中国怪奇小説集
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著者名:岡本綺堂 

   □神

 俗に伝う。人が死んで数日の後、柩(ひつぎ)のうちから鳥が出る、それを□(さつ)という。
 太和年中、鄭生(ていせい)というのが一羽の巨(おお)きい鳥を網で捕った。色は蒼(あお)く、高さ五尺余、押えようとすると忽ちに見えなくなった。
 里びとをたずねて聞き合わせると、答える者があった。
「ここらに死んで五、六日を過ぎた者があります。うらない者の言うには、きょうは□がその家を去るであろうと。そこで、忍んで伺っていますと、色の蒼い巨きい鳥が棺の中から出て行きました。あなたの網に入ったのは恐らくそれでありましょう」




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