怪塔王
著者名:海野十三
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怪塔王の最期!
白骨島の爆発は、なおもそれからそれへとつづき、天地はいよいよくらく、地獄のような火は島の上を炎々と焼きこがしていきます。怪塔王の体はおそらくもう煙になって天へのぼってしまったことでしょう。
怪塔ロケットを撃ちまくっていた攻撃機の乗組員たちは、すんでのところで、怪塔王のあとを追うところでしたが、正しい者をまもりたまう神の力によって、もうすこしというところで難をまぬかれました。しかしさすがの勇士たちも、しばらくはどうして舵をひいたのか、操縦桿をうごかしたのか、誰も覚えていなかったといいます。気がついたときは、五千メートルの上空を、くるくると木の葉のように舞っていたということです。大爆発とともに、めいめいに空高くふきあげられたものらしく、機体がこわれなかったのがふしぎでした。
なぜあのような大爆発が起ったのか?
それは怪塔ロケットの放った強い磁力が、あべこべ砲のためにはねかえされ、怪塔ロケットが丘をこえるよりも一分前に、すでに導火線には火がついていたのです。そしていま爆破するというときに、怪塔ロケットが自らとびこんでいったのです。
塩田大尉をはじめ、小浜兵曹長や帆村探偵も、みな無事に艦隊へ帰りました。そこには一彦少年が、勇士たちの帰りを待ちかねていました。そしてみなみな元気で凱旋(がいせん)の途につきました。
「ねえ、帆村おじさん、なぜ大利根博士は、怪塔王になったりして悪いことを働いたんだろうねえ」
一彦少年は、甲板の上から、白骨島におわかれをしながら、帆村にたずねました。
「あれはね、こうなんだよ。大利根博士は、今世界をひっくりかえそうと企んでいる秘密結社の一員だったのだ。日本のためには、全くあぶないところだったよ」
といって、探偵は大きな溜息をつきました。
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