落とした一銭銅貨
著者名:新美南吉
やがて雀(すずめ)はよくなりました。そこで一銭銅貨(いっせんどうか)をさがしにいきました。
まだ雪ははたけの上につもっていました。
「わたしの、わたしの一銭銅貨(いっせんどうか)、この下にいるのかい。」
と、雀(すずめ)は雪の上からききました。
すると雪の下から、
「いえいえ、ここにはありません。」
とだれかがこたえました。
雀(すずめ)はまたべつのところへいって、
「わたしの、わたしの一銭銅貨(いっせんどうか)、この下にいるのかい。」
とききました。
するとまた雪の下から、
「いえいえ、ここにはありません。」
とこたえました。
雀(すずめ)はあちらこちらとたずねてあるきました。
するととうとう、
「はいはい、ここにありますよ。雪がとけたらおいでなさい。」
とこたえました。
雀(すずめ)は雪のとけた日にまたはたけにやっていきました。銅貨(どうか)はちゃんとありました。
みるとはたけにはいっぱいふきのとうがでていました。銅貨(どうか)のあるところを雀(すずめ)におしえたのはこのふきのとうだったのでしょう。
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