物理学の応用について
著者名:寺田寅彦
眼前の小利害にのみ齷齪(あくせく)せず、真に殖産工業の発達を計り、世界の進歩に後れぬようにしようと志す人は、もう少し基礎的科学の研究を重んじ、またこれを応用しようという場合には、少し気を永くしてあまりに急な成効を期待しないようにしなければならぬと思われる。
また物理学を修めて後各種の実務に従事する人は、物理学は単に机上の学問ではなくて、到る処に活用の途のある学問だという事を忘れず、新しい応用方面の開拓に尽力されたいものである。
(大正二年三月『理学界』)
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