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著者名:岡本綺堂 

 江戸へ帰って五日目に、弥太郎もまた急病死去という届け出でがあった。相続人の又次郎は父よりも先に死んでいるのみならず、別に急養子を迎えにくい事情もあるので、和田の家は断絶した。
 弥太郎が撃ち洩らした鳥は、果たして尾白であったかどうだか判らなかったが、ともかくもその一季ちゅうに尾白の姿を認めた者はなかった。記録によると、その翌年、すなわち文政十二年の冬に、尾白の大鷲は鉄砲方の与力(よりき)池田貞五郎に撃ち留められたとある。




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