金属人間
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著者名:海野十三 

 もしも万一、ふたりの説がほんとうで、怪金属Qが第二の爆発をのがれて、生命(せいめい)をまっとうしているとしたら、そのうちにきっと奇妙な事件がおこり、新聞やラジオの大きなニュースとして報道されるだろう。諸君は、それに細心(さいしん)の注意をはらっていなくてはならない。これは常識をこえたあやしい出来事だと思うものにぶつかったら、なにをおいても、検察当局へ急報するのが諸君の義務であると思う。
 Qは、人間よりもすぐれた思考力と、そして惨酷(ざんこく)な心とを持っているので、もしかれが生きていたなら、こんどはじめる仕事は、われわれの想像をこえた驚天動地(きょうてんどうち)の大事件であろうと思う。
 ただに日本国内だけの出来事に注意するだけでなく、広く全世界、いや宇宙いっぱいにも注意力を向けていなくてはならない。
 大魔力(だいまりょく)を持った人造生命(じんぞうせいめい)の主人公Qこそ、小さい日本だけを舞台にして満足しているような、そんな小さなものではないのだから。




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