち下さい。
(1)
2N1
4N6
+ 162
――――――
829
(2)
□ □
□(□□―+□□―)=100
□ □
註:――
=の左側は1から9までの九種の數字をはめこむこと
[#一番左の□は底本では無し]
(3)
3Y□□
______
□X)6□X7Y
□Y
――――――
XX
7□
――――
□□7
□□□
――――
□Y
□Y
――
0
(4)
□□□□.□□□□
____________
□□□)□□□□□□
□□□
―――――――――
□□□
□□□
―――――――――
□□□
□□□
――――――――
□□ □
□□ □
――――――
□□□□
□□□□
―――――
0
ページジャンプ青空文庫の検索おまかせリスト▼オプションを表示暇つぶし青空文庫
Size:78 KB
担当:undef